第21話 ご結婚
「・・・ど、どうぞ」
俺はさっき煎れてきたお茶を、ちゃぶ台の上に置く。
「あ、すみません」
渡邉嬢はニッコリ微笑んだ。
・・・ここはウチの和室。
ついさっき、我が家に尋ねてきたのは、両親が言っていた渡邉さん。
渡邉亜希さん、年齢は16、高校2年生。
ぶっちゃけ、ヤクザの子供!?
「で・・・あの・・・その・・・」
な、何を話すべきか・・・。
「・・・木山さん」
「は、はいッ!?」
この子はヤクザの子(多分)!!
もし下手な対応でもしたら・・・首がッ!!
「木山さんのご趣味は・・・?」
「しゅ、趣味で・・・ござんす・・・か?」
やべっ、緊張で敬語が分からん。
「はい」
「趣味・・・趣味・・・」
第16話の後書き見ろ・・・とは言えないな。
「えーっと、その・・・あ、アニメのご観賞を・・・」
って俺、何言ってんだ!!
「アニメ・・・ですか・・・?」
オタクオーラが滲み出てますかね?俺の体から?
「は、はい。その、あ、アニメを・・・」
・・・お見合いか?この空気?
「アニメですか、私もたまに見ますよ」
「そうですか・・・」
・・・沈黙。
「・・・木山さん」
「は、はい?」
メガネを掛けている渡邉さんの色白の顔が、少し赤くなっているのが分かる。
な、何ッ!?
「木山さんには・・・今、お付き合いしている方とかは?」
「お付き合い!?」
その時、俺の脳内には先程、渡邉さんが言った言葉が・・・
ご結婚・・・
「いや・・・特に、お付き合いらしい事は・・・」
「では・・・?」
「あ、いや、でもね渡邉さん、まだ俺、渡邉さんの事・・・」
何を言おうとしてんだ、俺!!
その時・・・
「春吉ぃ〜!!」
リビングの方から聞こえる、半男生物の声!!
「木山さん?」
「あー・・・すみません、ちょっと・・・」
今がチャンス!!
俺は咄嗟に立ち上がり、部屋を出る。
そして、そのままリビングへ!!
「春吉、あのお客さんは誰?」
「・・・渡邉さん」
楓が俺を呼んだ理由・・・洗剤の場所どこ?
俺は朝食の洗いものをしながら、三人の問いに答える。
「春、渡邉さんって・・・誰?」
「・・・知らん」
いやマジで。
「知らんって・・・あんた、大丈夫なの?」
「ああ・・・」
はぁ・・・
「すみません・・・ちょっと洗いものが・・・ってうお!?」
俺が和室に戻ると、そこには渡邉さんと・・・小夜の姿が!!
「木山さん・・・あなた、この人とどう言うご関係で?」
「え?あ、ああ・・・小夜とは・・・」
つーかその小夜は、渡邉さんの顔をジーッと見たまま微動だにしない。
な、何という失礼な行為・・・。
「さ、小夜・・・?」
「渡邉亜希・・・渡邉財閥の正式な跡取り」
「小夜・・・?」
渡邉財閥?
「・・・木山さん」
「はッ、はい!?」
渡邉嬢は、不適な笑みを浮かべた・・・。
「私と結婚して下さい」
「・・・ん?」
・・・もう意味が分からん。
「私はあなたの事が好きです、大好きです」
「え、あ・・・」
そして、渡邉さんはその場でムスッと立ち上がり、俺に接近。
「私は渡邉財閥の正式な跡取り。私と結婚すれば、全てが自由になります」
「な、ななな・・・」
何を言って・・・
「・・・春吉」
一方、小夜は俺の顔をジーッと凝視。
「木山さん、今こそ私と愛の契りを・・・」
「の、NOォォ〜!!!!!」
駄目だぁ!!
こ、こいつ、この小説をR18にするつもりか?
「木山さん・・・」
「駄目です、駄目ですよ・・・つーか渡邉さん、あんた初対面の人に何を言って・・・」
その時、先程まで少し真面目顔だった渡邉さんの顔が、一瞬で曇った。
「え?わ、渡邉さん・・・?」
「やはり・・・覚えてないのですね・・・あの夜の事を・・・」
渡邉さんの顔には、うっすらと涙が・・・
つーか、え〜!!
「あの夜・・・」
小夜がそう呟いた。
「えっ?ち、違う!俺は何も知らん!!」
「ヒドイです・・・木山さん、あの夜の事を忘れるなんて・・・」
「え!?何!?ほ、本当に分からない!!」
何、何かしたっけ、俺!?
ミニコーナー、キャラクタープロフィール紹介!
キャラクターNo.6
吉崎 夏哉
(ヨシザキ ナツヤ)
男性、現在16歳、葉城高校二年一組在籍。
身長:181cm
体重:64kg
誕生日:7月7日
血液型:O型
好きな物:夕日、グダグダした時間、昼寝
嫌いな物:面倒臭い事、厄介な事
趣味:音楽やったり、鑑賞したり
特技:バスケ、音楽(ギター系)
その他:一応第2の主人公、バスケ部所属、結構な面倒臭がり屋