第34話 地獄絵図
それは、前に冬希をヤンキーさんから助けた、あの夜の事。
冬希救助後、俺は荷物を届けるため、小夜の家に行った。
そこでの会話
「なぁ小夜」
「・・・ん?」
「あのさ、もうすぐ球技大会じゃん」
「・・・うん」
「でさ、俺、バレー出るんだけど、イマイチバレーが苦手でさ」
ジャンケン、チョキの悲劇。
「・・・うん」
「で、どうやったらバレー上手くなるかなぁ〜って」
この時はマジで悩んだものだ。
「・・・大丈夫」
「・・・へ?」
小夜さんは、自信たっぷりに答えました。
「・・・ウチのクラスのバレーには、楓がいる」
「・・・は?」
「楓はスポーツ強い。きっと大丈夫」
「・・・もしかして俺、今戦力外宣告されてるのか?」
楓に頼れってか?
「大丈夫、春吉は無理しなくて」
「・・・ッヘ」
俺、頼りにされてないよな・・・。
いじけたい。
しかし今、小夜の言った事は、まんざらでもなくなった。
「セイヤッ!!」
バシュ〜ンッ!!
「・・・・・」
球技大会初日、二年バレーボール第二試合。
そこはまさに地獄。
「セイヤッ!!」
バシュ〜ンッ!!
「・・・・・」
俺は思った。
バレーボールは、時として人を殺害出来る凶器となれる。
「もう嫌だぁ〜!!」
「悪魔や、あそこに悪魔がおる!!」
「まだ死にたくねぇ〜よぉ〜!!」
「おっかあ〜!!」
これは、対戦相手の一組の野郎共の悲鳴。
現在、第二試合最後の十分。
男女混合試合。
「・・・あの〜、楓さん・・・」
「あ?」
俺は勇気を持って、魔王の元へ。
「恐縮ですが・・・少し、相手の事を考えてサーブをしてみたら・・・」
「手加減はしねぇよ」
あら、たくましい子・・・じゃなくて、
「ちげぇよ、お前、もう一組の連中半分死んでんだよ!!」
事の始まりは、今から20分前・・・
殺人サーブを習得している大魔神こと、沢那楓は、まず手始めに一組のレディ共を根絶やしにした。
地獄絵図でした。
最初の10分、女子同士の試合は、我が三組の圧勝!!
その後の男子の10分で多少追い返されはしたが・・・
「セイヤッ!!」
バシュ〜ンッ!!
最後の男女混合の10分で再び地獄絵図。
悲鳴やら絶叫やら遺言やらなどが飛び交った。
〔ピピィ、試合終了、三組の勝ち!!〕
圧勝。
一組の連中は皆、無事生きて帰ってこれた事に感動しているらしい。
「みんな泣いてる・・・そんなに怖かったんだな・・・」
まさか、球技大会で死にかけるなど、誰も予想していなかっただろう。
で、一方の大魔神は、
「ッしゃ〜!!まずは一勝!!」
ガッツポーズ中。
恐ろしい・・・
もう、バレーボールは割愛します。
対して面白い相手もいないし・・・
何しろ、ウチのクラス、圧勝の連続であっという間に優勝しちゃったし。
「すげぇ、まさか全ての試合で圧勝するとは」
これは赤佐の感想。
「・・・春、あんた何か活躍した?」
美羽の感想。
「・・・さすが」
小夜の感想。
「やっぱ大魔神は胸がねぇから、空気抵抗がなく・・・」
ドカッ!!
権三朗最後の言葉。
「俺、今回何も主人公らしい事してねぇ〜!!」
俺の感想。
「何だ、あんまり手応えなかったな」
大魔神の感想。
明日はテニスです。
おまけ、各キャラの球技大会参加表!!
三組メンバー
春吉:バレー、バスケ
楓:バレー、サッカー
小夜:テニス、野球
美羽:サッカー、バスケ
赤佐:野球、バスケ
権三朗:テニス、サッカー
一組メンバー
夏哉:テニス、バスケ
香音:テニス、バスケ
四組メンバー
秋馬:サッカー、バスケ
亜希:野球、バスケ
二組メンバー
冬希:野球、バスケ
月曜日:バレー
火曜日:テニス
水曜日:サッカー
木曜日:野球
金曜日:バスケ