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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
夏休み音楽ライブ篇
89/116

第80話 夏の始まり


 「本当にすみませんでした・・・」

 

 「い、いや、大丈夫だから!!」

 

 俺は麗を視聴覚室まで連れて行き、そこで別れた。

 

 「ふぅ・・・」

 

 困ったな・・・

 

 










 「あれ? 楓がいない・・・?」

 

 その後の練習、楓は来なかった。

 

 「春、楓知らない?」

 

 「ん? あ、ああ・・・」

 

 正直な事を話すべきか・・・。

 ・・・でも、その正直な事が口から出てこない・・・。

 

 「春、何かあった?」

 

 「あ?」

 

 美羽はキーボードで「かえるのうた」を演奏しながら聞いてきた。

 

 ・・・何故、かえる?

 

 「何か変な顔してるよ? 嫌な事でもあったの?」

 

 「いや、その・・・まぁ、色々あってな」

 

 楓と麗

 

 俺はどっちを優先すべきだったんだろう・・・

 

 「色々ねぇ・・・まぁ、春らしいか」

 

 「は? 俺らしい?」

 

 いつの間にか「かえるのうた」は「大きな栗の木の下で」に変わっていた。

 

 だから何故?

 

 「春は何か悩んだりすると、いつも顔に出るもんね」

 

 「そうか?」

 

 自覚はないが・・・

 

 「意外と後に引きずるタイプなのよね、あんたは」

 

 「・・・・・」

 

 曲は「大きな栗の木の下で」から「めだかの学校」に変わっていた。

 

 だから何? その幼稚園の歌シリーズ?

 

 「・・・まぁ、もしその悩みが誰かと喧嘩したとか、悪い事しちゃったとかなら、早く仲直りした方がいいよ」

 

 「仲直り・・・」

 

 「そう。ずーっと仲悪いままじゃ、気まずくて大変でしょ?」

 

 「気まずいて・・・」

 

 微妙な理由だな、オイ。

 

 けど・・・

 

 「でも、確かにそうかもな・・・」

 

 みんなでひとつのバンドを作る。

 

 今、楓とあだこだを起こしている場合じゃない。

 

 ・・・謝ろう。

 

 色々、全部、謝ろう。

 

 そして、誤解を解こう。















 しかし・・・

 

 とある平日の学校

 

 「な、なあ楓・・・」

 

 「・・・・・」

 

 し、シカト・・・

 

 で、翌日

 

 「か、楓さん?」

 

 「・・・・・」

 

 はいシカト。

 

 さらに翌日

 

 「か、楓様?」

 

 「・・・・・」

 

 シカト頂きました。

 

 で、放課後のバンド練習、楓は一応来るんだけど・・・

 

 「楓、スマンがマイクを・・・」

 

 「・・・・・」

 

 シカトですね。

 

 

 










 「はぁ〜・・・」

 

 現在、バンド練習後の帰り道。

 最近はバンドのせいで、バイト休み気味だなぁ・・・。

 

 とうとう月日は流れ、明日は一学期の終了式。

 

 夏休み篇開始から約10話にて、やっと夏休みに突入だよ・・・。

 

 あれこれもう、楓とはかなりの日数会話してない。

 

 「マジ困った・・・」

 

 どうやら、まだ楓は家出の身らしく、今は亜希の家に泊まっているらしい。

 

 「この際、亜希に取り繕ってもらうか?」

 

 でもな〜・・・。

 

 「はぁ〜、どうしよう・・・」





















 で、今日は終了式。

 

 「おはよー」

 

 俺はいつも通りに学校へ登校。

 

 「お早う春吉!!」

 「おう、木山か」

 「おはよっス!!」

 

 クラスの野郎共は既に登校していた模様。

 

 「明日から夏休みか・・・」

 

 俺が自分の席に着くと、後ろの席の赤佐が話し掛けてきた。

 

 「だなぁ〜」

 

 「でも、7月中はバンド練習で忙しくなるんだろうなぁ〜」

 

 「だなぁ〜」

 

 「春吉、7月は予定空けとけよ」

 

 「だなぁ〜」

 

 「・・・春吉?」

 

 「だなぁ〜」

 

 赤佐の話を9割5分2厘無視。

 

 俺は前の方の席を見ながらぼんやり状態。

 

 ・・・まだ楓、来てないのか。

 

 「春吉・・・人の話、聞いてる?」

 

 「だなぁ〜」

 

 「・・・・・」

 

 「だなぁ〜」

 

 「・・・春吉、確かお前、期末テストの補習あったよな?」

 

 「だなぁ〜・・・え?」

 

 今、何か聞こえた?

 

 「7月中に補習は何回あるんだ?」

 

 「補・・・習だと・・・」

 

 ・・・忘れてた!!

 

 「練習とかぶったらマズイから、一応聞いときたくて・・・」

 

 「・・・赤佐」

 

 「な、なんだ?」

 

 「それ、禁句の方向で」

 

 











 こうして、音楽と勉強ばかりの俺の夏休みが、幕を開けたのだ。

後書きトーク!!


美羽

「ねぇ春、期末で赤点取ったって言ってたけど、実際何点だったの?」


春吉

「うわぁ〜、赤点とかマジ禁句!!」


美羽

「禁句って・・・いいから教えてよ! 確か化学と数学だっけ?」


春吉

「わーわー、聞こえなーい!!」


美羽

「ちょっと、素直になりなさい!!」


春吉

「聞こえなーい、教えなーい、知らなーい」


美羽

「・・・いいじゃん、別に減るもんじゃないんだし・・・」


春吉

「俺は天才なんだ、だからこんなテストには縛られる事なく生きるんだ!!」


美羽

「・・・・・・」


春吉

「さ、さてと、そろそろ帰る・・・」


美羽

「・・・春いいの? 教えてくれないと、さっきこっそり春のかばんから抜いといた、この猫耳キャラがプリントされたラノベをビリビリに・・・」


春吉

「なっ・・・メイドなアニマル5巻!! いつの間に!!」


美羽

「さぁどうする春!?」


春吉

「化学が18点、数学が23点です」


小夜

「・・・・・次回、三姫第81話“青春謳歌”夏休み篇本格始動・・・にしても、低い点」


春吉

「なっ、小夜、いつの間に!!」


美羽

「・・・軽く引くわ」


春吉

「引くな!!」


小夜

「・・・・・」


春吉

「だから引かないでくれ!!」

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