第14話 熱血っ!!
「ねぇ、春」
「ん?何?」
現在生徒会室。
「春って球技大会、何に出るんだっけ?」
「ああ、バレーにバスケ。美羽は?」
「私は・・・一応、バスケにサッカー・・・」
「あ、そういやバスケん時にいたな」
「うん・・・」
俺はプリントの束を整理しながら、美羽と会話中。 いつも通り、生徒会の手伝いだ。
「つーかお前、バスケ出来たっけ?」
ハッと俺は思い出した。
「うぅ・・・」
美羽はパソコンの画面を見たまま、少し俯く。
美羽は運動が苦手。
小学中学と同じ学校だった俺には分かる。
では、少しながら、美羽の運動音痴武勇伝を。
まず有名なのが、中二の時の顔面強打事件。
サッカーの試合中、自らの足に躓き、転倒した美羽の顔面に超ロングシュートが直撃したのだ。
まぁ、男女体育は別なので、あくまで聞いた話だが・・・
サッカーボールに付着していた泥と鼻血で顔が悲惨な事になったとか。
他には・・・テニスラケット後頭部直撃事件とか、跳び箱崩壊事件とか、走り幅跳び顔面記録事件とか、プール浮遊事件とか・・・数えればきりがない。
「はぁ・・・球技大会・・・嫌だなぁ」
「・・・生徒会長が何言ってんだ」
「・・・会長権限で球技大会、なくせないかなぁ・・・」
はぁ〜、と、ため息をつく美羽。
そんなに嫌なんだ。
「まぁ・・・何とかなるんじゃね?」
「なるわけないじゃん・・・」
う〜ん・・・俺的にはコイツ、結構運動出来そうな体型なんだけどな・・・
別に太ってないし(むしろ細い)、足は長いし・・・。
「ま、ともかく練習あるのみだな」
「・・・・・」
あ・・・机に伏せた。
「諦めるな!」
「・・・どうせ・・・無理よ」
「諦めるな、やれば出来る!!」
ちょっと松岡〇造っぽく言ってみる。
「・・・無理」
「おい、諦めるなよ、やれば出来る、絶対出来る、突き進めよ!!」
熱血ぅ〜!!
「・・・・・」
「何でもやれば出来るんだ。諦めるな!!米食べろ!!」
「・・・じゃあさ」
突然、ガバッと起き上がる美羽。
び、ビックリした!!
「な、なんだ!」
「春・・・わ、私の練習に・・・その・・・つ、付き合ってよ」
ちょいクネクネしてますコイツ。
「おお・・・やる気が出たか、良い事だ」
THE・〇造パワー!!
「うぅ・・・じゃ、今から体育館に集合」
「今からぁ!?」
現在午後6時。
ちなみに体育館は午後8時まで開いてる。
「は、春がやれって言ったんでしょ!ほら、早く行くわよ!!」
「え〜!!」
今日は・・・7時から見たいアニメが・・・
「ほらっ!!」
俺の腕は美羽の細い腕に捕まれ、強引に体育館へ・・・
「うが・・・マジで・・・今からかよ・・・」
改めて後悔。
〇造パワーは明日使うべきだった・・・。
ダムっダムっ!!
「そこでターン!!」
「えっ!?」
バスケットボールをドリブルしながら、美羽は思い切り回転。
そして・・・
ズッテーンっ!!
「きゃっ!!」
こけた。
「な・・・バカかお前、すっ転ぶって・・・」
「う、うるさい」
うわ〜・・・顔真っ赤にしちゃって・・・
仕方ない、俺はそっと右手を差し出す。
「・・・・・」
美羽は相変わらず顔を真っ赤にしながら俺の腕を掴み、グイッと起き上がる。
「う〜ん・・・ま、とりあえずは基礎からかな」
あ、ちなみに俺、中学時代はバスケ部でした。
ハハハ、入部理由?
・・・モテたいからに決まってんだろ。
「き、基礎って・・・何すればいいの?」
「・・・よし、じゃあ俺と1on1だ!!」
実戦は大事。
「い、1対1!?」
「イエス!!」
美羽はポカ〜ン顔。
「・・・今から俺は、コートの端から反対側のゴールに向かってドリブルで突っ走るから、お前止めてみろ」
「・・・・・」
「いいな?」
「・・・うん」
そう言うと美羽は長い黒髪を束ね、ポニーテールに結ぶ。
「よし、行くゼヨ!」
美羽はコートの真ん中辺りでスタンバイ。
「・・・おしっ!!」
ダムっダムっ!!
いくぜ、俺のスーパーマッハなドリブル!!
・・・今回の話を書いている時にハッと気付いたんだけど、ちょっと前にジャ〇プで主人公の名前が春吉っていうバスケ漫画、あったよね・・・。
な、なんかカブッてしまった!!
次回から更新が遅くなります&新キャラ登場です!