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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
春吉ママ参上篇
11/116

第11話 春吉ママ前編


 あ〜クソッ、全然終わらねぇ〜!!

 

 ガチャガチャガチャ!

 

 「兄ちゃん、だ、大丈夫か?」

 

 心配そうな月也。

 

 「安心せい、こういう物は得意だ!!」

 

 がぁ〜!!だが終わらん!!

 

 はい?今何をしてるかって?

 そりゃ、皿洗い。

 

 「おい月也、これ小夜に持ってっとけ」

 

 俺はさっき切って皮剥いた林檎を皿に乗せ、月也へ渡す。

 

 「うん、分かった」

 

 そう言うと月也は小夜の寝室へ。

 

 「・・・ふぅ」

 

 俺は一息してから、洗い物を再開。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっき、俺が帰ろうとした時、小夜が倒れた。

 

 俺はとりあえず、小夜をおぶって荏咲家へ。

 

 荏咲家に着いた途端、ちびっこ達のお出迎え・・・・・ではなく、皆の心底心配した顔。

 

 特に四女の空に至っては、小夜を見た途端にわんわん泣き出す始末。

 

 本当は病院とかに連れて行きたいが、保険証やら医療費やらがどこにあるか分からないので、とりあえず今は家の布団に寝かせてある。

 

 

 

 で、俺はそのまま帰る事も出来ず、コンビニに行って林檎やヨーグルト買ってきたり、皿洗いや何やらの家事をやってやったり・・・。

 

 

 俺は時計を確認・・・うわ〜、もう11時過ぎだ・・・。

 

 「・・・とりあえず、様子見てくるか」

 

 大量の皿洗い終了!!

 よし、小夜の様子を見てきますか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コンコンッ

 

 軽くノック(ふすまだが・・・)

 

 「入るぞ?」

 

 ・・・反応なし

 

 俺はゆっくりふすまを開ける。

 

 ・・・そこには、すやすやと寝息を立てながら寝ている、小夜の姿。

 その周りには、小夜に寄り添いながら爆睡している荏咲ファミリー。

 

 「・・・ふぅ」

 

 とりあえず俺は、皆を起こさないよう慎重に小夜に接近。

 さっき脇に挟ませといた体温計を回収・・・出来るだけ体に触れないようにしながら。

 

 「6、3度・・・まぁ、熱はないみたいだな」

 

 多分、過労で倒れたんだろうか・・・

 

 「・・・さて」

 

 さて、どうしよう。

 今日の食事の洗い物はやった。

 林檎やヨーグルトも買ってきた。

 もうやる事なし。

 だから帰る?・・・いや、こんな状況の小夜をほっとけるか!?

 

 明日の朝、早く起きて弁当作って、洗濯、掃除、ちびっこ達の通園・・・。

 

 ・・・絶対コイツならやる。

 しかし・・・無理はさせたくない。

 

 「・・・どうしたものかな」

 

 う〜ん・・・

 

 あ!!そうだ!!

 

 いい事思いついた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・何のよう・・・だ・・・」

 

 「・・・ぐう」

 

 現在午前5時。

 市営団地入口前。

 

 「姉さん姉さん、大変なんでさぁ〜!!」

 

 俺は姿勢を低くし、手をコスコスしながら、俺の目の前にいる人・・・楓と美羽のご機嫌取り。

 

 「もう、こんな朝早くに何?」

 

 ちょっと切れ気味の美羽、一方、楓は・・・

 

 「・・・ぐう」

 

 立ち寝中。

 

 「えーっとですね、実は・・・」

 

 俺はさっきメールで呼び出した二人に、昨日の事を説明。

 

 「つー事で、今から荏咲家の朝の家事をやりませんか?ほら、あの慎〇ママ的な?」

 

 忙しい朝のお助けマン、それが春吉ママ!!

 

 「う〜・・・まぁ、小夜のためにならいいよ」

 

 美羽は了承。

 

 「・・・ぐう」

 

 楓はまだ立ち寝中。

 仕方ない、ここは強行手段だ!!

 俺は両手でメガホンを作り・・・

 

 「おはよぉーござぁーいますぅー!!!!!」

 

 楓の耳元で叫んでみた。 

 「うわっ!!」

 

 ヒュッ!!

 

 ドスッ!!

 

 「ぐあ・・・」

 

 見事、楓は起床したが・・・反射でナックルを腹に頂きました。

 

 「え、何!?・・・うわっ、春吉!!お前どうした!?」

 

 しかも彼女は気づいていないご様子。

 

 「か、楓・・・ふ、不意打ちは・・・アウト」

 

 ガクっ!!

 

 俺は半分死んだ。

 遠くから美羽の笑い声が聞こえたが、無視。

 

 ・・・はぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・よし」

 

 小夜の家の前、俺は昨日こっそりかっぱらって来た鍵でドアを開ける。

 

 「・・・ねぇ春、それ、犯罪じゃ・・・」

 

 「・・・一応、月也には言ってあるから大丈夫・・・多分」

 

 ガチャ!!

 

 開いた!!

 

 「・・・では、只今より、荏咲家突入作戦を決行する」

 

 「いいから入れ!!」

 

 ゴツ!!

 

 「痛っ!!殴る事ないだろ!!」

 

 的な会話をしたあと、俺達は荏咲家に侵入。

 

 「・・・とりあえず、私が料理と弁当、春が掃除に洗濯、楓は小夜以外のみんなを起こし、その他面倒を見る、OK?」

 

 「了解です大佐!!」

 

 美羽の提案に俺は敬礼する。ビシッ!!

 

 「分かった!!」

 

 楓も了承。

 

 「では、解散!!」

 

 美羽の解散命令と共に、俺はまずリビングへ。

 

 洗濯はみんなが起きた後、パジャマも洗ったりするのでまだ駄目。

 掃除はほこりが立つから食事後。

 つまり最初はやる事なし!!

 

 「・・・春、暇なら朝食の手伝いして!!」

 

 「あいよ!!」

 

 俺は美羽に続き、キッチンへ。

 

 「美羽、俺、食材とか持って来たけど、使う?」

 

 「当たり前!!」

 

 俺は持参してきたトートバックを美羽に渡す。

 中身は卵とかハムとかバターとかパンとか。

 ぶっちゃけ、勝手に荏咲家の物使っちゃマズイだろうなと思い、持って来た物だ。

 

 「う〜ん・・・とりあえずパン焼いて・・・卵とハムで・・・」

 

 美羽は料理が得意。

 和、洋、中どれでもいける、まさに鉄人料理人!

 

 「よし、ハムエッグをパンに挟んで、上からバターを塗ろう!!」

 

 どうやらメニューが決まったようだ。

 すると・・・

 

 「ふぁ〜・・・」

 「眠い・・・」

 「姉ちゃん達、誰?」

 「・・・ぐう」

 

 ちびっこ達が起床。

 楓ど共に、寝室から出てきた。

 

 「春、ほれ、洗濯行った!!」

 

 「あ、ああ」

 

 ちびっこ達は皆、もう着替えている。

 

 「洗濯機っと・・・」

 

 俺はとりあえず脱衣所へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「洗剤・・・洗剤・・・あ、あった!!」

 

 現在脱衣所。

 たった今、棚の上にあった洗剤を発見。

 

 「さてと・・・・・うっ・・・」

 

 洗濯機のフタを開けてビックリ!!

 

 「・・・量が・・・パネェ・・・」

 

 これは・・・洗濯機回るか?

 

 「はぁ・・・とりあえず半々に分けるか」

 

 仕方ない、俺は洗濯機に手を突っ込み、グイッと持ち上げる。

 

 「のあっ!!」

 

 バサバサバサっ!!

 

 しまった、床にばらまいちまった!!

 

 「いかんいかん」

 

 俺はその場でしゃがみ、わっせわっせと洗濯物を集める。

 

 「うわっ、洗濯機の下にも・・・」

 

 仕方ない、俺は寝転び、洗濯機の下に手を突っ込んだ。

 そしてキャッチ!!

 

 「よし・・・・・って、コレ・・・」

 

 な、こ、これブラジャーやんか!!

 しかも大きさ的に・・・小夜のか?

 

 「春ぅ〜!!洗濯まだぁ〜・・・っハ!?」

 

 あ・・・美羽はん。

 

 「は、春・・・」

 

 俺は今、手の上にある物を見た。

 ・・・誤解を生む可能性は・・・100%

 

 「み、美羽、い、一旦落ち着こうか・・・」

 

 い、いかん、こ、声に震えが・・・

 

 「は、春の変態ぃ〜!!!!!」

 

 ドカッ!!

 

 「ぶほぉ!!」

 

 が、顔面にグー!!

 

 不可抗力だ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁ兄ちゃん、その顔のアザ、どうしたの?」

 

 悪気のない天馬が聞いてくる。

 

 「これはな、不可抗力の証だ」

 

 「不可抗力?」

 

 「ああ。いいか天馬、男ってのはな、無実の罪でも刑を執行されなくてはならないと言うルールなんて、無いんだからな」

 

 「兄ちゃん?」

 

 「・・・俺は、何も悪くない」

 

 やべえ、何か泣きたい気分。

 

 「はい、朝ごはん出来たよ!!」

 

 おっと、ここで美羽が朝食を持ってきた・・・ってチョイ待て。

 

 「あれ?俺の分は?」

 

 「・・・・・あると思った?」

 

 「・・・いいえ」

 

 美羽さん・・・頭から二本、角生えてますよ!?

 き、金獅子や!!あの金獅子や!!

 激昂したらアカン奴!

 

 「さて、頂きますか!!」

 

 「あー!あたし腹減ったぁ〜!!」

 

 ・・・俺もだが。

 

 「じゃあ、手を合わせて・・・」

 

 『いただきます!!』

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