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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
青上強襲篇
63/116

第56話 秋雨降る

どーも!!


今回は秋馬目線で物語は進みます!!


 「あ、待て・・・」

 

 目の前に相手は二人。

 つまり、どこかの入口ががら空き。

 

 僕はとりあえず、冬希を西入口へ向かわせようとした。

 しかし・・・

 

 「逃がさん・・・」

 

 僕はここでその二人を足止めするはずだった。

 しかし・・・

 

 冬希が走り出した直後、相手の一人が冬希を追うため、走り出した。

 

 マズイ、あいつを止めなくては!!

 

 その時・・・

 

 「俺を無視すんじゃねーよ!!」

 

 ・・・ッ!?

 

 何だ・・・目の前に・・・赤い筒状の物が・・・

 

 パンッパンッパンッ!

 

 「ぐっ・・・」

 

 なッ・・・それは突然爆発した!!

 火薬の臭いが。

 

 それに僕が怯んでいる隙に、冬希と相手一人は西入口へ・・・。

 

 不覚・・・冬希済まない。

 一人しか足止め出来なそうだ。













 「アッヒャッヒャッ、俺の相手はテメェか?」

 

 僕の目の前にいる相手は、確かさっき守屋と名乗った男だ。

 金髪のリーゼント、真っ黒なサングラス、手には十本全ての指にシルバーの太い指輪。

 そして腰にはパンパンの四つのポーチ。

 

 「・・・野蛮だな」

 

 「あぁぁ!?」

 

 フン・・・小声で言ったつもりだったのだが、聞こえていたらしい。

 

 「金髪にグラサン・・・瀬良家ではまず考えられないスタイルだな」

 

 「んだテメェ、ハゲメガネのテメェに言われたくねぇんだよ!!」

 

 「ハ、ハゲ・・・フン、春吉といい夏哉といい、最近の若者は全く瀬良家の美を分かっていない」

 

 つるつるの頭、黒縁の丸眼鏡。

 丸こそ瀬良の美!!

 

 「ヒッヒッヒ、テメェの美なんて知った所で、ヘドが出るだけだ。テメェはブルーパンチ三大幹部の一人、守屋 徹が狩ってやる」

 

 三大幹部・・・

 

 「・・・ポケ〇ン?」

 

 「・・・ハゲメガネ、テメェを殺すッ!!」

 

 フン、短気なやつだ。

 

 「アッヒャッヒャッ!!!!!」

 

 守屋は笑いながら、四つのポーチのウチ、一番右側のポーチに手を突っ込んだ。

 そして・・・

 

 ジャラっ・・・

 

 「・・・ん?」

 

 何かを掴んだ?

 そして、ポーチから何かを取り出したと思われるヤツの手には、大量の赤い筒状の物が握られていた。

 

 「ヒッヒッヒ、ブルーパンチの三大幹部には、それぞれの戦闘スタイルに合わせた別名が付けられてんだ」

 

 は?

 中二発想か?

 

 「雷拳の牛渓、双撲の櫛山、そして俺は・・・爆炎の守屋ッ!!」

 

 パチンッ!!

 

 守屋はその場で指パッチンをした。

 そして・・・

 

 「アッヒャッ!!」

 

 手に持っていた、大量の赤い筒状の物を空に放った。

 

 「あれは・・・」

 

 確かさっき、冬希を追う際に・・・

 

 ・・・まさかッ!?

 

 「ヒッヒッヒ、遅いぜぇ!!」

 



 ボオォォォッン!!

 

 

 「ぐあっ・・・」

 

 それは一斉に爆発した。

 

 くっ・・・物凄い黒煙と熱風がッ。

 

 「まだまだぁ!!」

 

 「ハッ!!」

 

 空を見ると、そこにはまた、大量の赤い・・・

 

 ボオォォォッン!!

 

 「・・・ッ!!」

 

 しまった・・・もろに爆発を・・・

 

 「アッヒャッヒャッ、熱いか? じゃあ次はコレだ!!」

 

 次?

 

 ヒュン、ヒュンヒュンヒュンッ!!

 

 何だ・・・この音?

 

 パァン、パァンパァンパァンッ!!

 

 「くはっ・・・!!」

 

 それは突然、前方から凄い勢いで飛んできた。

 そして、僕が避ける暇もなく爆発。

 

 「アッヒャッ、熱いかハゲ? ・・・ヒッヒッヒ!!」

 

 くっ・・・体のあっちこっちが痛い・・・

 火傷か・・・

 

 「いい事教えてやろうかハゲ? 俺様の武器の事!!」

 

 「武器・・・」

 

 だいたい見当はついている。

 

 「そう、俺様の武器は火薬!! 初めに投げたのは爆竹、次に撃ったのはロケット花火!!」

 

 やはりか・・・

 

 「すげぇんだぜ!! この指に嵌めてある指輪、これをこう擦り合わせると・・・」

 

 十本全ての指に嵌めてあるシルバーの指輪。

 それを指パッチンのようにして擦り合わせると・・・。

 

 パチッ

 

 一瞬火花が。

 なるほど、火打ち石の要領か。

 

 「・・・いいのか? 僕に全ての種明かしをして」


 「ヒッヒッヒ、別に種明かした所で、テメェは俺に勝てない!! この遠距離からの爆発地獄にはな!!」

 

 恐らく、あのポーチには大量の爆竹やら花火やらが詰まっているのだろう。

 

 ・・・チャンスは、やつが油断している今。

 

 「成る程な・・・では、次は僕の武器でも教えてあげようか」

 

 「アッヒャッ?」

 

 「我が瀬良家には、非常に鞭を使うのが上手い人がいてね」

 

 そう言うと、僕はベルトに挟んでおいた武器を手に取る。

 

 「瀬良家は代々、武術で有名な家庭でね。祖父は剣道、父上は柔道で日本一になった事がある」

 

 「・・・だから何だ?」

 

 「僕自身、空手や剣道、弓道何かを習っている。・・・だが、そんな瀬良家に一人、家風を破り、日夜鞭片手に風俗なる仕事をしている残念な人がいるんだ」 

 「・・・アッヒャ?」

 

 「全くだよ・・・そいつは小さい頃からかなりのサディストで、悲しい事に天才の卵だった幼き日の僕にまで、鞭の使い方をレクチャーしてきたんだ」

 

 「・・・・・?」

 

 「そのせいか・・・僕は武術よりも・・・こっちの方が得意なんだよ」

 

 今だッ!!

 

 やつが僕の言葉に気を取られている今、僕は一気に前方へ跳躍。

 

 そして、僕の武器である鞭を思い切り奮う!!

 

 「なっ!!」

 

 相手は咄嗟に回避のため左へ跳ぶ。

 

 パシンッ!!

 

 鞭は守屋のいたアスファルトへ直撃。

 だが・・・

 

 「逃がすまい」

 

 僕は守屋を追尾。

 僕もそのまま左へ跳び、再び鞭を構える。

 

 「クソがッ!!」

 

 一方の相手は、既に片手をポーチに突っ込み、大量の爆竹を掴んでいた。

 

 くっ・・・先程の火傷が痛む。

 だが・・・

 

 「火薬など、遠距離でしか使えないッ!!」

 

 僕は何の躊躇もなく、守屋の目前へ。

 

 「チッ・・・」

 

 今だ!!

 

 パシンッ!!

 

 「ヒャッ!!」

 

 鞭は相手の手に当たり、やつの手から爆竹がこぼれ落ちた。

 

 「テメェ・・・」

 

 「まだだッ!!」

 

 ・・・正直、鞭は殺傷能力が低い。

 僕の狙いは相手のダウンではなく、鞭でぐるぐる巻きにして拘束、動きを取れなくする事。

 

 そのためには、相手を怯ませ地面に倒すのが得策だな。

 

 狙いはやつの足。

 

 「オラッ!!」

 

 相手は再び爆竹を掴み、今度は火まで付けた。

 

 「フン・・・」

 

 パァンパァンパァン!

 

 爆竹は爆発。

 しかし・・・

 

 「・・・・・」

 

 熱い・・・痛い・・・だが、これしき、

 

 「もう慣れた」

 

 「何ッ!?」

 

 フン・・・

 

 パシンッパシンッ!!

 

 「いてっ!!」

 

 鞭でやつの足を執拗に攻撃。

 

 「チェックショ!!」

 

 守屋はロケット花火を構えながら、再び左へ跳躍・・・だが

 

 グキッ!!

 

 「のあッ!?」

 

 足をくじき、転倒。

 

 「フン・・・瀬良家をなめるなッ!!」

 

 セイッ!!

 

 「うわ、止めッ!!」

 

 僕は一気に守屋へ接近、そして一息でぐるぐる巻きに。

 これは昔、散々姉に仕込まれた鞭技“鞭縛り”。

 

 「相手が悪かったな」

 

 「くっ・・・」

 

 初めは暴れていた守屋も、鞭五重巻きくらいから大人しくなってきた。

 

 「フン・・・負けを認めたか?」

 

 「・・・バーカ」

 

 ん?

 

 守屋は縛られつつも、右手をポーチへ突っ込んだ。

 

 「馬鹿か? 僕にもう爆竹はきかないぞ?」

 

 熱さに慣れた。

 まぁ、火傷は今でもズキズキと痛むが。

 

 「・・・ヒッヒッヒ、そうかいそうかい、じゃあ、これは?」

 

 不適に笑う守屋。

 

 ・・・ッ!?

 

 ま、まさか・・・

 

 まだやつのポーチの中には、大量の・・・

 

 「道連れだ、ハゲ」

 

 守屋は、そのポーチの中で、指を鳴らした。

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