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世界の闇〜寄生生物と魔王軍の脅威

昼間頃の借家の窓から、差し込む明るい陽射しが部屋に暖かみを感じさせた。


「ちゃんとカノンに謝った?」

レイナが心配そうにミウに尋ねる。


「もちろん。ギルド行く前に少し話さない? この世界について。」


軽快にミウが答え、話題を振った。


俺は窓際の椅子に腰掛けて、頷いた。


「良いけど、この世界ってあんまり変わり映えしないよな?」

レイナに目線を向けて、聞いた。


「そうねぇ、普通の異世界って感じね。」

レイナが少し目を伏せ、がっかりしたように言う。


「いえいえ、借家の窓の外を見て下さい。」

ミウが窓に視線を送る。

俺も外の窓を釣られて向く。


「うん? 借家の外に何かあるのか?」

見たところ、特に変わった所はない。

昼間で皆仕事に精を出しているのだろう、人数も少ない。


「いえ何もないです。」

ミウが悪戯っぽく口元が笑っていた。


「おい! あるんじゃねーのかよ!」

俺は少し呆れ笑いをしながら、ミウにツッコミを入れた。


「この世界は、寄生虫だらけです。異世界転生した人たちが寄生虫に転生させられ、世界の住人の体を乗っ取っているのです。」


俺の言葉を無視するかの様に彼女は語りだした。


「最悪じゃねーか! そんなの初耳だぞ!」


スルーされたことより、そんな恐ろしいものがいると聞かされ、それが気になりショックを受けた。


「私たちみたいに転移して来た訳ではないようです。」

急に真面目に語りだしたミウ。それほど深刻な話題なのだと、唾を呑んだ。


「あらあら、世も末ねぇ~。その寄生虫って結構いるの?」


レイナが大きく口を開けてその驚きを表現していた。


「だらけと言いましたよ?」

彼女が話をしっかり聞けとばかりに、釘を刺す様に言う。


「あら、ごめんなさい。チッ、すみませんね。」

レイナの苛立ちを伝える舌打ちが、俺の耳に入る。


彼女も水鉄砲のことを根に持っているのだろうか? 普段からは予想出来ない態度だった。


いくらレイナが優しくても、水鉄砲で顔の化粧落とされて、嫌味な言い方されたら怒るだろう。


「ひとまず私達は転移者なので、寄生される心配はないようですが。」

腕を組んでミウが言う。


寄生される心配がない、その彼女の話に安堵した。


「その寄生虫達は、住人に寄生してどうなる?」

一体何が狙いなのだろうか? 俺はミウの回答を待った。



「別の意思を持つようですぅ。乗っ取っられると最悪ですん。家庭が壊れ、人間関係も深刻な自体になりますぅ。」


「大変だな、何か対策とかあるのか?」

俺はミウに視線を合わせて聞いた。


「はい、転移した者で医者がいて、頼めば取り除けるんですぅ。

寄生虫と話をしたようでそのカラクリが分かったと、本に書いてありました。」


「住人にも確認を取り、事実だと確認しました。」


ミウが一生懸命に調べたのだろう。ありがたいことだ。


「私たちが寄生されないなら、関係ないわね。」


レイナが冷たく突き放す様に言う。

俺は少し驚きを感じたが、それだけこのパーティに、愛情を持ってるのだろう。


それに、住民達と親しい者は俺もいない。


「確かにどうでも良いな。」

住民達がどうなろうが関係ないと考えた。


当然だ。異世界に拉致されて来た、異国の地どころではない。


住民達の心配をする、そんな余裕は俺たちにないのも大きいだろう。


「良くありません、昨日話した相手が寄生されたら、話が通じなくなってしまいますぅ。」

ミウが俺たちを叱る様に言った。


「なぁ、それって女神様の仕業じゃないよな?」

俺は天井を見つめ、すぐにミウに視線を移した。

上を見ても女神様は見えない。

無駄なことをした。



「私に聞かれてもぉ…寄生虫達の狙いは魔王を倒すこと。魔王を倒せば、人間になれると言われたそうですぅ。」


ミウが肩を落として言う。

虫って嫌な表現だな。寄生生物と俺は心で名付けた。


その寄生生物達にも目標があるのであれば、ほっておいても問題なしなのではないか?


「そいつらに任せて俺達は、異世界でのほほんと生活すれば良くね?」

椅子から手足を伸ばして、怠そうに言う。


この話題に飽きてきたのだ。そろそろ別の話しないかな?

とミウを見つめる。


俺は他の問題で頭いっぱいなのだ。クラスメイト3名が殺人犯だから、そいつらどうするか?

そのことが心配で悩んでるからな。



「甘いですぅ! 私がその話をしてる理由を今から話しますぅ!」



「異世界転移したその医者が、1カ月前に殺されたらしいです。転移した人は不老の紋章貰ってます。つまり私たち、暗殺される恐れがあります!」


まじかい、殺人犯のクラスメイトだけじゃなくて、そんな寄生虫どもも気をつけないといけないのか!




らしいですぅ! 転移者は元いた世界の記憶ありますからね。


死の恐怖に怯えて生活しないとだなんて、嫌~本当大変ね。


そうです、寄生虫が脳内に入り込んで、俺つえぇプレイをしているのです。


パワーアップするの?


ですぅ~まるで元は弱い癖にイキる転生主人公みたいな感じですぅ。


あらあら、それって私達も一緒でしょ?


そうですぅ~まるで自分の力の様にイキらせてもらってますん。


ふっ、そうね。

…ちょっと待って! 私の好きならラノベ主人公批判してる?


例えただけですぅ。批判するならもっと上手く出来ますん。


…不満そうにレイナが口を尖らす。



「そいつら何匹いるんだ?大事なのはそこだな。千匹?」


「世界全体に五千匹いたようですぅ。でも2千匹で組んで魔王軍に挑んだようですが、全員お亡くなりになったそうですん。」


「結果、今は世界に2千匹いるようですぅ。」




魔王軍はそれで壊滅したそうだが、2000匹の寄生虫達は、たった1人の魔王の側近に全滅させられた。


魔王の側近デスロード触れただけで、殺せるチートスキルを持っているようだ。


「無理だろ? そんなやつ勝ってこない…魔王討伐は諦めよう。」


「ちょっと~2千匹なら、だらけじゃなくない?

100万匹いるならだらけって言えるけどさ。」

レイナが不服そうに言う。


「100万匹いたらこんな話する必要ないですぅ。

2千匹でもだらけって言えますぅ。」

ミウが反論した。


「いいえ、言えない!」

レイナが少し苛つきながら言う。


「どっちでも良いですぅ。些細な事ですん。」

クスッとミウが笑う。


「認めない! だらけって心配させた!

私そんなにいるのって聞いたのは適切だった!」


「細かいですぅ。ニュアンスなんてどうでも良いですん。」


俺は2人のくだらないやり取りに笑った。

ミウが間違ってるけど、言ってることは間違ってないのが滑稽だった。


「謝って!」

レイナが強く指摘する。


「謝ります、ごめんなさいお代は要りません。」

ミウが頭を下げながら言う。


「なにそれ! やり直して!」

レイナの声のトーンが強めになった。


「許してちょんまげビーム。」


俺は思わず、吹き出した。


「ちゃんと謝るの!」

レイナが眉間に皺を寄せて、指を地面に向けて言う。


「嫌です。謝罪のバーゲンセールはしないですよ。」

ミウが手を伸ばして振りながら拒否した。


「カノンにはちゃんと謝ったでしょ?」



「はい、私1日一謝りと決めてるんですん。」

深呼吸をしてミウが答えた。


「そんなの駄目、認めない。」


レイナが首を振る。


「じゃあ見本を見せてください、どういう謝り方すれば許してくれますか?」


謝り方が分からないと、しらを切ってる様に見えた。


「普通に謝れば良いの! 言い方が悪かったです、ごめんなさいって。」


「良いです、許してあげますぅ。」


ミウの狡猾な罠にレイナが落ちた。


「はぁ、貴方の相手してると寿命が縮むようね。」


「それは気のせいですぅ、不老の紋章あるのでその心配は無用ですぅ。」


レイナが強面の表情でミウを睨んだ。

それを見て、口元を抑えながら、笑みが溢れた。


「さすがに怖いですぅ~アキラ弁護士に相談しますん。

アキラ~どうすれば良い?」


「謝れば良いと思うよ。」

俺は満面の笑みで答えた。


「ってかなんで、一日一謝りなんてくだらないこと決めたんだよ? 

謝ると自分の価値が下がるとか思ってる?」


俺は真意をミウに聞いた。

まず俺は話を聞くことが1番であると、経験から行った。


それは、彼女達と一緒にいて分かったことだ。



「価値が下がるとか、そんな理由じゃないですん。そうしないと毎日100回ぐらい謝らないといけなくなるからですぅ。」


「ならそんなルールなくせよ。毎日100回でも良いよ。」


「分かりました~! そうしますん。」

ミウが素直に応じた。


カノンもレイナも賢いからリアクション薄いから、ミウが寂しがって俺がリアクション高くしたから、素直に言うこと聞くのもかもしれない。


「ちなみに謝る変なバージョンまだあるの?」

安心したので、気になって聞く。


「ありますん。

ごめんチャイナエプロンシールドォォー!」


「シールドォォーって謝ってるのに防御してない?」


「ならごめんチャイナエプロンで良いですか?」


「いや、そういう問題かな?」


「他にもまだあるの?」

レイナの顔色を伺いながら聞いた。

好奇心を抑えられないからだ。


「ごめんしゃしゃのー車両通りまーす!」


「あはは、もういいわ謝罪しなくても。

そういう子だと認識するから。」

レイナが腹を抱えて笑っていた。


突飛な答えに俺も笑みが溢れた。

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