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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
ゴールデンウィーク篇
5/116

第5話 金色の連休

 5月・・・

 

 俺、木山春吉が葉城高等学校二年生になってから約一ヶ月がたった。

 

 「野郎共、明日からはゴールデンウイークだ!」

 

 『フィーバー!!!』

 

 ウチのクラスの担任、和波辰わなみたつが叫ぶと、野郎共はみんなで仲良くフィーバー!!!

 俺もフィーバー!!!

 

 「フィーバー!!?」

 

 『フィーバー!!!』

 

 「マックス!!?」

 

 『ウェーバー!!!』

 

 「ザ・ワールド!!?」 

 『無駄無駄無駄ァ!!!』

 

 何かの宗教団体みたいだな、ウチのクラス。

 

 ま、とにかくもうすぐゴールデンウイークだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「と、言うわけで明日、映画見に行かね?春吉」

 

 休み時間、俺の机の周りには男友達がいっぱい。

 

 「明日?映画館なんて混むんじゃね?」

 

 「いいじゃねぇか、俺、見たい映画あんだよ」

 

 「何見たいの?」

 

 「そりゃライ〇ーゲームだろ」

 

 「ああ・・・成る程」

 

 明日は確か・・・バイトは無し。

 財布に余裕は・・・若干あり。

 OK、明日はフィーバーDay'sだな。

 

 「じゃあ後で集合場所とかメールするから!」

 

 「OK!!」

 

 ひゃっほーい、明日の予定が出来た!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、眠気と言う軍勢と戦争しつつ授業を受け、なんとか4時間目の世界史を乗り越えた。

 

 「お昼だ!!」

 

 野郎共が適当に机を寄せ合い、弁当やパンを食べはじめる。

 

 「春吉、お前今日も自作弁当?」

 

 「イエス・・・あ」

 

 はい、毎度のパターン

 

 「弁当忘れた・・・」

 

 「はい残念〜!!」

 

 「一人で学食行ってこ〜い!!」

 

 これが現実、悲しいな・・・・・。

 

 「・・・・・」

 

 俺はスッと立ち上がり、半泣きしながら食堂へ・・・・・。

 

 んで、食堂。

 

 一人で食堂なんていつ以来だろうか?

 

 あーあ、他の奴はみんな2、3人でテーブルを囲っているというのに・・・・・。

 

 とりあえず俺は券売機の前へ。

 

 ・・・何にしようか?

 

 カレー?魚定食?うどん?はたまたナポリタン?

 

 「うわ、見ろよあいつ、一人で学食とか・・・」

 

 ひそひそ声がまる聞こえなんですけど・・・

 

 よし、心が死んじゃう前に早く食事を済ませよう!!

 

 「・・・・春吉か?」

 

 ナーウ!!誰か知り合いに見つかった!?

 恐る恐るバックをルック!!

 

 「はは、やっぱ春吉だ!!」

 

 「・・・・・春吉?」

 

 「・・・まさか、一人で食事しようとしてた?」

 

 そこには、こんな場面で会いたくない奴らがいましたとさ。

 

 「・・・あ、アハハ・・・・・はぁ」

 

 楓に小夜に美羽・・・

 最悪なパターンやな。

 絶対イジられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・今、僕はこの学校で上位クラスの可愛い子三人と、学食を食べています。

 まぁ、良いのは見た目だけで、中身はアレですが・・・。

 

 「みんなさ、このゴールデンウイーク何か予定あるの?」

 

 美羽は鮭定食を食べながら、話題を振る。

 

 「あたしは毎年恒例の柔道大会」

 

 カレーをガツガツ食いながら答える楓。

 ちなみにライスは大盛り、ルーは激辛。

 これで何故、こんな細身の体型を保てるのだろうか・・・。

 

 「小夜は?」

 

 「・・・・・いつも通りバイト」

 

 うどんを食べながら答える小夜。

 確か小夜ん家は母子家庭で、さらに7人姉弟。

 長女の小夜がバイト等をしないと、生活がキツいんだとか。

 

 「じゃあ・・・友達がいない春吉君は?」

 

 カッチーン

 

 「友達と映画!!」

 

 ざけんな!俺にもフレンドくらいいるわッ!!

 

 ・・・んな事よりも・・・・・。

 

 「ははぁ・・・春にフレンドなんているのかねぇ〜!?」

 

 ニヤニヤ顔の美羽がウザイ。

 ・・・んな事よりも・・・・・。

 

 俺は話の合間をぬって、ちらっと周りを確認。

 

 周りの野郎共がこっちを凝視。

 周りからの視線が・・・痛いな。

 

 学校でも上位の美少女三人と食事をしている冴えない男子。

 ・・・野郎共からしてみれば、かなりウザイんだろうな。

 

 ハハッ、優越感。

 

 「じゃあ美羽は何か用事あんのか?」

 

 俺がテーブルに視線を戻すと、楓が美羽に質問中。

 

 「私は・・・まぁ、買い物とかいろいろ」

 

 ハハハ、これはまだ予定がないと見た。

 

 「本当はどうなんだよ!?」

 

 「なっ、ほ、本当よッ!!」

 

 「じゃあ誰と行くんだ!?」

 

 「うっ・・・」

 

 ・・・勝った(ニヤリ) 

 「本当はお前の方がフレンドいないんじゃねぇのか!?生徒会長さん!!」

 

 「なっ・・・」

 

 追い打ち成功!!

 ・・・実は俺、ちょっとSです。

 

 「は?何言ってんだ?あたしが友達だろ?」

 

 楓ッ!!なっ・・・え、援軍だとぉ!!

 

 「・・・・・私も」

 

 小夜まで・・・

 

 「二人共ぉ〜!!」

 

 あらら、感激中の生徒会長さん。

 あいつ、昔から人見知り激しいからな。

 楓は他人とケロっと仲良くなるし、小夜は何だか人を寄せ集める体質だし・・・。

 

 「・・・何なんだ?」

 

 俺、孤立してね?

 ・・・とりあえず、さっさとこのナポリタン食って、食堂を後にしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハハハ、俺、本当に心から友達と思える奴、いるのかなぁ〜・・・。

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