第72話 休日練習
翌日。
今日は土曜日で学校は休みだが、バンドの練習のため登校。
「あ〜・・・やっぱバンド面倒臭い〜」
まさか、休日まで登校して練習とは・・・。
「家で寝てたかったな・・・」
はぁ・・・
しかも、
「まだ詩、出来てないしな・・・」
きっと、クラスの連中は家でごろごろしているであろう土曜日。
寝たいよ〜!!
そして、誰か代わりに詩を作っておくれ!!
ガチャ!!
「おーっす・・・て」
何とか眠気と格闘し、やっとの思いでついた葉城高等学校音楽室。
しかし・・・
「まだ、だれもいない・・・」
嘘だろ・・・
俺、頑張って来たのに・・・。
「・・・・・」
誰もいない音楽室は、やけに静かだな。
時間的に、そろそろだと思うのに・・・。
「・・・遅刻したヤツにはお仕置きだな」
よし、遅刻したヤツには跳び膝蹴りの刑!!
フッフッフ・・・
その時!!
ガチャ!!
「あ?」
音楽室の後ろの扉がオープン。
誰か来たかな?
・・・しかし、音楽室に入ってきたのは
「・・・え?」
「・・・誰?」
見ず知らずの女子。
誰?
リボンの色が青って事は一年生・・・って、
「あれ?」
あれ? なんか見た事のある顔だな・・・?
一方の向こうは何かに気付いたようす。
「・・・・・・」
何? ちょっと目そらしたよこの子。
「あ、あのさ」
勇気を持って質問!
「・・・何でしょうか?」
相手は一応ってな感じで返事。
「俺、もしかして君とあった事・・・」
な〜んか見た事ある顔なんだよな〜。
「・・・昨日のスーパーの事ですか?」
「えっ!?」
昨日の・・・スーパー・・・ってああ!!
「も、もしかしてあのペットボトル少女!?」
昨日の記憶がフラッシュバック!!
スーパーで確か会ったよな!!
「・・・・・・」
「そうだ、確か昨日のスーパーで!!」
へぇ〜、あの子葉城高生だったんだ。
「・・・あの」
「ん?」
何だ?
「・・・あなた、吹奏楽部にいましたっけ?」
「吹奏楽?」
はい?
「・・・今からここで、吹奏楽部の練習があるんですけど」
「は?」
いやいやいや、だって今日の音楽室使用組はバンドメンバーだろ?
たっつあんからも許可もらってるし。
「あなた、吹奏楽部の部員では?」
「は? 今日の音楽室はバンド練習用にたっつあ・・・いや、和波先生から許可を・・・」
「バンド?」
昨日、ちゃんとたっつあんから許可取ったし。
「そう、バンド!!」
「・・・あの」
「ん?」
音楽室は渡さん!!
「ここ、音楽室じゃなくて、視聴覚室ですよ」
「・・・え?」
何ッ?
「ここは3階。音楽室は4階ですよ?」
「な・・・えッ!?」
う、嘘だ!?
俺は急いで廊下へ、そしてプレートを確認。
視聴覚室・・・
「・・・しまった!」
やってしもうた!!
「・・・間抜けな人・・・いや、先輩ですね」
「やばっ!!」
くそっ、何とまぁ恥ずかしい〜!!
「す、すまない!! 俺のはやとちりだ・・・」
って事は、早く本当の音楽室へ行かないと!!
「・・・失礼ですが、先輩お名前は?」
「え?」
名前?
「き、木山春吉だけど・・・」
「木山・・・ああ、なるほど」
なるほど?
「私は泡岸麗って言います。・・・先輩、昨日はありがとうございました」
「あ、ああ・・・」
泡岸か・・・
「・・・先輩、早く音楽室へ行かなくてもいいんですか?」
「ん、あ、そうだ!」
やべっ、遅刻したら赤佐にシバかれる!!
「じゃ、じゃあ!!」
「はい」
ヤバイ!!
俺は急いで視聴覚室から退室、4階の音楽室へ。
・・・泡岸 麗か。
何か・・・冷淡と言うか・・・素っ気ないと言うか・・・大人しそうな子だったな〜。
って、今はそれより音楽室ぅ〜!!