表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
青上強襲篇
59/116

第52話 小さい男


 ピカァァァ!!

 

 とある6月の空は快晴、真っ青な空は清々しい。

 

 生温い風、太陽の光を跳ね返すアスファルト、ちょっとじめじめした空気。

 

 「よく来たね」

 

 落ち着いた男性の声。

 ちょいと長めの青みの掛かった黒髪、低い鼻、真っ黒な二つの眼。

 

 「・・・・・」

 

 俺は奴の顔に視線を向けた。

 相変わらず、憎たらしい顔してやがる。

 

 「フフフ、君の仲間三人は・・・吉崎に瀬良、そして・・・」

 

 奴の眼は虚。

 何を考えているのか、全くわからない。

 

 「・・・フフフ」

 

 俺は今日、コイツをぶん殴る!!












 時は遡る事、昨日。

 

 午後7時半、葉城高校のとある部室。

 

 「どうしたの? 珍しいね、その三人って」

 

 葉城ボクシング部部室

 

 「な、何故!?」

 

 さっき、梨本のオッサンから冬希の居場所を聞いた俺達は、葉城高校へ戻ってきた。

 で、

 

 「何故お前はボクシングを嗜んでいるんだ!?」

 

 学校にまだいた奴らから、冬希はボクシング部の部室にいる事を聞き、こうしてやって来たのだが。

 

 パシッパシッ!!

 

 冬希君はサンドバック相手に格闘中でした。

 

 「冬希、ボクシング部だったっけ?」

 

 でもコイツ、確かもやしっ子のはずじゃ・・・

 

 「あ、いや、今日だけの一日体験入部中!」

 

 あ、そっすか・・・って、

 

 「なんで?」

 

 









 「実は僕、先週青上高等の人と揉め事起こしちゃってさ・・・」

 

 午後8時。

 俺達は部活終わりの冬希を誘って近くのファミレスへ。

 

 「揉め事って・・・お前、何したんだ?」

 

 夏哉はドリンクバーのコーラを飲みながら質問。

 ってか、飲みながら喋るってすげぇ!!

 

 「うん・・・せ、先週、いつも通っている塾の帰りに、不良みたいな人達が子供からカツアゲしてるのを見て・・・」

 

 「見て?」

 

 「その子供、まだ小さい子で・・・」

 

 「小さい子で?」

 

 「その時、塾のテストでいい点取ってて、気分良くて・・・」

 

 「良くて?」

 

 「勝てもしないのに、その子助けるために、不良に声掛けた」

 

 「・・・まさか」

 

 夏哉はもう薄々気付いた様子。

 一方、秋馬はチーズハンバーグをナイフで真っ二つ中・・・。

 コイツだけだよ、本格的な食事頼んだの。

 

 「その不良ってのが・・・」

 

 「青上の人達」

 

 全ては繋がった・・・けど、

 

 「僕が青上の人達に話し掛けて、カツアゲを止めさせようとしたんだけど、青上の人が逆ギレしちゃってさ・・・“君、うざいからシバく”って・・・」

 

 哀れ!!

 

 「でシバかれて・・・“これでは気分が収まらないので、君の高校を潰しますね”って・・・」

 

 古宇宮ちっさ!!

 カツアゲ邪魔されただけで学校潰すって、心どんだけ小さいの!?

 

 「で僕、それが許せなくて・・・今日からボクシングやって力を・・・」

 

 「・・・・・」

 

 弱いくせに、正義感は人一倍ある、残念な子。

 ただ、考えが甘い。

 

 「なぁ冬希」

 

 「ん?」

 

 「明日学校サボって、俺らについてこい」

 

 「えッ!?」

 

 正義君の冬希に学校をサボらす事は、至難の技。

 

 「いいから来い、これは強制命令だ」











 で、現在。

 

 昼は12時、青上の廃工場。

 学校には風邪で休むと言ってある。

 今頃、球技大会最終日の種目、バスケでもやってんだろうな。

 

 「フフフ・・・木山君、狩られる準備は出来ましたか?」

 

 俺の目の前には、青上ブルーパンチの皆様方。

 そして牛渓、古宇宮。

 

 「・・・俺はな、テメェみたいなカツアゲ程度でマジギレするような小さい心の持ち主には、絶対負けねぇ!!」

 

 レッツ、自己暗示タイム!!

 俺はナ〇ト、俺は忍のうずまきナ〇ト・・・。

 

 「・・・ゼッテェシバくぜ」

 

 夏哉は戦闘モードに!

 

 「フン、君達は瀬良家を敵に回した事に後悔するだろう」

 

 秋馬うぜぇ・・・

 

 「・・・・・」

 

 冬希は無言。

 怖いのかな?

 

 「フフフ・・・君達はとても愚かだな」

 

 小者の古宇宮には、ぜってぇ負けねぇってばよ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ