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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
青上強襲篇
64/116

第57話 冬将軍到来

ども!!


今回は冬希目線で物語は進みます!!


 ドッカァ〜ン!!

 

 「えっ・・・?」

 

 物凄い爆発音。

 今、倉庫南側から聞こえたような・・・

 

 「・・・よそ見してていいのか?」

 

 「・・・・・ッ」

 

 

 

 今、僕は倉庫西入口にいる。

 本当だったら、もうとっくに倉庫内に進入して、みんなを助けたかったんだけど・・・。

 

 「・・・・・」

 

 僕の目の前には、二本のバットを持った長身の男子が。

 

 「・・・はぁ、かったりぃな」

 

 ・・・凄い脱力オーラ

 

 「あ、あの・・・」

 

 何なんだろう、この人・・・。

 

 「・・・お前、名前は?」

 

 「えっ、な、名前?」

 

 随分とやる気のなさそうな人っぽい。

 

 「な、梨本冬希」

 

 「ふーん・・・俺ぁ櫛山ってんだ」

 

 「く、櫛山さん?」

 

 す、凄いのんびりした雰囲気・・・。

 

 「ああ。ついでに言うと、俺ぁお前とやり合う気はねぇ」

 

 手に釘バットと鉄バット持ってて、何言って・・・。

 

 「つーか、今時ブルーパンチって、昭和かって思うよな。正直、超うんざりしてんだよ、幹部って仕事」

 

 「は、はぁ・・・」

 

 「俺ぁ、喧嘩とかタイマンとか、そー言う暑苦しいヤツは嫌いだ」

 

 そう言うと、櫛山さんはべた〜んと地面に座り込んだ。

 

 「なのによ、牛渓や守屋ときたら、いつもタイマンやの喧嘩やの。はっきり言って、ついて行けねぇんだよ、全く」

 

 「・・・・・」

 

 何て返せば・・・

 

 「・・・だからよ、悪ぃけど、倉庫内入るなら他の入口を当たってくれ。俺、喧嘩嫌いだからさ」

 

 「えっ・・・」

 

 他の入口ならいいの?

 

 「俺の担当は西と南の入口の守護。この二つのどっちかを突破されちまうと、俺が古宇宮に怒られちまうからな」

 

 「は、はぁ・・・」

 

 「けど、北と東は俺の担当じゃあねぇ。仲間助けたきゃ、悪ぃが東か北から入ってくれ」

 

 こ、この人もしかして・・・いい人?

 

 「俺ぁ元々、こういう人質取るとかは賛成の方じゃねぇ。だからよ、今回どっちが勝っても別に俺ぁ構わねぇんだ」

 

 櫛山さんは軽く頭をかいた。

 

 「ただ、怒られるのは嫌だから、入るなら東か北かにしてくれ」

 

 この人・・・

 

 「あ、あの・・・」

 

 「あ?」

 

 「一つ、聞いてもいいですか?」

 

 「何だ?」

 

 櫛山さんはぐぁ〜と伸びをした。

 相変わらずのんき。

 

 「な、なんで・・・櫛山さんはブルーパンチに入ったんですか? 喧嘩とか嫌いって言ってたのに」

 

 ・・・どうしても、これが気になった。

 

 「・・・古宇宮に強制されたからだよ」

 

 「きょ、強制・・・」

 

 「俺ぁ自分で言うのもアレだが、テストでは毎回学年で一位、運動もできる。だから、俺ぁ古宇宮にブルーパンチの参謀として買われたんだ」

 

 「・・・・・」

 

 「けどよ、俺ぁ平和と昼寝を愛する一般高校生だ。よほどの事がねぇ限り、ブルーパンチの力になる事はねぇ」

 

 この人・・・

 

 まだこの人とはほんの十分も会話していないけど・・・一つ、分かった事がある。

 

 この人、きっと強い。

 

 多分、夏哉君よりも、秋馬君よりも、下手したらブルーパンチの他の人よりも・・・強い。

 

 「ほら、分かったらさっさと行きな。西と南から入らない限り、邪魔はしねぇからよ」

 

 「・・・・・」

 

 では、お言葉に甘えて・・・と、思ったけど。

 

 「・・・何してる? 早く行って、仲間の援護なり人質の救助なりしてやれ」

 

 「・・・・・」

 

 ・・・本当にいいのか? 本当に。

 

 「・・・どうした?」

 

 「・・・いや」

 

 「あ?」

 

 今頃・・・みんな、人質を助けるため、必死になって不良達と戦っているんだ。

 作戦通り、自分達の担当の入口を突破するため。

 

 けど、僕だけ楽していいのか?

 

 僕は秋馬君から西入口を任された。

 

 なのに、強いヤツがいるからって、任された場所を放棄していいのか?

 

 櫛山さんは他の場所からなら入っていいと言っている。

 

 けど・・・

 

 「僕は・・・」

 

 「あ?」

 

 「僕は・・・西入口を任されたんだ。だから、西入口から入る」

 

 「・・・・・」

 

 「みんな・・・自分達の担当の入口で、一生懸命戦って、苦しい思いをして・・・僕だけ楽するなんて、出来ない」

 

 「・・・・・」

 

 「だから、僕も自分の担当の西入口から入る。たとえ、櫛山さんと・・・た、戦おうとも」

 

 「・・・正気か?」

 

 正直、怖い。

 でも、僕だけ楽なんて・・・。

 みんな、頑張ってくれてるのに・・・。

 

 だから

 

 「僕は、西入口から入ります!!」

 

 僕も頑張る!!

 

 「・・・そうかい。なら、相手をしねぇとな。怒られるの嫌だし」

 

 ふぁ〜とあくびをしながら、櫛山さんは立ち上がる。

 

 「かったりぃ・・・」

 

 ・・・僕は、頑張る。

 

 や、やってやる!!

 ぜ、絶対に勝つ!!

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