グループ決定、どうぞよろしく。
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今日も朝も早くから登校している。
いつも通りではあるが、今日は珍しく勇也を待っている。
理由は交流会のグループに天音を参加させていいか、というのを聞くためである。
先生にはホームルーム後に報告すればいいだろう。
俺が登校してから15分程度経ったか、それなりに教室が賑わい始めている。
それに気づくと同時に、勇也が俺の方へと向かってきていることにも気が付いた。
「おはよう奏!」
「おはよ」
「今日も教室は騒がしいな。やっぱり交流会の班決めとかか?」
「どうだろうな。まあでも仲良しグループでやりたいとかあるだろうし、そういうのが話題になってんだろ」
「そうだな。ところで、俺たちはどうする?」
「残りのメンバーか?」
「そうそう。あと2人は必要なわけだ。既に俺たちのようにペアを作って、あと2人だってところがあれば、そことくっつくってのはあるが」
「あー、そのことだが、俺から相談がある」
「奏が!?珍しい…これは貴重だ」
あからさまに驚いたポーズをとる勇也だが、顔はニヤニヤしている。
「なんだその態度は話さんぞ」
「すまんすまん。そんで、相談か」
「あぁ、昨日先生に頼まれて、天音と話してきた。交流会に参加しないかって。そしたら俺と同じグループなら参加するってな。俺はいいが、勇也にも確認する必要があるからな。それが相談だ」
「なるほどな。奏は天音がいてもいいと思ってんだよな?」
「そうだな。別に問題はない」
「なら俺も平気だ。正直天音ってやつのことはほとんど知らない。知ってるのは教室にほぼ来ないってことだけだな。それでも奏が問題ないって言うんだったら平気なんだろ。まあ強いて言うなら、仲良くできるか分からないってことだけか」
「そうだな。そこは持ち前のコミュニケーション力で何とかして欲しいが。いや、そこは頼んだ側の俺が何とかしよう。ともかく、問題ないんだな。助かる」
「ま、せっかく会えるのならコミュニケーションを楽しまないとな。それに、奏とのどういったご関係なのか…」
「どんな関係でもねえよ普通の知り合いだ」
「まあそういうことにしておこう」
やっぱり気に食わんかもしれん。それでもありがたいものだ。
「はぁ…いや、まあでもほんとに助かるわ」
「おうよ。ならこれで俺らは3人か。確かこのクラスは34人だよな。となるとあまり3人グループは作らないほうがいいか」
「他に奇数グループが入ればいいけどな」
「それよりかは4人にした方があとで楽な気もする」
「そうかもな。ま、先生に投げてもいいんじゃねぇか。誰々に来て欲しいとかなんにもないし」
「そうするか」
無事天音に関する相談は終わった。勇也の人間性に助けられたな。なんか奢るか。
勇也に何を奢るか考えつつ、ホームルームを待った。
「今日の放課後の時間にちゃちゃっと交流会のグループ決めするから、なんとなくでも決めておけよー」
ホームルームでの担任の言葉により、今日の休み時間はとても騒がしかった。
「俺ら2人だから、お前ら一緒に組まね?」とか、「私たち多いから、半分に分けるしかないね」だとか、「あいつは入れたくねぇわー」とかとか、いろいろ聴こえてくる。
こうやって悩むのも青春なんだろうか。よく分からん。
担任にはホームルーム後に天音のことを伝えた。
担任は天音が条件付きとはいえ参加することを喜んでいた。
俺たちグループに入ることも問題ない、むしろその方がいいだろうとのことだった。
4人目に関しては、グループ決めのときになんとかするしかない。
まあなんとかなるだろ。
授業も終わり、ホームルームの時間がやってきた。
「さて、グループを決めるが、とりあえず既にメンバーを決めているやつらは代表者が紙を取りに来てくれ。そこにメンバー全員の名前を書いて提出だ。そしたらそのグループは1箇所に集まっておいてくれ」
「んで、まだ4人が決まってるないやつらだが。とりあえず、今集まってるメンバーでそれぞれ集まってくれ。2人のところは2人のところとグループになれ。3人のところはグループに入れてやれ。そんで、決まったら紙を取りに来い」
「揉めてるやつらはまあ、何とかしてくれ。揉めすぎて決まんないならこっちが全部勝手に決めるからな。じゃあ始めてくれ」
それぞれが動き出す。俺と勇也は同じ場所に最初からいるので動かなくていい。天音はもちろん来ていない。
動きを見ていると、それなりにスムーズに決まっているように思える。
2人組同士で組んでいるところや、3人のところに1人合流しているところしっかりあるようだ。
ただ、このクラスの中でも大きな集団、カースト的にはトップともいえる奴らが決まっていないようだ。
そいつらは11人。そもそも多すぎる気もするが、全員が友人というより、Aのグループのリーダーと、Bのグループのリーダーが仲良くなり、その友人たちも一緒にグループを形成しているという形のように見える。
分かれるなら4-4-3か5-6か。人数的には前者が良いだろう。周りは4人グループになってるようなので、3人グループは俺ら含め2つあるなら問題ない。
が、現実はそうもいかず。5-6になっている…いや5-5-1という形になっている…?
どうやら聴こえてくる話やそれぞれの態度を見ている限り、もともと5人の仲良しグループが2つ。そこに、恐らくこのクラスでどうやら人気のあるらしい、クラス委員である椎名が加わり11人。
椎名がどっちに入るか、という形で揉めているらしい。
その風景を見ていたら、担任の声が聞こえた。
「そういや言い忘れていたが、鈴谷と紫宮のところには天音…まああんまり教室には来てないがそいつもいるから、3人グループだ。ひとりで困ってるヤツいたらそこに入れてもらえよー」
おっと、ナイスです先生。これで誰か来てくれるか?
なんてことを考えていたら、どうやらあのカースト上位集団に動きがあった。
「私が悠佑と一緒のグループになる」とか、「なんで寧が勝手に決めんの?」とか「椎名は俺たちと一緒に」とかいろいろ聞こえてくるが、流れを変えたのが椎名の一言である。
「決まらないならもうさ、私抜きでいつもの5人5人にしようよ。鈴谷くんのところちょうど3人で空いてるし、そこに入れば人数も全部ピッタリ。私は向こう行くから、早く紙書いて出しなね」
これには皆驚きと動揺を隠せていない。それは俺もだ。
これだと俺たちにヘイトが向かないか?とも思うが、まあ別に俺たちが直接なにかしたわけではないし適当に流せば平気か。
椎名が俺たちのところまで来た。
「今の聞こえてたかな?ごめんね何も聞かずにこっち来ちゃって。私が入っても大丈夫かな?ダメならダメでいいよ」
「俺は問題ない。奏は?」
「俺も問題ない。あとは天音だが…」
「天音ちゃんに聞かないで入るのはさすがにダメだよね…。向こうをなんとか」
そう言って戻ろうとする椎名を止める。
「いや、まて。天音に今メッセージで確認するから。すぐ確認してくれればいいけど」
俺はアプリを起動し、天音に確認のメッセージを送る。
「紫宮くんって天音ちゃんと仲良いの?」
「そんなことない。知り合いなだけだ」
「奏、連絡先交換してたのか」
「強引にやらされたんだよ」
「ふーん」
なんだお前は。
天音から返事がきた。それを読み、椎名に伝える。
「問題ない、よろしく。との事だ」
「良かったぁ。じゃあ私はこのグループで!急だったけどありがとね。これからよろしく!」
「よろしくな!」
「おう」
急な展開だったが、椎名が加わりこれでメンバーが決定した。
揉めていた彼らもどうにか決まったようだ。
「んじゃグループは決まったから、あとはいろいろ細かいところを確認だ。これは後日行うから今日はもう解散だ〜。おつかれさん〜」
さて、終わったことだし、帰るか。と思ったらなにやらメッセージが来ていた。
「この後来れる?」と。
どうせ天音に報告する必要があるし、この後に予定はないので、あそこに向かうとしよう。