放課後、秘密基地にて。
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放課後、勇也との会話ののち例の部屋に向かう。
倉庫の前に着いた。一応、周りを確認する。他に人は居ない。
倉庫に入る。目的地はこの奥の部屋である。
「ふう」
特にやましい事もないし、ただ呼ばれたから行くだけなんだが、妙に緊張する。
女子に呼ばれたからだろうか。今までにない事だからか。
コンコンとノックして確認する。
「紫宮だが、天音はいるか」
呼びかけると、返事が聞こえた。
「はいはーい。開いてるから入っていいよー」
入室の許可を戴いたので、扉を開け部屋に入る。
「朝ぶりだね。ほら、ここおいで」
天音は自身の隣に置いてあるクッションを、パンパンと軽く叩きながら座ることを促している。
俺はテーブルを挟んだ反対側に座った。
「ありゃ、そこに座るの?まあいいけどねー」
さすがに隣には座れない。
「で、なんで呼んだんだ」
真っ先に聞くべきはこれ。何故俺を呼んだのか。
「んー、一目惚れ♡」
「冗談は要らないから教えてくれ」
「ノリが悪いなぁ」
ノリが悪くてすみませんね。コミュニケーション強者にはついていけないんだ。
天音は先程とは違う、真面目な顔で答えてくれた。
「そうだねぇ。私はここによくいるんだけどさ、ここ、あんまり他の人に知られたくないんだよね。秘密基地的な感覚かな、教室にはあんまり居れないし。でも友達と話したり、遊んだりとかしたいじゃん?だったらやっぱり、ここに呼ぶしかないもんね。どうせ呼ぶならもうここを知ってる人が良いし」
ふむ。まあ何となく思ってた通り。だが…
「その相手が俺でいいのか?」
「紫宮くんなら問題なし!というか他にいないからねぇ」
「いない?」
「あー、まあ、ね。ほら、あんまり教室とかにいないと関わらないからさ。教室内カーストなんかはもう論外だよね」
「天音なら友達すぐ作れるだろ」
「作れないよ。ま、そんなことよりさ、ゲームしよ!ゲーム!」
話逸らしたな。まあいいか。
「ゲームってなにやるんだ」
「ふふーん。これをみよ!」
ドヤ顔で天音が鞄から取り出したのは、携帯型の最新ゲーム機だった。
「これ、バレたらヤバくない?」
「ここならバレないバレない。バレても紫宮くんのせいにはしないから」
「バレたら俺にも責任はあるが。まあやるか」
「いいねいいね!やろやろ!」
こうして1時間ほど2人でゲームした。
夕陽で部屋がオレンジに染まりきった頃、区切りのいい所でゲームを終えた。
「楽しかった〜!ねえねえ、またやろう!」
「まあ楽しかった。暇だったらやる」
「えー、どうせ暇でしょー?」
「暇ではあるが」
「ま、今日は楽しかったし、それでよし!私は大体ここにいるからさ、暇になったり私に会いたいなぁってなったらここに来て私の相手になってよ」
「まあ、前向きに検討しとく」
「それじゃ俺は帰るわ。天音は?」
「私はまだちょっと残るかな。先に帰って平気だよ」
「そうか。じゃあな」
「はい。またね」
天音は笑顔で俺を見送った。
正直、楽しかった。普段ああやって誰かと遊ぶことはないし、ゲームを人とやることなんてなかったし。
たまになら、遊びに行ってもいいか。
そんなことを考えながら、俺は帰宅した。