第44話 初夏の嵐
ども!!
今回は久々に、夏哉目線で物語は進みます!!
ザァーーー!!
すげぇ雨だな・・・
今は夜の8時近く。
俺はちょっとした野暮用で今から帰宅。
ザァーーー!!
ピカピカピカッ!!
バリバリバリッ!!
雷も鳴ってんのか。
「チっ、折りたたみじゃ、ちっとも役に立たねぇ・・・」
もう横殴りの豪雨。
ッくそ、もう既にびっしょりだ。
「もうちっと、早く向こうを出るべきだったか」
ピカピカピカッ!!
ゴロゴロゴロ!!
・・・夜の町が光ると、何となくだが綺麗な景色に見える。
もし、ここにカオがいたら、きっと・・・
んな事、考えてる場合じゃねぇな。
早く帰らんと。
その時・・・
「・・・フフフ」
・・・ん?
「君が、吉崎夏哉君ですね?」
「あ?」
この嵐の中、傘もささずに、ただ突っ立てる男が目の前に一人。
「こんばんは、夏哉君・・・」
相手は多分、若い男。
雨のせいでしっかしと顔は確認できねぇが、見た目俺と同じくらい。
そして、奴が着てんのは、どこかの学校の制服、ブレザー。
「・・・誰だてめぇ」
「ハハハッ、嫌だなぁ、そんな怖い顔しないで」
何だ、コイツ・・・
「僕、知ってるよ。君、葉城でもかなり喧嘩、強いんでしょ?」
不適に笑う野郎。
うぜぇな。
「・・・そこどけガキ、今てめぇに構ってる暇、ねぇんでな」
早く帰んねぇと、この濡れたワイシャツが気持ち悪りぃし。
「・・・フフフ」
ピカピカピカッ!!
バリバリバリッ!!
近くに雷が落ちた。
「夏哉君・・・やっぱり君、まだ分かってないんだね」
「・・・あ?」
さっきから何だ、コイツ・・・。
初対面の俺に向かって、何を・・・。
「まあいい。特別に教えてあげるよ。牛渓、奴を連れてこい」
「牛渓?」
その時、奴の背後にある建物の陰から、一人の大柄・・・いや、超巨体の男が現れた。
奴と同じブレザー、短髪、超でけぇ。
「・・・コイツが何なんだよ」
「いや、君に見せたいのは牛渓じゃない。彼の足元を見てご覧」
巨体のため、ついついコイツの顔を見るため上げてしまう顔を、あえて奴の足元に顔を向けた。
そこには・・・
「なッ・・・!?」
何ッ!?
「フハハハハ、日頃、感情をあまり表に出さない君も、驚く表情をするときがあるんだね!!」
奴の言葉なんてどうでもいい。
それよりも・・・
「何でだ・・・」
何でそこに、香音が倒れてんだよ!?
「・・・君を怒らせる、一つの道具」
全身雨でずぶ濡れ。
体の至る部分には痣。
制服は泥やら何やらでぐじょぐじょ。
そして閉ざされた瞳、口元と鼻からは、紅い血・・・。
「・・・僕の名前は古宇宮 友喜。青上高校三年」
「古宇宮・・・」
ザァーーーッ!!
雨は強さを増す。
「牛渓、奴を捕らえろ。逃がすなよ」
次の瞬間、巨体が飛んできた。
「・・・ッ!?」
ドッシ〜ンッ!!
超衝撃。
俺は咄嗟にかわし、
「・・・フッ!!」
奴の腹にナックル!!
しかし・・・
ガコォーン!!
「ぐっ・・・」
殴った瞬間、突然手に走った衝撃、痛み。
「フフフ、牛渓、少しシャツをめくってあげなさい!!」
そして奴・・・牛渓は、シャツをめくった。
「てめぇ・・・」
奴の腹と服の間には、厚い鉄板が一枚。
「・・・フフフ」
くそっ、どうする・・・・・。
「言っておくけど、水岡香音の身はこちらにある事をお忘れなく」
ハッ、しまった。
香音・・・
「・・・んだてめぇ、お前らの目的は・・・」
ゴンッ!!
「・・・!?」
その時、俺の後頭部に凄い衝撃が走った。
「よくやった、牛渓」
しまった、油断したか・・・。
気付いたら、俺はいつの間にか地面に倒れていた。
やべ、意識が・・・
「最後に教えてあげようか。僕らの目的」
くそっ・・・
「目的・・・それは、葉城への復讐さ」
「・・・んだ・・・と・・・」
その時から、俺の意識はなくなっていた。