僕がいなけりゃ
「僕がいなけりゃ良かったな」
母は聞こえないふりをした
「僕がいなけりゃ良かったな」
父は部屋を出て行った
僕は悲しい話に浸る
話し相手が欲しかった
小さなサボテン買ってきて
毎日大事に世話をした
ところがすぐに枯れちゃった
皆んな僕のことが嫌いみたい
僕がいなけりゃ良かったのになぁ
テレビで芸人が昔話
母親が死んで父親は蒸発
芸人は笑って話している
「今が一番楽しい」 と
家族に芸人の話をする
「そいつが僕を見たら笑うだろうね」
両親は揃って 「そうだね」 と笑う
僕がいなけりゃ....
「もっと話そう」 父が笑って提案した
サボテンの話をしたらまた笑ってくれた
そうか、 僕は水をあげすぎたんだ
読んでくれてありがとうございました。