第63話 新たな家族
「チキショー、何が勉強だチキショー!! もうこの際ニートになったろか!?」
あ〜あ、今日は災難だった・・・。
授業中何回も指されたのに、一問も分からず。
で、現在下校中。
「勉強しない=ニート・・・いや、仕事しない=ニートだな」
全く・・・働いたら負けってのがニートの考えらしい。
とか考えているウチに自宅到着!!
「さ〜て、アイスでも食うかなぁ〜!!」
と、思いながら(声出ちゃってるけど)家に入ろうとした俺。
けどね、
「・・・ん?」
家の玄関の真ん前に、何やら段ボールが一つ。
宅配便か?
「誰からだろ・・・ん?」
その時、段ボールのすぐ傍に、何やら置き手紙が一枚。
「手紙?」
頭の中でアン〇ェラ・アキのあの曲を歌いながら、手紙OPEN!!
以下、手紙の内容
『この段ボールの中に入っているのは、私とあなたの子供です。もう私、限界よ!! あなたが強引に作った子供、もう私には育てる事が出来ません。後はあなたが責任を持って育てて下さい。私は今、違う男と生活しています。子供の養育費はあなた持ちで』
・・・は?
いや、ないないない。
は? ちょっと待とうか。
え? 何? ちょ、待って欲しい。
嘘だ、絶対嘘だよ?
有り得ない、いやマジで有り得ないからね?
小説の主人公がそんな事しないよ。
第一まだ俺、高校二年生だし!!
え、ちょ、誤解しないでね?
俺は潔白、無実、覚えなし!!
ガタガタガタッ!!
「うおっ!!」
だ、段ボールが動いた!!
ま、マジで子供入ってんの?
やだよ、俺そっくりの子供がはいってるパターンとか、マジで嫌だよ?
ってか、早く段ボール開けてあげた方がいいのかな?
でも、後々の展開が・・・。
ガタガタガタッ!!
「・・・俺はまだ〇貞だ。まだヒヨッコ少年だ。大丈夫、この段ボールは何かの間違いだから」
これ以上下ネタ引きずると、読者からの批判が怖い。
もう、行くしかない。
その間にも、段ボールはガタガタガタガタ動いている。
「では・・・男春吉、責任取ります!!」
段ボールOPEN!!
そこには・・・
毛むくじゃらの体
フリフリの尻尾
つぶらな瞳
柔らかい肉球
「ワンッ!!」
・・・・・・・・犬?
・・・えぇ〜!!
嘘だ、嘘だあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
俺、とうとう犬とヤッちまったのか!?
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!
あああぁぁぁぁぁぁ!!
人間として終わったぁぁぁぁぁぁ!!
っておおおい!!
んな事あるかぁ!!
「ワンっ!!」
「ワンじゃねぇ!!」
何なんだ一体!!
・・・その時、犬の入っていた段ボールのそこに、もう一枚手紙が。
「・・・・・」
もう何の躊躇いもなく、手紙OPEN!!
以下、手紙の内容
『ハッハッハ、騙されたか春吉? お前に女なんていないもんな。・・・この犬は、日頃一人で寂しい生活を送っているであろう春吉のために、特別に用意した木山家の新しい家族だ。そいつがいれば寂しくないだろう。最後まで面倒見ろよ。
父母より』
・・・・・は?
シバいたろか? あのクソ親父とクソババア。
息子をからかって、何が面白いんじゃ〜!!
「ワンっ!!」
「だからワンじゃねぇ!!」
木山家に、新しい家族が増えました。
柴犬のオス、一歳、結構可愛い。
「・・・と、言う事で不本意ながら、我が家で犬を飼う事になった」
「ワンワン!!」
「では、今からお前の名前を決めようと思う」
「ワンっ!!」
只今、木山家にて俺と犬との二人で極秘会議中。
関係者以外立入禁止。
「う〜ん・・・そうだな、お前の毛は綺麗な黄金色をしているよな」
まぁ、柴犬だから当たり前か。
「なので金ちゃんはどうですか?」
「・・・・・」
ノーリアクション。
多分嫌なんだろう。
「後は・・・ギャップ重視でいくならキャットとかは?」
「・・・・・」
駄目か・・・
「じゃあ・・・扇風機ってのは?」
「・・・・・」
ですよねー。
「後は・・・マルゲリータとか?」
ザ・アメリカン!!
「・・・ウウゥ!!」
ぎゃ〜!! 威嚇された!!
ごめんなさい!!
「ま、真面目にやるから・・・」
とは言っても・・・
候補
チョッパー
コン
定春
ランボ
ティムキャンピー
ヨップル星人
テツヤ2号
テリー
いぬまろくん
タマちゃん
クロ
ステーキ
マキバオー
・・・俺、本当にオタクなのかも。
「・・・お前の名前、ジャンプでよくね?」
いや、漫画的な意味ではなくて。
普通に、飛ぶみたいな意味で。
「・・・ワン」
はい決定