表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

指切りげんまん、嘘ついたら…

作者: 楓

それはよくある幼い口約束だった。


「おおきくなったら、ぼくとけっこんして」


「けっこん?」


「ずっといっしょにいよう、ってこと」


「わたしをまもってくれる?」


「うん、もちろん!

 ぜったいにしあわせにするよ」


二人の小さな小指が絡まる。

可愛らしく微笑ましい約束だった。




少女は美しく成長し、男たちを魅了した。

小学校でお付き合いをしたのは、学年で一番足の速い子。

中学生でお付き合いをしたのは、サッカー部のエース兼部長の子。

高校生でお付き合いをしたのは、生徒会長の子。

大学生でお付き合いをしたのは、主席入学の子。

OLになってお付き合いをしたのは、青年実業家の人。


誰もが羨む相手と絶え間なく交際を重ねた。

しかし、結婚した相手は幼い頃約束を交わした男で、平凡な風貌のサラリーマン。


友人知人は口々に疑問を問いかける。


「なぜ、あの人と結婚したのか?」


美しい女は笑って言った。


「私をいつも守ってくれるから」




小学生の彼は、中学に上がってから部活に明け暮れた。一緒に過ごす時間が減って、彼女が寂しいと訴えても変わることはなかった。

そんな時、階段から落ちた。


中学生の彼は、口喧嘩がエスカレートして、彼女に手をあげた。

その後すぐに、車に轢かれた。


高校生の彼は、嫌がる彼女に性交渉を強要した。

次の日、乗っていたバイクのブレーキが効かなくなり、トラックに突っ込んだ。


大学生の彼は、彼女が希望した就職ではなく大学院への進路を選んだ。

そんな話をしたその日、電車のホームから落ちた。


実業家の彼は、結婚したら彼女に専業主婦になってほしいと願い出た。

彼女がそれを拒否した日、通り魔に刺されて死亡した。

犯人は捕まっていない。




美しい女の母は言う。


「お父さんにも貴女のウエディングドレス姿を見せたかったわ

 あの日、ベランダから足を滑らせて落ちなければ…」


父である男はよく癇癪を起こしては幼かった女を殴っていた。

美しい女は悲しそうに眉尻を下げて「仕方ないわ」と呟くと母に背を向けた。

そうして微笑む。


「私は守られているのだから」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ