#140文字小説:君に恋した瞬間が忘れられない。/愛してると優しく囁いた/ずっと運命の赤い糸を信じてた。
正方形小説「愛してると優しく囁いた」
愛してると優しく囁いた
君はなにと聞き返すけど
聞こえた事は分かってる
悪戯な笑顔を向けるから
そのほっぺを引っ張った
やめて痛いと言うけれど
痛くないのは分かってる
君の笑顔でゆびが外れた
もう一回って言うけれど
明日まで言ってあげない
何も言わずに抱きしめた
〆
ずっと運命の赤い糸を信じてた。
手をつないだ君は否定するけど。
この温もりがなによりも物語る。
その手をギュッと握りしめると。
君のはにかんだ笑顔が赤くなる。
僕はほらねと悪戯顔で微笑んだ。
君はやっぱり違うと言うけれど。
その笑顔がなによりも証拠だよ。
〆
君に恋した瞬間が忘れられない。
それはある暑い暑い夏の夕方。
夕焼けよりも目を奪われた。
君以外は見えなくなった。
波音さえも音を失った。
その瞬間に恋をした。
一目惚れであった。
海風に流れる髪。
髪を抑える手。
小さな横顔。
細い体躯。
白い肌。
眼鏡。
唇。
※こちらの作品は、短編にも書き下ろしてます。