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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
球技大会前哨篇
15/116

第15話 夏キター!!

 「・・・ったく、だりぃな・・・」

 

 全く・・・誰だ、球技大会なんて考えた野郎は・・・

 

 「あ!!なっくん、またサボってんの?ダメだよ、ちゃんと練習しなくちゃ!!」

 

 「るせぇ・・・」

 

 はぁ・・・あ?なんだテメェら?

 は?春吉?だれだソイツは?

 

 俺の名前は吉崎夏哉よしざきなつや、16、高2。

 葉城高二年一組、部活は男バス。

 

 「なっくん、ちゃんと練習しよ〜よ!!」

 

 現在二年一組教室。

 時刻は午後6時。

 

 「うるせぇ、黙れ」

 

 「はへ〜ん!!そんなんじゃ香音は黙りませ〜ん!!」

 

 うぜぇ・・・

 

 今、俺の目の前であっかんべーをしているコイツは水岡香音みずおかかおん、俺と同じ二年一組。

 

 「ねぇ、なっくん!!早く体育館行って練習しよ!?」

 

 「・・・嫌だ」

 

 球技大会・・・何だか知らんが、6月にあるらしい行事。

 まぁ、俺は男バス所属だから、参加競技は強制的にバスケ。

 

 「嫌だじゃないの!!なっくんもちゃんと練習しなくちゃ!!」

 

 「・・・そんなにやりたきゃ、一人でやってこいよ、カオ」

 

 カオ・・・香音のあだ名。かおん=かお=顔。

 

 「か、顔じゃない!!かおんだよ!!」

 

 「はいはい、じゃあ俺はこれで・・・」

 

 「だ〜め!!」

 

 ガシッと、俺の制服のすそを掴んだ香音。

 

 「早くバスケの練習、やろ!!」

 

 はぁ・・・コイツのクソ真面目さには腹がたつ。

 

 「・・・俺は帰る」

 

 「だめッ!!なっくんはバスケの練習をやるの!!」

 

 「一人でやれ、カオ」

 

 「だから顔じゃなぁ〜い!!」

 

 ぽかぽかと叩いてくる香音。

 ・・・痛くねぇし。

 

 「・・・わっ〜たよ、練習すればいいんだろ」

 

 仕方ない、面倒だがやるか、練習。

 

 「本当?」

 

 途端にパーッと明るくなる香音の表情。

 とっても分かりやすい奴だ。

 

 「そのかわり、明日の昼、パンおごれよ」

 

 「え〜!?」

 

 今度はかなり嫌そうな表情。

 マジで分かりやすい。

 

 「はい決まり。おし、体育館行くぞ」

 

 「え!?あ、ちょっと待ってよなっくん〜!!」

 

 明日、昼はコロッケパンにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と香音は、昔からの付き合いだ。

 まだ幼稚園の頃、かけっこ中すっ転び、膝を擦りむいてワンワン泣いていた俺にハンカチを差し出し、保健室まで連れて行ってくれたのが香音。

 

 『うえぇ〜ん、痛いよぉ〜!!』

 

 『ねぇ、大丈夫?』

 

 『うえ、ひ、ひっく・・・』

 

 『どうしたの?転んだの?』

 

 『う、うえぇ〜ん!』

 

 『・・・はい、これでお膝を押さえて』

 

 『う、うぅ・・・ひっく、ひっく』

 

 『大丈夫?立てる?・・・じゃあ、一緒に“ほけんしつ”に行こう!!』

 

 『う、うううぅん』

 

 ・・・それからというもの、まだ当時イジメられっ子だった俺を、いつも香音は守ってくれたな。

 砂場の砂を投げられた時も、おもちゃのブロックを投げられたときも、水道で思いっ切り水掛けられた時も・・・

 

 「あれま!!先客がいるよ!!」

 

 あ?香音が体育館の中を覗きながら、何か呟いてらぁ・・・

 

 「なっくん、他に誰かいるみたい」

 

 「・・・誰か?」

 

 「うん・・・シューズの色が緑だから、同じ二年生だ」

 

 「二年?」

 

 その時、体育館の中から声が聞こえた。

 

 ダムっダムっ!!

 

 「はい、そこでダーンク!!」

 

 「む、無理ぃ!!」

 

 ・・・男と女の声だ。

 

 「おい美羽、そんなんじゃ“キセキの世代”には勝てないぞ!!」

 

 「春・・・あんた、どんだけジャ〇プネタ引きずるつもり!?」

 

 「うるさい、俺は努力と友情と勝利で出来ている男だ!!」

 

 「だからソレ、ジャ〇プ知らない人は分からないでしょ!?」

 

 ・・・随分と賑やかそうだな。

 

 「ねぇ、なっくん」

 

 「なんだ?」

 

 「ワ〇ピースって言ったらやっぱり、アラバスタ篇だよね!!」

 

 「お前もジャ〇プネタか!?」

 

 ケッ・・・ワ〇ピースはやっぱり“偉大なる海路”に入る前までのストーリーが1番だろうが。

 

 ・・・え?違う?

 

 「・・・やっぱり俺、帰る」

 

 他人が使ってるならしょうがない。

 

 「え〜!!少し待てばどくよアイツら!!」

 

 「・・・ったく、じゃあ明日やるから、それでいいだろ」

 

 もう今日は帰って寝たい。

 

 「え〜〜〜・・・分かった。じゃあ明日、絶対だからね」

 

 頬っぺたを膨らませてプイッと横を向く香音。

 何故そこまで、練習にこだわるのかが分からん。

 

 「・・・帰り、チャリ、後ろ乗ってくか?」

 

 俺はポケットに手を突っ込み、チャリの鍵を引っ張り出す。

 

 「うん!!」

 

 ・・・コイツの笑顔はいつも眩しい。

 

 俺には・・・とてももったいない。

 どうでもいい後話

 

 「・・・ねぇ美羽」

 

 「何?春?」

 

 「今回、俺、物語を語ってないんだけど・・・」

 

 「・・・うん、そうだね」

 

 「もしかして、主役交代とか・・・無いよね?」

 

 「さ、さぁ・・・」

 

 「ど、どうしよう・・・このままでは・・・」

 

 「うぅ・・・ま、まぁ頑張りな、春!!」

 

 「うわ〜ん、どうしよう!!」

 

 

 

 「出番ないあたしらよりかは・・・まだ、マシじゃん・・・」

 By楓&小夜&権三朗

 

 

 

 

 

 次回から“後書き”を使ってのミニコーナー「キャラプロフィール紹介」やります!!

 お楽しみに!!

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