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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
球技大会前哨篇
24/116

第24話 約束


 その時、俺は全てを思い出していた。

 

 「思い出してくれましたか?木山さん・・・いや、春吉くん・・・」

 

 「あ、ああ・・・」

 

 ・・・気まずい。

 正直、思い出したと言っても、ぼんやり程度。

 細部までは覚えていないし・・・。

 

 つーか、それ以前に、この子があの時の亜希ちゃんかよ!!

 雰囲気、変わりすぎだろ、コレ・・・

 昔はもっと、活発なイメージがあったのに、今は逆におしとやかイメージ。

 

 「じゃ、じゃあ、結婚は・・・?」

 

 「えっ・・・いや、マジで?」

 

 どうしようか・・・

 ぶっちゃけ、もう帰りたい・・・あ、ここ家か。

 

 「・・・春吉」


 

 「ハッ!!」

 

 さ、小夜!!そんな目で俺を見るなッ!!

 

 「春吉くん・・・」

 

 「いやいやいや、ちょっと待ってくれ!」

 

 ここは冷静な対処を!

 

 「け、けけ結婚って言ったって、ま、まだ俺ら、お互いの事、何も知らんだろ!?」

 

 「いえ、私は知ってますよ?」

 

 はい?

 

 「木山春吉、16歳、2月3日生まれの水瓶座、好きな物はアニメ、特技は口で綺麗にみかんの皮を剥けること」

 

 「・・・・・」

 

 得意げに話し始めた亜希ちゃん・・・いや、渡邉さん。

 

 「あの・・・」

 

 「はい?」

 

 俺は勇気を持って質問!!

 

 「その情報は、どちらから・・・?」

 

 ヤクザの裏ルートだったりして・・・

 

 「ああ、春吉くんの事は全て、春吉くんのご両親から・・・」

 

 「・・・なるほど」

 

 あのクソ両親め、とうとう息子を売ったかッ!!

 

 「私も、始めは驚きました。まさか、春吉くんのご両親と私の両親につながりがあったなんて」

 

 つながり・・・ああ、借金か。

 

 「・・・春吉くん」

 

 「は、はい?」

 

 渡邉さんは姿勢を直し、俺の顔に視線を向けた。

 

 「お金の件は、私から父にお願いして、何とか帳消しに出来るよう、話しをしてみます」

 

 「はぁ・・・」

 

 借金の件は、両親が俺に内緒でやっていた事だから、俺にはイマイチ分からん・・・。

 

 「・・・そして、春吉くん」

 

 「は、はい?」

 

 彼女の顔は、ほんのり赤くなっていた。

 

 「改めてですが、あの時の約束、結婚の・・・」

 

 多分だが、次に渡邉さんが発するであろう言葉が、予想できた。

 そして、渡邉さんが何か重要な事を言おうとした、その時・・・

 

 

 

 「・・・だめ」

 

 

 

 今まで静かに傍観していた小夜が、ボソッと呟いた。

 

 「さ、小夜?」

 

 小夜はそっと、俺の側にやって来た。

 

 「・・・だめ。それは、絶対」

 

 「はい?」

 

 彼女の瞳は、何かを訴えているのが分かる。

 

 「・・・そう言えば、あなたは?」

 

 一方、渡邉さんは、話しの腰を折られたのか、話題を小夜へチェンジ。

 

 「あ、そっか。渡邉さんは小夜と違うクラスだったっけ」

 

 懐かしい幼稚園時代。

 俺と渡邉さんはきりん組、その他メンバーはぱんだ組だった。

 だから、面識はないのか。

 

 「こいつは小夜。まぁ、学校でのクラスメートで、昔からの友達だ」

 

 俺は小夜の顔をちらっと見る。

 小夜は、目を伏せていた。

 

 「友達・・・ですか」

 

 ・・・あれ?渡邉さんの目は、なんか訝しげ。

 

 「そう、友達だ・・・」 

 その時!!

 

 スパァァァンッ!!

 

 「うおっ!!」

 

 突然、和室の襖が勢い良くオープン。

 そして・・・

 

 「春!!覚悟ぉ!!」

 

 「み、みは・・・」

 

 ゴンッ!!

 

 ・・・突然、乱入してきた美羽に、顔面をグーで殴られた。

 痛いです。

 

 「痛っ、な、何すんだ!!」

 

 「いや、そう言えば昨日の仕返ししてなかったから、今から半殺し!!」

 

 「昨日?」

 

 昨日・・・・・昨日・・・・・あ!!まさか、電車事件かッ!!

 

 「なぜ今!?」

 

 「いいから殴らせろぉ!!」

 

 ゴンッゴンッゴンッ!

 

 「痛い、痛い!!目はアカン!!」

 

 つーか、マジでなぜ今復讐を実行?

 理不尽&タイミングが悪い!!

 ほら、渡邉さん、引いてるし!!

 

 「ちょっ、待て、一旦止め・・・」

 

 「春のバカァァ!!」

 

 ギャアアア!!目潰し止めてぇ!!

 つーか、こいつの目、超怖い!!

 

 「全部丸聞こえなのよ、何が、何が・・・」

 

 「み、美羽!?」

 

 「何が結婚よぉ!!」

 

 ゴンッゴンッゴンッ!

 

 「だから目は止めッ、ギャアアア!!」

 

 が、眼球がぁ!!

 そしてその時、

 

 「春吉、食器ってどこにしまえば・・・」

 

 キッチンから、楓がやって来た。

 

 「お!?春吉、プロレスごっこか?」

 

 この状況がプロレスに見えるかぁ!!

 

 「ちょっ、楓、た、助けて・・・」

 

 「春のアホォォ!!」

 

 ドカッゴンッバシッ!

 

 「あっはっは、頑張れ春吉!」

 

 のんきな事言ってる場合じゃねぇ!!

 俺は楓からの救助を諦め、視線をさ迷わせる。

 その時、

 

 「お、女の子3人と・・・同棲」

 

 ・・・今、何か・・・変な言葉が聞こえたような・・・。

 

 「あの春吉くんが・・・女の子3人と・・・」

 

 ・・・俺は、目潰しで半分死んでしまった目で、何となく渡邉さんを見た。

 

 渡邉さんは、呆然としていた。

 

 多分だが・・・変な誤解をしていると、俺は思う。 

 「わ、渡邉さん?」

 

 「あの春吉くんが・・・同棲・・・」

 

 やはりかッ!!

 

 「ちょっ、ま、変な誤解してない?」

 

 「3人・・・ふ、不潔ですッ!!」

 

 ・・・たった今、ここ木山家に、新たな大誤解が生まれた。

 

 「もう嫌ですっ!!」

 

 渡邉さんはそう言うと、ガバッと立ち上がり・・・・・。

 

 「3人はさすがに嫌ぁ〜!!」

 

 玄関へダッシュ。

 

 「あ、ちょっ、違う・・・がぁ、美羽、だから目は止め」

 

 「春死ねぇ!!」

 

 バタンッ!!

 

 玄関のドアの、閉まる時の音が、家中に響いた。

 

 俺はただ、美羽の半殺しを受けながら、そのドアの音を聞いてる事しか出来なかった。

 ミニコーナー、キャラクタープロフィール紹介!

 

 キャラクターNo.8

 

 渡邉 亜希

 (ワタナベ アキ)

 

 女性、現在16歳、須貝学園二年二組在籍。

 

 身長:159cm

 体重:53kg

 誕生日:12月30日

 血液型:A型

 好きな物:木山春吉、紅茶、マドレーヌ

 嫌いな物:紅生姜、漬け物、財閥、差別

 趣味:木山春吉関連の情報収集、日光浴

 特技:茶道、華道、琴演奏

 その他:渡邉財閥の正式な跡取り、渡邉財閥の力からとある幼稚園を救った過去がある。

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