10月30日PM22:00◆サーバー11th『デュオトリスの墓所』①
「おいっ、ポーション誰かねぇか?!」
「全員0だっつーのっ!」
「バフ切れっぞ!」
「MPもぅありませんよぉ……」
月明かりの照らす墓所に、幾人かの声が響き渡る。それは無骨で大柄な聖騎士、そして妖艶なサキュバス、さらに軽装の青年と猫耳を生やした女魔法使い。
パーティ『異世界大好き団』は、満身創痍でありながらも元気に騒がしかった。
ここはVRMMO『DHO』の複数あるダンジョンサーバーの11番目、アンデットモンスターに特化した『デュオトリスの墓所』。その10階層兼BOSS部屋。
つまるところボス戦中である彼らは、しかし通常とは違う災害に見舞われていた。
「おやおや、手札は切れましたか?大丈夫ですか?手加減しましょぅかぁ?あ、申し訳ありません…既にしてましたww」
「「「「出、出たァァァァァァァァァァァァ!!!」」」」
揺らり、揺らりと
彼らの後方、無数に並ぶ墓石の列の間からソレは現れた。
オレンジ色の巨大な頭部には、目の位置と口の位置がそれぞれくり抜かれており、頭頂には剣に貫かれる形で王冠を飾り、顔より下を濃紺のローブで包んだその姿は…
「Yaaaaaaahohohoho、呼ばれてとび出て『ジャック-O-ランターン』でございますよぉ!!」
ハロウィン名物の南瓜頭が、その瞳の空洞に火を揺らがせながらケタケタと笑っていた。
「畜生、『悪賊神』が来るなんて聞いてねぇよォ!!」
「Yahohohohohohohoho!!!」