第50話 戦力集結
「だ、大丈夫か?」
「・・・・・」
「お前、すげぇ怪我じゃん!?」
「・・・・・」
「一体何があったんだよ!?」
「・・・・・」
ハイ、言葉のキャッチボール。
あ? 今何してるかってか?
今俺は駅の近くにある公園のベンチにいます。
バネ人間も一緒。
「夏哉、ガチで何があった? 水岡は? っつか、お前青上と・・・」
「・・・ッチ」
し、舌打ち返し!?
「・・・野郎に一杯食わされたな」
「・・・はい?」
今度は突然話出した!?
「青上の古宇宮だ」
「古宇宮!?」
や、やっぱりか!!
「あの野郎・・・香お・・・いや水岡を・・・ッ!!」
あ、他人の前では言い直すんですね、名前。
ってか、
「お前、何があったんだ?」
「・・・ッチ、ありゃ、この前の雷雨の時だ」
夏哉は水岡をエサに青上の奴に捕まった。
その後、青上の廃工場へ連れて行かれたらしい。
「頭やられて気ぃ失って、気付いたら廃工場だった」
廃工場には、葉城の生徒や関係者が十数人。
そして、青上の奴らが多数。
「あん時は正直ヤバかったな。マジで殺気が」
その後、夏哉は冷静になり、現状を把握。
自分は捕まった事を知る。
そして、脱出をはかった。
まずはタイミング。
青上の連中の目を盗んで外へ・・・って、
「そんな簡単に脱出できたの!?」
「バカか、こっちは大変だったんだぞ。青上の連中、数多いからな」
な、何だかなぁ〜。
「だが、俺はもう一度あそこへ戻る」
「・・・ッ」
夏哉・・・
「まだ水岡は目ぇ覚ましてねぇから、連れて来る事は出来なかった。他にもまだ沢山人質がいる」
お、男前!!
「それに、古宇宮の顔面を殴らねぇと、気が済まない」
・・・こ、こやつ!!
「・・・夏哉」
「あんだ?」
「話がある」
で、さっきの明日の昼間の廃工場の話。
「・・・ってな訳で、明日廃工場へ・・・」
「・・・お前も来るのか?」
「え、まあ、はい」
「・・・足、引っ張んなよ」
「・・・今日から貴方の事をアニキと呼ばせて下さい!!」
THE・男心!!
「で、あと二人か」
「では僕も行こう!」
ヌスッ!!
「うおおおぉぉぉぉぉぉ!?」
「なッ・・・!?」
ぶおおおぉぉぉぉぉぉ!!
「が、ががが!?」
い、いかん!!
呂律がッ!!
「久しぶりの出番!」
ど、どっから湧いて出た秋馬!!
い、今そこの茂みから・・・
「話は聞かせてもらったぞ。ここはこの瀬良家の僕、秋馬も助太刀する!」
うわぁ〜、出たよバカハゲメガネ。
「・・・何でテメェがここに」
夏哉はあ然呆然。
「フッフッフ、瀬良家の家庭の事情って奴さ」
ちなみに、この近くに例のクラブあります。
「・・・秋馬、お姉さん元気?」
「なッ、ばッ、春吉ッ!!」
わー怒った。
「オホン、とりあえずこの瀬良秋馬も参戦と言う事で。弱き者は助ける、それが瀬良家家訓!!」
「・・・ハゲメガネ」
正直、うざったい。
けど・・・
「・・・まぁ一応、戦力にはなるか・・・」
こいつ、いろいろと武道習ってるらしいし。
「ケッ、坊主頭がでしゃばるな」
「なッ、何だと庶民!!」
・・・この二人の相性さえ合えば、強いんだろうけど。
「これで二人・・・あと一人か」
喧嘩っ子夏哉に武道っ子秋馬。
大幅な戦力UP!!
あとは・・・
「・・・あとは、この事件の第一関係者だろ」
「はい?」
振り返ると、そこには夏哉。
あっちにはボロボロの瀬良君。
「第一関係者って・・・まさか」
「戦力としては0に等しいが・・・きっと古宇宮の弱点や、この事件の発端を知っているのは、奴しかいない」
それって・・・
「・・・奴の家って、確か征咲市だよな? こっからだとバスか・・・」
「え? 今から行くの?」
もう6時半過ぎ。
さすがに迷惑じゃね?
「何言ってんだバカ吉、期限は明日の昼だろ。今行かなくてどうする」
「・・・・・」
そうだよな、これは人の命が掛かってんだ。
大切な仲間の・・・
迷惑なんて言ってられねぇ!!
「・・・行こう」
「ああ」
「ちょ、ま、待って・・・」
俺と夏哉と秋馬は近くのバス停へ歩き出す。
古宇宮が言っていた言葉。
「梨本冬希」
俺らは梨本家へ急いだ。
空には、夕日が沈み掛け、代わりに月が昇っていた。
やりました、50話達成!
やっと100話の半分ですよ!!
まだまだこれからですね。
と、言う事でこれからもバリバリ頑張っていくので、どうぞよろしくお願いします!!