二年生、始まる。
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突然だが、俺こと紫宮奏は一年前、地元のそこそこの高校に入学した。徒歩10分なのが良い。
一年生の頃は友人はおらず、コミュニケーションは最低限にしていた。話しかけられたら話すし、必要に応じて話しかけることだってある。しかしそれまでだ。全員クラスメイトでしかなく、放課後どこかへ遊びに行ったり、なんてことは一度もなかった。そして部活にも所属していないし、アルバイトもしていない。
じゃあ普段はなにしているのかといえば、勉強と最低限の運動、あとはゲームをしたり漫画を読んだりアニメを見たり。
現在は両親がともに長期出張で家にいないため、実質一人暮らし。そのため家事もしている。
さて、2年生になったが、生活はなにも変わっていない。普段から復習は欠かしていない。分からないことがあれば教師に質問するし、勉強面では全く問題ないだろう。
クラス替えとなり、クラスメイトが変わったが友人はできていない。が、絡んでくるやつが一名、後ろの席に。
「なにぼーっとしてんだよ」
「いや後ろからなんでぼーっとしてることがわかるんだよ」
「そりゃもう俺たちの仲だからだろうよ」
「出会ってまだ4日目だろうが」
「んな細かいこと気にするなって~。そんなことより今日一緒に昼食べようぜ」
「まあ良いけど」
「そう言ってくれると思ったぜ!」
俺の後ろの席に座っているのは鈴谷勇也。バスケ部で、運動においては校内でも一目置かれている。勉強もそれなりにできて、誰にでも卒なく接することができるガタイの良いイケメンである...と自称している男だ。
始業式も終わり、簡単なホームルームが行われた二年生初日。いきなり話しかけてきた思ったら突然の自己紹介。話しかけられたら会話はするのが俺だから、こちらも自己紹介はした。それから朝の時間や休み時間などにちょくちょく話しかけてくるのである。
ちなみに勇也と呼んでくれ!と本人に言われたため、お互いに名前で呼び合っている。
勇也とはわりと会話をするが、他のクラスメイトとは業務連絡としての会話しかしていない。そんな状態で二年生が始まったのである。
二年生となり一週間が経過した。
担任に呼ばれたと思ったら、雑用のお願いだった。まあ別に放課後の予定なんてないし、担任の評価を上げることは良いことだろう。そう考え引き受けた。
そして出会ったのだ。彼女に。
まあすぐ部屋から出たし、ほぼすれ違ったみたいなもんだ。
あの後、箱を職員室まで届けた。そこで彼女のことについて質問した。
「先生、倉庫の奥の部屋に女子生徒がクッションとか持ち込んで寝てたんですけど、誰か知ってますか?」
「あー天音か。そういえばあの部屋によくいることを伝え忘れていたな。すまない」
「いえ、とくになにもなかったので大丈夫です」
「そうか。持ってきてくれて助かったよ、ありがとう」
「これぐらいならいつでもお手伝いしますよ」
「それはありがたいな。じゃあ俺は仕事にもどるから。気を付けて帰れよー」
担任と別れ、家に帰る。
彼女は天音というらしい。あそこによくいるらしいし、それを担任は知っていた。ということは訳ありなんだろうか。というか担任が知っているということは、同じクラスなのか?まあこのクラスもまだ1週間しか経っていないし、同じクラスであることに気が付いていなかったことはある...だろう。
まあいいか。今日も帰ってからご飯作って勉強してゲームして寝よう。
翌日、いつも通りまだ人が少ない時間に登校し席でぼーっとする。
すると
「ねえねえ、君、昨日の子でしょ?」
いつも通りでないことが、起きたらしい。