第95話 合宿開始
明けましておめでとうございます!!
五円玉です!!
今年も色々と頑張りますので、宜しくお願い致します!!
「よ、酔った……」
バスに揺られて約1時間ちょい。
現在、六角町体育館前。
空は快晴!
気温高い!
俺、車酔い。
「うぇ〜……気持ち悪いがな……」
俺の席、ちょうどバスの後輪部分上だったから……。
もう……揺れに……揺れて……うっぷ。
「春吉君……大丈夫? 顔真っ青だよ?」
冬希の心配そうな顔が右側に。
「多分……大丈夫……うっぷっぷ」
い、いけねぇ!!
このままじゃ、俺らぁ……俺らぁ……
全てをぶちまけちまう!!
やべぇ……ぶちまけちゃうよ?
きっと、俺の評価ガタ落ちだよ?
「フッフッフ、情けないな庶民。たかがバスごときに酔うなど」
満面の笑みなハゲメガネ。
……ちなみに、コイツも顔真っ青。
なんだよもぉ。
「じゃあハゲメガネ、そこでくるっと回転してみろ」
酔ってないなら余裕でしょ?
「……断る」
顔真っ青なハゲメガネ、震える声で要求を拒否。
「んだよハゲメガネ、テメェも酔ってんじゃねぇか……うっ」
「黙れ庶民、僕の席はたまたまバスの前輪の上で……うっぷ」
お互いフラフラ。
「ふ、二人とも大丈夫? 凄い顔だよ?」
ちくしょー、何故に冬希は酔ってないんだ!
「くそっ……ぐあっ……気持ちわり〜」
「くそっ……この僕がバスごときに……うっぷ」
その時……
「おいテメェら、さっさと体育館に入れ」
うわっ……バスの方からバネ人間登場。
嫌だな〜。
面倒くさくなりそうだな〜。
「何してんだ、さっさと入れよバカ吉、ハゲメガネ、チビすけ」
「…………」
「…………」
俺と秋馬、気持ち悪さで反論出来ず。
今怒鳴ったら吐くよ絶対。
「あのね夏哉君、春吉君と秋馬君はバスで酔っ……」
冬希が俺らの弁護に入る。
ああ、優しい子。
……しかし。
「「冬希待て!!」」
俺と秋馬の声が重なった。
「……え?」
冬希、きょとんとしてます。
「……体育館に入ればいいんだな?」
俺は強がってみる。
いいか読者、考えてみろや。
今、俺が気持ち悪いとか言って弱点をさらしたら……
きっと夏哉や波紫先輩にバカにされるに決まってる!!
「何だ、バスに酔ったのか。情けねぇなバカ吉」
「何? バスで酔うたん? アハハ、情けなっ」
って、絶対言われる。
……それは俺のプライド的にアウトっ!!
そして、どうやら秋馬も同じ事を考えてたみたいで。
「フッフッフ……いいだろう。体育館に入ってやる」
……強がってます。
そして、俺も秋馬も体育館に入ると言っただけで、バスケやるとは一言も言っていないのは、ここだけの秘密。
「ふ、二人とも、無理は良くな……」
「「冬希黙れ!!」」
……ここも被った。
「ん? まぁ、とにかく中入れ。さっさとアップするぞ」
夏哉はまだ、俺らが弱化している事に気付いてない様子。
俺は小声で秋馬に提案。
「おいハゲメガネ、ここは1つ、一時休戦しようぜ……うっぷ」
「……ああ」
利害一致。
とりあえず、今は何とかして、この状況を打破しなければ!!
……しかし。
「みんな揃ったん? じゃあ今からアップするで。まずは体育館20周や」
波紫先輩からの、地獄の命令。
体育館の中は灼熱地獄。
いるのは葉城高校バスケ部員のみ、つまりむさい男のみ。
ある意味地獄。
マネージャーは今、バスの中で待機中。
……車酔いだって。
「くそぉ……ちくしょー……うっぷ」
俺はゆっくり走り出す。
お腹の中では、全てがぐちゃぐちゃ。
ゴメンね、食事中の方達。
「やべっ……マジ吐きそう……」
俺は口に手を当てる。
うっぷ。
周りの連中は、掛け声と共にどんどんスピードを上げて行く。
「ほら、木山クンももっとスピードを上げ」
波紫先輩、俺を一周遅れ。
ヤバス。
「それから瀬良クンも、もっとスピード上げな」
俺の目の前。
そこには、もう涙目で走る秋馬の姿。
……辛いよね。
「ほぉら、そんなノロノロだと、もう10周プラスするで?」
「……マジっすか、うっぷ」
ヤバス。
マジヤバス。
……くそぉ。
もう10周は……さすがにキツイ。
絶対死ぬ。
……一大決心、春吉君。
俺はとりあえず秋馬の横へ。
平行走行。
「……うっぷ……どうした……庶民?」
秋馬は、もうなんか凄くなっていた。
危ない顔だよ、これ。
「……ハゲメガネよ、俺……頑張るわ」
これは遺言。
そう、まさしく特攻……。
「……まさか庶民、お前……」
秋馬は辛そうな表情ながらも、少しだけ驚きの表情を見せる。
「ああ……俺、行ってくる。行ってくるよ」
「やめろ庶民、そんな事したら、お前の胃袋が……」
ふふっ……俺、もう覚悟できた。
10周プラスは嫌だな……。
だから……
「限界の向こうへ……いざっ!!」
俺は、この肉体の両足に大量のエネルギーを送る。
そう、まさしく……
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
行くぜ、限界の向こう側……
「しょ、庶民!!」
行くぜ、俺ぇ!!
全・力・疾・走!!
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
10周プラスは嫌だぁッ!!
俺は……走った。
冬希を抜き……夏哉を抜き……波紫先輩を抜き……
限界の向こう側の世界……
リバースへ……
「うおおぉぉええぇぇああぁッ〜」
……頑張った。
俺はトップでアップの体育館20周を完走。
その後、トイレに直行。
これ以上は、自重。
「うえぇ……はぁ……はぁ……」
限界の向こう側は、なんか嫌だった。
秋馬はプラス10周らしい。
波紫先輩はニヤニヤ。
このドSめ。
「よぉし、じゃあ今からシュート練習や」
波紫先輩、ニヤニヤ。
そして、俺の方をちら見。
……くそっ
後書きトーク!!
春吉
「んだよ……新年早々、なんで俺の羞恥シーンから始まるんだよ!」
亜希
「羞恥シーン? ……ああ、嘔吐のシーンですか?」
春吉
「ストレートに言うなよ……はぁ」
亜希
「大丈夫ですよ春吉くん、嘔吐なんて人間誰でもしますから!」
春吉
「だからストレートに言うなよ! お食事中の読者とかいるだろ!」
亜希
「でも、作者は食事寸前にこの話を書いてたんですよ?」
春吉
「だから何だ!」
亜希
「作者、今話を書き終えた後すぐに夕食食べてましたし……」
春吉
「…………」
亜希
「まぁ、あんまり食べてはいませんでしたが……」
春吉
「ほら見ろッ!!」
亜希
「次回96話“民泊”いいなぁ〜……私も春吉くんと旅行行きたいな〜……」
春吉
「……合宿なんだけど」