第27話 黒い閃光
「春吉くん・・・私、あれから考えたんですけど、私、春吉くんが誰と同棲していようが、気にしない事にしました」
「・・・はい?」
学校、校長室からの帰り道。
俺は、渡邉さんを、彼女のクラスの四組へ送っている途中(校舎内案内もかねて)。
「けれど、だからと言って、4番目の女になる気は全くありません」
「いや、あの・・・渡邉さん?」
ま、まだ誤解してんのかこの女!?
「何がなんでも、私は、春吉くんにとっての1番の女になってみせますから!!」
「だ、だから違っ」
「そしたら、絶対に結婚しましょ!!」
ニッコリ笑顔の渡邉お嬢様。
無邪気です。
「いや、だから、1番とか同棲とかは違・・・」
「私達、結婚したら、どっちの苗字になるんでしょうね!!」
人の話聞けぇ!!
「今から楽しみですね!!」
・・・俺は今、ようやく理解した。
渡邉さんは立派なお嬢様キャラじゃない。
妄想癖が激しい天然っ子なんだ!!
「では、またあとで」
「あ、ああ・・・」
笑顔で手を振る渡邉財閥跡取り娘。
俺も、とりあえず愛想笑いで返す。
・・・疲れた。
見事、渡邉嬢を四組へ送り届けた俺は、フラフラした足どりで教室へ。
ガラガラガラ!
「ただいま・・・」
我がクラス三組の扉を開き、クラスへ入室する俺。
その時・・・
「月牙天衝!!」
「・・・へ?」
次の瞬間、俺の体は吹っ飛んだ!!
そして・・・
ドッスーン!!
掃除用具入れに激突!
つーか痛ッ!!
「フハハハハ、ぶざまだな春吉!!」
はッ、この声は・・・
「はッ、どうやら俺のほうが上だったみたいだな!!」
そこにいたのは、死神代こ・・・じゃなくて権三朗!!
奴の手には、刀に見立てたほうきが一本。
「なっ・・・テ、テメェ!!」
「行くぜ、これが俺の虚化だッ!!」
すると権三朗は、どこからかヒョットコのおめんを取り出し・・・
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
顔に装着し、絶叫。
普通にウザイ。
しかも・・・
「いけぇ、いち・・・じゃなくて権三朗!!」
「ウルキオ・・・じゃなくて春吉に勝てぇ!!」
「助けて、黒さ・・・じゃなくて重原くん!!」
クラスの連中は、みんなノリノリだし(野郎共だけだが・・・)。
・・・いいだろう
「・・・それで、勝ったつもりか?重原権三朗」
俺も乗ってやる!!
まぁ、このまま行くと負け役だが・・・
「・・・鎖せ」
俺は近くにあった机の上に上り、権三朗を見下ろす。
「権三朗、このままだとヤベェ、アレが来るぞ!!」
「権三朗、逃げろ!」
「黒い翼だ・・・!」
野郎共はマジでノリノリ状態。
「黒翼大魔!!」
俺はそう叫び、これまた近くにあった空ペットボトルを手に取る。
「なッ・・・」
一方の権三朗は、何故かひざまづいていた。
・・・何もしてないのに、ヒョットコのおめんが少し欠けてるし。
「こ、これがウルキオ・・・いや、春吉の刀剣解放だと・・・」
権三朗はポツリと呟いた。
フハハハハ!!
「権三朗、最後だ、見せておいてやる。これが、黒い虚閃だ!!」
調子に乗った俺は、手に持っている空ペットボトルを、権三朗に向かい投げ飛ばす!!
「黒虚閃!!」
「クソッ!!」
権三朗は、俺の虚閃・・・いや、ペットボトルを思い切りほうきで弾いた。
「喰らうかッ」
コツンッ
「ん?」
「あ?」
あれ、今何か、奇妙な音が・・・?
「春吉、右、右ぃ!」
あ?赤佐が何か小声でジェスチャーしとる。
右?一体右に何が・・・・・ッ!?
「・・・・・」
俺は一瞬でフリーズ。
「・・・おい」
・・・そこには、額に痣が出来た、藍ぜ・・・いや、楓の姿が・・・。
「・・・あ、あの〜」
楓さんの手には、俺が放った黒虚閃があった。
「・・・・・」
あ、あらま、殺気が凄いや・・・視認出来るくらいに・・・。
一方の権三朗は・・・こ、こやつ、マッハの速度で土下座しおった!!
「申し訳ございませんでした!!」
「あ、テメェ、ずりぃ、抜け駆けは駄目・・・」
「・・・おい」
「「は、はいッ!」」
俺もマッハでジャンピング土下座。
「・・・体育倉庫の裏に来い」
「・・・え?」
「・・・おら、行くぞ」
楓さんは瞬歩のごとき速さで俺らの背後に回り、襟をわしづかみ。
「え、あ、嫌、ごめんなさいごめんなさい!!」
「あ、アカーン!!」
・・・その後、俺らは体育倉庫の裏まで引きずられ、処刑を受けました。
「これ、BLE〇CH知らない人は、全く分からんだろうな・・・」
「・・・春吉」
「あッ!!すみませんすみませんすみません!!」
「ども〜!!権三朗ですたい。では早速ミニコーナー“姫様達の日常生活を覗いちゃおう!!”はーじまーるよー!!」
前回の続き・・・
午前6時30分
「ふぁ〜・・・」
「はいはい、半男生物が起床しました!!・・・あ、ちなみに今、俺は“透明マント”被ってるから、楓にはバレてません!!」
「・・・もう・・・朝・・・」
「(母)楓ぇ、今日朝練あるんでしょ?早く起きなさい!!」
「一階から母親の声がッ!!楓さんは、朝が苦手なようです!!」
「・・・今・・・行・・・く」
「・・・まだ、目が半分寝てますね。ハハハッ、この寝ぼけ顔、意外と可愛いではありませんか!!」
「・・・・・ぐぅ」
「なッ・・・二度寝だと・・・!!」
・・・つづくッ!!