表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
球技大会本戦篇
38/116

第38話 探偵ごっこ


 球技大会二日目の学校帰り。

 ちなみに今日は一人。

 

 美羽は生徒会の仕事。

 楓は部活。

 小夜も部活。

 権三朗は委員会活動。

 赤佐は小夜のストーカー(現在犯罪実行中)。

 

 「・・・つまらん」

 

 空はもうオレンジ色に染まり、アスファルトに写る俺の影は長い。

 な、なんか虚しくなるシチュエーションだな。

 

 「はぁ〜・・・」

 

 上空にはカラス、右の塀の上には野良猫、目の前にはでっかい蜂・・・ってうおッ!?

 

 「うわっ、危ねッ!」

 

 ブ〜ンと鳴る羽音をたてながら蜂は空の向こうへ・・・。

 

 「あ、危ねぇなチクショー!!」

 

 今のはスズメバチだったな・・・怖っ!!

 その時・・・

 

 「ん?」

 

 俺の前方約5メートルの電柱に、1人の少女が・・・張り付いていた。

 

 「・・・何?」

 

 電柱の陰から、しきりに前方を伺っている少女に、悲しいながら多少の見覚えが。

 

 「どうする、俺?」

 

 話し掛けるか、シカトするか・・・。

 

 その時、少女がたまたまこっちに振り返った。

 

 「・・・あ!」

 

 向こうは俺に気付いたらしい・・・。

 

 「そこにいるのは春吉君!!」

 

 「よ、よぉ・・・」

 

 電柱に張り付いていた少女は、俺的にあまり関わりたくない人―――渡邉亜希です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「渡邉さん、あんた何してんの?」

 

 「あ、春吉君、私の事渡邉さんじゃなくて、亜希でいいですよ!!」

 

 「え・・・あ、じゃあ亜希、何してんの?」

 

 相変わらず電柱に張り付き、前方をちら見している亜希。

 怪しいですぞぉ〜!!

 

 「あ、探偵ごっこです!!」

 

 「・・・はい?」

 

 た、探偵?

 

 「今ですね、ある人を尾行してるんです」

 

 「尾行っすか・・・」

 

 暇なのね。

 

 「で、亜希。今誰を尾行してんだ?」

 

 亜希は電柱から次の電柱の陰へ移動。

 俺はそれについていきつつ質問。

 

 「それは・・・ほら、あの人です」

 

 電柱の陰から亜希が指差す人。

 そして、その指の先には・・・。

 

 「・・・あ、あのハゲメガネッ!?」

 

 俺達の前方で、やたらと挙動不審なハゲメガネがいました。

 

 「あ、亜希。ま、まさかとは思うが・・・」

 

 「私が尾行しているのは瀬良君です」

 

 な、なぁッ!?

 思わず叫びそうになった俺。

 俺の目の前には、秋馬の姿が。

 やたらと周りを気にしている・・・。

 

 「一つ聞きたい。あのハゲメガネは一体、何してんの?」

 

 「さぁ・・・?」

 

 「じゃあ亜希、お前は何で秋馬を尾行してんの?」 

 「何でって・・・何か面白そうだったから・・・」 

 「単純な理由だなッ!!」

 

 一方、秋馬は相変わらず回りをキョロキョロ。

 多分、近所の人に見つかったら、不審者として通報されんな。

 

 「あのハゲメガネ・・・ガチで何してんだ?」

 

 何かを探しているみたいに見える。

 

 「春吉君!」

 

 秋馬が若干移動したので、俺達は次の電柱へ移動!!

 

 「何?」

 

 「今日、暇ですか?」

 

 「ま、まぁ・・・」

 

 「じゃあ今日は一緒に探偵しましょう!!」

 

 「・・・は?」

 

 今、俺はさっきの言動に後悔。

 これは・・・何かのイベントフラグが立った。

 

 「私、瀬良君とは同じクラスなんですけど、たまに瀬良君の生態が気になる時があるんです」

 

 「何故ッ!?」

 

 ハゲメガネの生態なんて・・・死ぬほどどうでもいい。

 

 「あの頭とあのメガネで日頃、何しているのかなぁ〜って」

 

 「・・・お前、意外と悪い性格してんな」

 

 ハゲでメガネだから気になるって、ただの見た目批判!!

 

 「あ、春吉君、ターゲットが何かの店の中に!」

 

 「ターゲットって、お前な・・・」

 

 ノリノリの亜希。

 こいつ、本当に財閥の娘なのか?

 

 つーか、それよりも・・・。

 

 「・・・秋馬、ここに入って行ったのか?」

 

 「はい、確かに見ました!!」

 

 ハゲメガネが入って行った店。

 読者の諸君、ドン引き間違いなしだぞ。

 

 「じょ、女王様がアナタの心と体を踏みにじる、Mっ子限定、〔クラブ・クイーンウィップ〕って・・・・・はいッ!?」

 

 な、何だここぉッ!?

 

 「こ、これはかなりマズイんじゃ・・・R18だよこれ!!」

 

 つーかあのハゲメガネ、そんな趣味!?

 

 「女王様が心と体を踏みにじるって、一体何をするんでしょうね?」

 

 亜希の心は純粋だぁ〜!!

 

 「・・・もう、帰ろうか亜希」

 

 俺、もう精神的に無理です。

 第一、この小説は学園コメディーですよ?

 これは・・・もはや論外でしょ。

 

 「・・・そうですね、そろそろ武藤が迎えに来る時間ですし」

 

 亜希は携帯の時刻を確認。

 

 「ん?武藤?」

 

 って誰?

 

 「はい。渡邉家の執事です」

 

 執事・・・って、マジですか・・・。

 

 「春吉君、今日はもうお開きにしましょう」

 

 「・・・ああ」

 

 今日の収穫、ハゲメガネの趣味・・・つーか、マジで秋馬、こんな店に通ってるのか?

 

 「あ、春吉君、よかったら送っていきましょうか?」

 

 「え、ああ・・・今日は遠慮しとく」

 

 多分リムジン。

 無理です。精神的に。

 

 「そうですか・・・では、また明日」

 

 亜希は少し残念そうな顔をしながら駅の方へ。

 

 「・・・はぁ」

 

 秋馬・・・お前・・・

 

 読者のイメージがた落ちだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし翌日、俺は驚愕の事実を知る事になるとは、この時の俺は、まだ知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ