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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
青上強襲篇
44/116

第43話 雷雨


 「ああ・・・ヒドイ目にあった」

 

 痛つ・・・まだ顔面が痛む・・・

 

 現在、学校から帰宅し、堀田ジムでバイト中。

 

 「ったく、何なんだ、あの殺人シュートは!?」

 

 全く、恐ろしい。

 多分、今俺の顔にはサッカーボール型のあざでも出来てるかな?

 

 「木山君、コートのテーピング終わった?」

 

 あ、いけねぇッ!!

 

 「もうちょいです!」

 

 い、急いでテーピングをしなければッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザァーーー!!

 

 「・・・うげ」

 

 いつも通り8時にバイトが終わり、さて帰宅しようとしていた矢先・・・

 

 ザァーーー!!

 

 ドシャ降りの雨。

 

 「やべ・・・傘持ってきてねぇよ・・・」

 

 今日の降水確率30%

 って、お天気お姉さんが朝言ってたな。

 

 「・・・普通、30%じゃ傘は持たない・・・」

 

 まいったな・・・

 

 ピカピカッ

 ドカ〜ンッ!!

 

 「のあっ!!」

 

 雷まで鳴ってる・・・

 

 「これじゃ・・・帰れない」

 

 マジかよ・・・今日は見たい深夜アニメはねぇけど、早く帰りたいんだよ、気分的に!!

 

 ピカピカッ

 ドッシャ〜ンッ!!

 

 うわ、落ちた!!

 

 「・・・仕方ない、雨止むまで待つか」

 

 雷が落ちておだぶつ、ってよりかはましだし。

 

 ピカピカッ

 ドッシャ〜ンッ!!

 

 しかし・・・

 

 「雷すげぇ」

 

 眩しいぜっ!!

 

 ピカピカピカピカッ

 バリバリバリッ!!

 

 「うわっ!!」

 

 ぎゃ〜!!

 すぐ近くの鉄塔に落ちたッ!!

 み、耳がッ!!

 

 「こ、怖ぇ〜」

 

 もういややぁ〜!!

 

 ブーブーッ!!

 

 「ぎゃああああ!!」

 

 雷いやぁ〜・・・って、あれ?

 

 ブーブーッ!!

 

 「・・・・・」

 

 ・・・携帯の、マナーモードのバイブ音?

 

 ブーブーッ!!

 

 なんか・・・恥ずかしいな・・・。

 俺、今携帯にビビってたと思うと。

 

 ま、とりあえず

 

 ポチっ!!

 

 「もしもし?」

 

 『あ、やっと出た』

 

 「・・・赤佐か」

 

 電話は赤佐クンからでした。

 

 「何用だ?」

 

 『いや、あのさ・・・ちょいと助けて欲しい事がありまして・・・』

 

 助けて欲しい事?

 

 「何、どした・・・」

 

 ピカピカッ!!

 バリバリバリッ!!

 

 「ぎゃあああ!!」

 

 近くに落ちたッ!!

 

 『春吉、今・・・お前何してんの?』

 

 い、いかん!!

 いい年した高校生が雷怖いなんて、とてもじゃないが言えん!!

 

 「あー・・・いや、メンタル修業中」

 

 『はい?』

 

 「な、何でもいいだろ!!・・・つか、それより助けて欲しい事って?」

 

 ピカピカッ!!

 ドカ〜ンッ!!

 

 「ひぃ〜!!」

 

 また落ちたッ!!

 

 『春吉・・・だ、大丈夫か?』

 

 「あ、アハハ・・・多分大丈夫」

 

 本当は大丈夫じゃねぇけど。

 

 「で、本題は?」

 

 『あ、ああ・・・じ、実は今・・・』

 

 「・・・・・」

 

 なッ・・・赤佐の声が震えているだとッ!?

 一体何が!?

 

 『・・・今、田名辺商店の軒先で、雨しのいでんだけど・・・』

 

 「・・・そっちも今、雨降ってんのか」

 

 田名辺商店ってのは、葉城高校の近くにある駄菓子屋。

 

 「で、どうした・・・まさか、雷が怖いから助けに来てくれとか?」

 

 ピカピカッ!!

 バリバリバリッ!!

 

 「ぎゃあああ!!」

 

 『いや、違う。じ、実は今、田名辺商店の軒先にいるの、俺だけじゃなくてさ・・・』

 

 「はへ?」

 

 だからどうした?

 

 『で・・・今、一緒に雨宿りしている相手ってのがさ・・・』

 

 「相手ってのが?」

 

 まさかハゲメガネ?

 だったら気まずいよな・・・助けを求めるくらい。 

 『実はその・・・え、荏咲さんでさ・・・』

 

 「小夜?」

 

 ハゲメガネじゃあないのね。

 

 『ど、どうしよう・・・な、何話していいか、全然分からなくて・・・』

 

 「・・・平和だな」

 

 ピカピカッ!!

 バリバリバリッ!!

 

 こっちは・・・平和とは程遠い死地なのさ。

 

 『春吉どぅしょぉ!』

 

 「赤佐落ち着け。ちゃんと言葉が発音出来てないぞ」

 

 ピュアな子やな。

 

 『ああ・・・ああ・・・ああ・・・』

 

 「とりあえず聞くが、小夜はこの電話の事、気付いてんの?」

 

 『いや・・・今、ベンチに座って下向いてるから・・・気付いてはない』

 

 「・・・で、田名辺商店はまだ、シャッター開いてる?」

 

 『もう閉まってるぅ〜!!』

 

 「・・・そっか」

 

 つーか、何でこんな時間帯に小夜がそんな所に?

 

 『助けてくりぃ〜!』

 

 「・・・はぁ」

 

 面倒臭い。

 

 『もう・・・ヤバイんだよ・・・荏咲さんのワイシャツ、雨で透けてて・・・目のやり場が・・・』

 

 なッ!?

 

 「あ、赤佐!!早まるなよお前!!」

 

 駄目だ!!リアルすぎだぞ!!

 

 『は?』

 

 「お前、ハンカチか何かは?」

 

 『あ、一応・・・』

 

 「だったら小夜に渡せ!!“雨、止みそうにないな”みたいな感じで、さりげなくだ!!」

 

 『あ、ああ・・・』

 

 ・・・電話の向こうで、何かのやり取りが聞こえる・・・。

 少し気になる。

 

 「・・・・・」

 

 何やってんだろ?

 その時!!

 

 プープープープーッ

 

 「な、何の音!?」

 

 何だッ!?

 ・・・って、この音はまさか!?

 

 俺は恐る恐る、携帯画面の左上を確認。

 

 残りバッテリー、もうなし。

 そして

 

 ぷちっ・・・

 

 「・・・・・あ」

 

 電源切れた・・・

 

 まさかのいい所で、電源切れた・・・

 

 ピカピカッ!!

 バリバリバリッ!!

 

 ・・・もう、嫌です。

 何もかも。

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