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三人の姫と一人の手下の物語  作者: 五円玉
バスケ部夏合宿篇
109/116

番外話 思春期だね

こんにちは、作者です!




ちょっと気分転換にと、今回は短編書いてみました。

Springに載せようか迷ったけど、今回は三姫本編の方に番外編として掲載することに決定!


たまにはね、読み切り形式の短編もいいでしょ?


では、思春期春吉のお話をどうぞ!!


あと、今回は後書きトークはお休みさせてもらいます。


もう、ネタが……


じ、次回からはちゃんと再開しますのでっ!!


「……しまった」


俺はフリーズした。


あちゃ〜……やってしまった……。


ヤバいな、この状況。


うん、ヤバい。






本日6月のとある日。

現在朝の8時半くらい。

今、俺こと木山春吉は、学校に登校してきたばかりです。


今日もじめじめとした天気。

6月だからね。


カタツムリや紫陽花の季節だな。

梅雨だから雨もよく降るし。

いや〜、湿気が多いから寝癖がよくたつ。




……いや、今はそんな事言ってる場合じゃない!!


俺は教室に入室し、自分の席に着き、鞄の中から筆箱を取りだそうとしている所。


周りにはまだそんなに生徒はいない。




……で、


「……なぜ?」


筆箱を取り出すため、鞄を開けた俺。


で、鞄の中には筆箱と、数冊の教科書とノート。


そして……




『男子必見! 夏直前水着大特集!!』


と書かれた文字の他に、きわどいビキニを着た女性が表紙に写っている本が、あった。




「…………」


俺、超冷や汗。




これ、俺御用達のエロ本やんか!!




「……なんで!?」


なんで、これが俺の通学鞄の中に入ってんの!?


だってこれ、俺の部屋の押し入れの奥に隠しといたお宝……。


まぁ、今両親いないから隠す必要ないけど。


ってか、


「なんでこれが俺の鞄の中に入ってんだッ!?」


おっと、ちょいと声がでかかったかな?


周りの連中が変な目でこっちを見ている。




「……くそっ、なんでお宝がここに?」


俺はよく考える。


確か昨日……あ、このお宝を観賞……したんだっけ!!


そうだ、観賞したんだ。


で……


「確か、杏華ちゃんのページを見てた時に、宅配便が来たんだっけ」


そうだ。夜、お宝観賞中にインターホンが鳴って、マジで焦った記憶がある。


「で、確か……」


……あ、そうだ。


「……その時、万が一両親が帰宅したきた事を想定した俺は、隠ぺいのためにお宝を……」


鞄の奥底に押し込んだ。


で、結局は宅配便で、まさかの雑誌の懸賞が当たって、それでテンション上がって……


エロ本の事を忘れてたしまった!!




そのまま、俺は鞄の中のエロ本を忘れ、今日普通に学校へ登校。




「……やっちまった」


最悪だ。

最悪すぎだ!!


学校にエロ本持って来ちゃった!!


「ど、どうしよう」


俺、学校では『ちょっとバカだけど基本真面目なヤツ』のキャラで通ってるんだぞ!?


もしこれで、俺がエロ本持って来てる事がバレたら……




あぁ〜になる!!


あぁ〜になってしまう!!

(あまりにも恐ろし過ぎて、的確な表現が出来ていない)




「まずいぞ……非常にまずい」


何とかして、今日1日エロ本を隠し通さなければ!!


「くそっ……ど、どうするんだ俺?」


自分に質問。

あぁ、ヤバい。

色んな意味で。




その時……




「あ、春吉〜!」


むむッ!!


遠くから大魔人接近中!!


ヤバいッ!!


「よ、よよよおぉ楓!!」


俺、震える手でとっさに鞄のチャックを締める。


「どうした春吉? すげぇ汗だぞ?」


楓さん、俺の席の前を陣取る。


「へ? あ、いや、その……」


ヤバい!!

俺、超動揺してんじゃん!!


「春吉?」


何だか不審そうな目でこっちを見てくる楓。


「あ、いや……あ、汗ね。汗だねコレ」


人差し指で額を触ってみた。

超ヌルッとしてた。


脂汗かコレッ!?


「春吉どうした? 何かいつもと違うぞ?」


「ち、違くはないと思わなくは……汗? そう、汗なの違うの!」


……パニクりすぎて、自分でも何言ってんのか分からない。


「は、春吉が壊れた……」


楓マジ引き。


自分でも自分に引く。




俺、本当にパニクってんだな。

落ち着け、俺。


「ん?? ……まぁいいや、なあ春吉?」


「はいなっ?」


あー、声が裏返った。

もうマジで落ちけつ。


……落ちけつ?


「お前、昨日の宿題終わってるか?」


「じゅぐぅ〜だい?」


……もう俺嫌だ。


「……春吉、お前本当に大丈夫か?」


うわー、楓の目線が哀れみの目線に……。


「…………」


俺、無言。

もう駄目だ。


「……まぁいいや。宿題は美羽に見せて貰うから。春吉、お前一応保健室行っとけば?」


「…………」


やっぱり俺、無言。


「……?」


楓さん、頭に大量の?マークを浮かべながら撤退。


……ふぅ。
















で、俺の心配をよそに、時は刻々と過ぎて行く。




1時間目の数学

何事もなく終了。


2時間目の科学

何事もなく終了。


3時間目の世界史

途中、権三朗の携帯が鳴って没収された以外、特になし。


4時間目の英語

この頃になると、若干俺の中にも余裕が。




で、昼休みを迎えた。






「……なぁ美羽?」


俺は美羽の席にいた。


「ん? どうかした?」


美羽さん、今日は何故かずーっと頭にバンダナ巻いてんの。

黄色いヤツ。


そう、朝から。


「それ、オタクのコスプレか何かか?」


「へ?」


超甲高い声で反応。


「いやだって、いつもはしてないのに、今日だけ何故かバンダナ巻いてるし……」


美羽の黒髪が少しだけはみ出てる。

前からね。


「あ、いや、その……コスプレじゃなくて……」


何故か顔が赤くなってる美羽さん。


「コスプレじゃなくて?」


非常に気になる。


「いや、だから……これは……」


ちょっともじもじ。

恥じらいってヤツか?


「ん?」


そうなるともっと気になる。


「だから……えっと……」


主語のない会話が続く。


その時


「前髪切りすぎちゃったんだってさ」


横から同じクラスの女子が登場。

確か……沖島さん……いや、沖浦さん……あれ?


なんて名前だったっけ?


「ちょ、梨沙!」


美羽さん大慌て。


……沖なんとかさんの下の名前は梨沙らしい。


ってか


「前髪切りすぎた?」


だからバンダナ?


一方の美羽は、恥ずかしそうに「うーっ」って唸ってます。


……なんかイイ。


「美羽! 前髪、木山君にも見せてあげれば?」


美羽の肩を小突く沖なんとかさん。


「いや、いいよ……春はどうせ笑うし」


すねたなダーク。


「笑わねぇよ、別に」


自信ないけど。

ってか、切りすぎた前髪見たい!!

パッツンか?


「嘘つけ……絶対笑う」


「だから笑わねぇって、絶対」


自信ないけど。


「うー……」


「唸るな」


全く……何だかなぁ。







その時……






「春吉」


「あ?」


どこか遠くから、俺を呼ぶ声が聞こえた。


……どこだ?

俺は教室内をキョロキョロ。


「こっち」


「ん?」


声は俺の席の方から。


……俺の席?


そこにいたのは小夜だった。


「どうした?」


「……この前借りた漫画、返そうと思って」


ああ、そういや貸してたな。

某ファンタジー漫画。


「おう!」


俺はとりあえず返事。


で、


「……じゃあ、鞄の中に入れとくね」




……鞄?






……あ!!






「……夏直前水着大特集!!」


俺、ぼそっと呟く。

で、その呟きを自分で聞いて、思い出す。




エロ本ん〜!!




一気に冷や汗がっ!!


「さ、小夜! ちょっとまっ……」


俺は一気にその場から駆け出した。


「……ん?」


小夜さん、俺に気付くも鞄を開ける動作を止めない!!




あ、あかーん!!




「……春?」


背後で、美羽の声が聞こえた。


そう、スローモーションで。




もう、あかーんだった。






「…………!」


小夜、俺の鞄の中を見てちょっとビクッ!!


「あ……遅かったか……」


呟く俺。


鞄まで、あと数メートルの所。


あー……


終わったぁ〜……






ジ・エンド














「漫画、入れとくね」




……しかし、小夜はエロ本に気付いたのか気付いてないのか、最初のビクッ以外、特にこれといったリアクションもなく……


漫画を俺の鞄の中へイン!!


……え?


「……漫画、ありがとね」


そして、何事もなかったかのように、自分の席へ。




「…………」




ある意味、一番堪えた。








チクショー。



















で、その後は………


「み、見ないでぇっ!!」


パッツン美羽と共に帰りました。


バンダナ、沖なんとかさんに取られたんだってさ。




……俺の精神は、もうボロボロです。

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