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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
夏休み音楽ライブ篇
91/116

第81話 青春謳歌


 「えー皆さん、明日は夏休みですが・・・」

 

 ・・・今、俺は気温30度越えのクソ暑い体育館の中で、校長の話を聞いている。

 

 そう、終了式。

 

 「私がまだ君達くらいの時は、まだ戦後間もなくてね・・・」

 

 ・・・暑い

 ・・・眠い

 ・・・つまらない

 

 「・・・つまり、私の高校生時代には青春など謳歌する暇もなく・・・」

 

 体育館の中は灼熱地獄。

 周りでは次々と生徒が体調不良を訴え、保健室へ運ばれていく。

 

 「青春と言えば、青い春と書きますが、そもそも漢字と言うのは・・・」

 

 ・・・俺の顔に、一筋の汗が。

 

 ミーンミーンと、外で蝉が鳴いている。

 

 雲一つない青空。

 

 「・・・つまり、中国の歴史には、漢字が付き物であり・・・」

 

 ・・・長い。

 

 もう20分は喋ってんじゃね?

 

 「・・・なので、皆さんもしっかり漢字や歴史を勉強しましょう」

 

 はぁ、やっと終わったかな・・・?

 

 「あ、歴史と言えば、かの有名な徳川家継が・・・」

 

 ・・・校長

 

 貴様は鉄人か?














 「やっと終わったぁ〜!!」

 

 「ふぅ〜・・・」

 

 あれからさらに30分、人体に悪影響を及ぼす謎の病原体“コウチョウノハナシ”と戦った俺達は、無事体育館から生還出来た事に喜んでいた。

 

 「今回もまた、多くの犠牲者が出たな・・・」

 

 犠牲者一覧

 

 葉城高校総括、濱垣美羽将軍。

 コウチョウノハナシ散布開始10分後、校長の青春のくだり辺りにて戦死(熱中症)。

 霊安室(保健室)へ。

 

 

 

 葉城軍、重原権三朗二等兵。

 コウチョウノハナシ散布開始15分後、中国の漢字の歴史のくだり辺りにて戦死(貧血)。

 現在火葬中(まさかの早退)。




 葉城軍、荏咲小夜中尉。

 コウチョウノハナシ散布開始20分後、徳川家のくだり辺りにて負傷(脱水症状)。

 現在治療中(ポ〇リと冷え〇タで)。


 

 

 「ってか、あの校長、今日何話してた?」

 

 この赤佐の質問はごもっとも。

 

 始めは夏休みの注意、それから校長の学生時代の夏休みの話

学生時代の戦争体験の話

青春謳歌のくだり

青い春、つまりは漢字の話題

中国の歴史

漢字と歴史を勉強しよう

日本の歴史のくだり

徳川家とは

葵の家門の話

戦国時代は大変

昔に比べ、今は便利

皆さんは幸運

現代社会に感謝






 そう、夏休みの話のはずなのに、何故か戦争や中国の漢字の歴史、徳川家に現代社会など、意味分からん物の話にまで発展。


 結果、30分近くも話が続いたのだ。

 

 「ウチのクラスだけでも12人が犠牲に・・・」

 

 恐るべき、コウチョウノハナシ!!

 

 「フッフッフ、春吉よ、これからさらに犠牲者は増えるぞ」

 

 「何ッ、それは本当か!?」

 

 さらに犠牲者だと!?

 

 「木山大佐、きっと貴方も犠牲に・・・」

 

 「何だと!! 赤佐、それは一体・・・」

 

 コウチョウノハナシで脳をやられた俺達は、変な茶番劇を演劇中。

 どうやら、コウチョウノハナシには判断能力低下の作用もあるらしい。

 

 「きっとこの後、教師軍は一斉に空襲をしてくるだろう・・・」

 

 「な・・・空襲だとッ!?」

 

 「ああ・・・通知表と言う名の爆弾を投下してくるだろう」

 

 「つ、通知表・・・」

 

 さ、最悪だ!!

 

 「しかも木山大佐には、赤点補習と言う名の爆弾も降り注ぐだろう」

 

 「・・・・・」

 

 「大佐、高二の夏休みはもう諦めましょう。教師軍にはもう勝てません」

 

 「・・・青春エンジョイは、諦めるしかないのか・・・」

 

 通知表に赤点補習

 さらにバンド練習

 

 俺の夏休みは、もうだめだ。

 

 「今なら軽く死ねる・・・」

 

 「た、大佐!! 早まってはなりません!!」

 

 「・・・赤佐少尉、後の事は任せたぞ・・・」

 

 「た、大佐あああぁぁぁぁぁぁ〜〜!!」















 「じゃあ、今から通知表を配るぞ」

 

 その後のLHR。

 

 たっつあん・・・もとい教師軍による空爆が開始された。

 

 「まずは赤佐」

 

 「は、はい・・・」

 

 赤佐少尉は特攻していった。

 で、

 

 「あ〜・・・古典で2取った・・・」

 

 玉砕。

 

 ちなみに通知表は5段階評価。

 

 「次、荏咲」

 

 「・・・・・」

 

 おでこに冷え〇タ貼った荏咲中尉も特攻。

 で、

 

 「・・・・・」

 

 後ろから覗いた結果、コイツの通知表に5が三つくらいあるのを確認。

 特攻成功。

 

 「次、木山」

 

 「ぎょ、玉砕覚悟ぉ〜!!」

 

 木山春吉、いっきま〜す!!

 

 「木山大佐ぁ!!」

 

 赤佐はまだ茶番中。

 

 で・・・

 

 「・・・マジでか」

 

 1は無かった。

 しかし、化学と数学で2取った。

 

 「木山、お前明日の補習、ちゃんと出ろよ?」

 

 たっつあんからの止めの一言。

 

 ぐあっ・・・

 

 「あと沢那、お前も補習出ろよ」

 

 「・・・あ、はい」

 

 ・・・楓も補習なのか。

 

 「あと誰か、重原にも補習って伝えとけ」

 

 権三朗もか・・・。

 

 ・・・嫌だな。

後書きトーク


春吉

「くそっ・・・まさか通知表で2が・・・」


亜希

「春吉くん、元気を出して下さい!!」


春吉

「フッフッフ、慰めなんていらないさ・・・」


亜希

「大丈夫です、私も成績は悪かったですし」


春吉

「マジで・・・じゃあ通知表見せてくれる?」


亜希

「どうぞ!!」


春吉

「どれどれ・・・・・」


亜希

「ね? 悪いでしょ?」


春吉

「・・・お前、これ4と5しかないんだけど・・・もしかしてイヤミ?」


亜希

「悪いですよ、だって4があるんですよ? 普通は5だけの通知表が・・・」


春吉

「・・・次回三姫第82話“補習”お楽しみに」


亜希

「春吉くん?」


春吉

「よーし、もう今日は帰って泣こう」


亜希

「え? 何で???」

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