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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
夏休み音楽ライブ篇
95/116

第85話 詩が出来ない


 「はぁ〜・・・」

 

 今日は葉城夏祭りまであと三日と迫った日。

 

 「詩ぃ〜・・・」

 

 が、まだ出来ていなかったりする。

 

 マズイよね?

 いくら歌唱特訓しているとは言え、まだ自由制作曲の歌詞が出来てないとか、マジヤバイよね?

 

 「どうしよう・・・この際、この前の美羽か小夜の詩を借用するか?」

 

 でもなぁ〜・・・

 

 「どうしよう」
















 「づがれだー」

 

 今日も補習と練習を終えた俺は、半ば死にながら帰路についていた。

 

 「詩か・・・」

 

 練習の時、早く作らないと殺す!! って赤佐に言われたっけ。

 

 でも、詩なんてそうホイホイ出来る訳がない。

 

 「何かきっかけ、インパクトみたいな物があればな・・・」

 

 そう、例えば楓が女の子らしくなるとか、小夜が関西オバハンみたいな性格になるとか、美羽が立派な生徒会長になるとか。

 

 「あ〜、何かきっかけが欲しい〜・・・」

 

 その時!!

 

 「だ、誰か助けてぇ〜!!」

 

 「ん?」

 

 な・・・今、なんか悲鳴が・・・。

 

 「助けてぇ〜!!」

 

 なっ・・・今作三度目のTASUKETEだとっ!?

 

 「だ、誰か・・・ぐはっ!! ・・・た、助け・・・て・・・」

 

 ・・・嫌な予感しかしない。

 ・・・スルーしたい。

 

 どうせまたヤンキーさんでしょ?

 

 岡田工業か? また奴らなのか?

 

 岡田工業の猫舌なんて、きっと覚えている読者は皆無に等しいぞ。

 

 「助けてぇ!!」

 

 ・・・しかし。

 

 「・・・男春吉よ、今助けを求めている人を、ほっといていいのか?」

 

 自分への問い掛け!!

 

 「・・・男として、この事態をスルーしてよいのか?」

 

 俺は考えた。

 

 「答えは否!! ここは助けに行くべき!!」

 

 男春吉!! いざ、まかり通る!!

 

 そしてレッツ自己暗示タイム!!

 

 「俺はボンゴレ雲の守護者、あの風紀委員長なんだ・・・」

 

 ・・・噛み殺す!!














 俺は悲鳴の聞こえた路地裏へ。

 

 「君達・・・何群れてんの?」

 

 決まった・・・トンファーないけど。

 

 しかし・・・

 

 「誰?」

 

 そこにいたのは、ズタボロにされた若い兄ちゃんと、これまたまだ若い綺麗な姉ちゃん。

 

 「・・・え?」

 

 姉ちゃんの方は兄ちゃんの襟を左手で掴み、右手はグー。

 

 リンチ?

 

 一方の兄ちゃんはマジでボロボロ。

 鼻血出てるし。

 

 「あんた、誰?」

 

 「・・・え?」

 

 何、この空気?


















 「違うのよ、あたし達は夫婦なの!!」

 

 「夫婦っすか・・・」

 

 さっき偶然出会った、何か訳ありの男女。

 

 どうやら、夫婦らしい・・・。

 

 「あのー・・・」

 

 ちなみに、まだあの路地裏に俺達はいるよ。

 

 「失礼ですが、一体ここで何を・・・?」

 

 何かのプレイ中だったらすんません。

 

 「あ、いやね、ウチの旦那が浮気しててね」

 

 「う、浮気・・・」

 

 まさかの複雑な関係?

 

 「そう、だからここで制裁してたの」

 

 「せ、制裁・・・」

 

 怖い・・・

 

 あ、ちなみに男性の方はその辺でのびてます。

 超ボロボロ。

 

 「にしても、恥ずかしい所みられたな〜」

 

 この夫婦、二人ともかなり若い。

 まだ二十歳くらいじゃないか?

 

 「・・・そろそろお迎えの時間か」

 

 女性は手元の腕時計を確認している模様。

 

 「じゃ、あたしは子供の保育園のお迎えがあるから、そろそろ」

 

 「あ、ああ・・・な、何かすみませんでした」

 

 変な罪悪感。

 見てはいけなかった物を見た気がする。

 

 「いやいや・・・じゃ、旦那担いで保育園に行きますか」

 

 そう言うと、女性は生きた屍状態の男性を軽々しく担ぐ。

 力あるなぁ〜・・・

 

 「そういや君、その制服・・・」

 

 「えっ?」

 

 女性の視線はいつの間にか俺の制服に。

 

 「もしかして、葉城高生?」

 

 「え、あ、まぁ・・・」

 

 何?

 

 「やっぱり・・・あ! あたしの妹も葉城高生でね」

 

 「そ、そうなんですか・・・」

 

 どうでもいい〜・・・

 

 「じゃ!!」

 

 「あ、はい」

 

 女性は男性を担ぎ、保育園へ。

 

 ・・・何なんだ?

後書きトーク!!


春吉

「そういや、亜希と小夜は漫画とか読むの?」


亜希

「え? 読みますけど?」


小夜

「・・・読む」


春吉

「ほぉ、意外・・・で、どんなの読むんだ?」


亜希

「私は俗に言う、少女漫画と言う物を少々」


春吉

「ああ、あのやたら目がデカくてキラキラしているアレか」


亜希

「・・・それ、少女漫画読者に失礼なのでは・・・」



春吉

「小夜は?」


小夜

「・・・私は、月也の持ってる漫画をちょっと」


春吉

「例えば?」


小夜

「・・・い〇ご100%、迷い猫オー〇ーラン、Dr.〇っるとか」


春吉

「・・・すげぇな月也・・・ってか小夜、それ月也の許可得て見てんの?」


小夜

「・・・部屋を掃除する時、机の引き出しの奥にあるのをこっそり」


春吉

「引き出しの奥・・・月也は思春期かッ?」


小夜

「・・・ん?」


春吉

「小夜、そういうのは止めた方がいい。きっと月也は必死なんだから」


小夜

「・・・え?」


春吉

「思春期の中学生ほど、可哀相な生き物は他にいないんだから!!(いろんな意味で)」


小夜

「・・・?」


亜希

「次回は86話ですね。タイトルは“姉妹”」


春吉

「いいか小夜、今後月也の机は無断で掃除しちゃダメだ!!(高校生になると、漫画以上の物を隠し始めるからな)」


小夜

「・・・?」


春吉

「これは男の定めなのだ!!」

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