第37話 荏咲VS水岡
ウソだろ・・・
「はっ!!」
バッコーンッ!!
「・・・・・」
強烈なスマッシュ。
「やった、また入った!!」
「・・・・・ッ」
球技大会二日目、火曜日午後女子テニス。
小夜と水岡の試合。
「なんだコレ・・・ほぼありえねぇだろ」
俺はどん引き。
「だから言っただろ?カオを甘く見るなって」
そう言う夏哉も、少し顔が引きつってるし・・・
「だが・・・まさか、ここまで上がるとは」
夏哉の頬を、一粒の汗が滴り落ちた。
この試合、最初の方は小夜のペースで事が運んでいた。
水岡なんか、小夜のゆっくりサーブすらスカすほどの下手ぶりだったし。
しかし・・・
試合開始から5分後、突然水岡はスマッシュを決めた。
「あのカオはな、5分もあれば全てのスポーツをマスター出来るほどの運動神経を持っている・・・バスケは例外だが」By夏哉
「だ、だからって・・・これ無茶苦茶だろ!!」
ブーメランスネイク
ジャックナイフ
燕返し
ムーンボレー
ウォーターフォール
手づ・・・水岡ゾーン
「ここは青学かッ!?」
しかも何で主役の越〇リョーマの技はないの!?
「カオはジャ〇プっ子だからな」
「今はSQ・・・って、そう言う問題じゃねぇ〜!!」
はぁ、はぁ〜・・・
疲れる。
つーか・・・
「ああ・・・荏咲さん・・・」
赤佐がッ!!
「ちょ、落ち着け!」
「そんな・・・荏咲さんが・・・押されてるなんて・・・」
赤佐パニック中。
ピュアゆえの悲劇。
一方、コートでは
「荏咲さん、この試合、あたしがもらった!!」
「・・・まだまだ」
あれま!!
珍しく小夜が燃えてるがな!!
「ねぇ、春・・・」
「ん?」
今、話し掛けてきたのは美羽。
「み、右・・・」
「右?」
んだよ、大事な試合中によ・・・
で、右を向く。
そこには・・・
ブォォォォン!!
「へ?」
何か飛んできた
バッコーン!!
「ぐへっ!?」
直撃。
「あ、悪ぃ!!」
向こうから、一人の女子が走ってきた・・・つーか痛い!!
飛んで来たもの・・・テニスラケットォ!?
あ、危ねぇ!!
「あの〜・・・だ、大丈夫ですか・・・って何だ、春吉か」
か、楓ぇ!!
「て、てめぇ、何を・・・」
「いや〜、事故を装ってラケットを相手に投げたら、小夜有利になるかなぁ〜って・・・で、今手が滑っちってさ」
なッ・・・
「い、いけません!」
馬鹿かコイツ!?
「何、その手があったか!!」
「赤佐ぁ!!だから駄目だぁ!!」
楓と赤佐がラケットスタンバイ状態に!!
「殺るか、赤佐?」
「殺りましょう、沢那さん!!」
「二人共、字が違ぁ〜う・・・つーか暴力は駄目だぁ〜!!」
その時!!
〔ゲームセット!!〕
あ!!
〔勝者一組、水岡香音!!〕
「あ〜!!てめぇらがふざけるから、試合見逃したじゃねぇか!!」
つーか小夜負けた!!
「んだよ、だからラケットで相手を仕留めようと・・・」
「馬鹿かぁ!!」
全く・・・楓は本当に女子・・・いや、人間なのか?
「ああ・・・荏咲さん・・・」
一方、赤佐は絶賛フリーズ中。
そして小夜は、相変わらずの無表情・・・いや、若干笑顔で水岡と握手。
「・・・水岡さん、今度無我の境地を教えてね」
「うん、いいよ!!」
す、すげぇ・・・
「もうテニス終わりかよ・・・春吉、だから時間の進み、速く・・・」
「楓、だから世界観をぶち壊すなよ・・・」
明日はサッカー!!