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第7-28話 マスク・ヘッズ・ヴィレッジ

 集落に向かいたい気持ちと町を守らなければならない気持ちの間でせめぎ合うタリビア。どうすればいいのか決めることが出来ないまま、中途半端に爆発を回避し続けていた。今の彼女に決断をすることはできない。決定するのであれば他の人間の後押しがなければいけないだろう。


 彼女の決断の後押し、その第一歩を踏み込んだのは戦場で魔獣を交戦中の部下の一人だった。


「社長! 何か迷っているなら、自分の心に従ってください! この町は俺たちが何としても守って見せますから!」


「そうですよ! 社長ほどじゃなくても俺たちだって強いんです! こんな魔獣数匹くらい俺たちだけでもどうにかしますよ!!!」


 最初の声に賛同して次々と部下たちから声が上がる。


「お前たち……」


 そんな彼らの声を聞いてタリビアは思わず感極まり瞳に涙が浮かんだ。自分のことをこんなにも尊敬してくれて支えるために力を尽くしてくれる。何ていい部下を持ったんだと彼女は思った。


 そして決断する。この場を彼らに任せて集落に向かうことに。一切の動作なく神装の()()だけを数十本複製するとそれを暴れている魔獣のうちの一体に一斉に投げつける。


「うおッあぶねッ!?」


 戦っている部下の隙間を縫うように飛翔した剣は魔獣の身体や地面へと突き刺さる。だが、まだ魔獣の動きは止まらない。むしろ痛みで活発になっているくらいだ。


 しかし、タリビアは邪魔がしたかったのかと言えばそうではない。むしろはこれは単なる伏線。彼女の攻撃はここからが本番である。


 刹那、彼女の身体がその場から掻き消え、攻撃した魔獣の前に現れる。先ほどの攻撃が彼女からの者であることを本能のままに察知した魔獣は攻撃の標的を彼女に切り替え、即座に攻撃に移ろうとする。


 だが、その攻撃が行われることはない。動こうと力を入れた次の瞬間には魔獣の身体はバラバラに解体されてしまい、動くなど不可能な状態に陥らされたからだった。


 細切れにされた魔獣の身体は重い音を立てながら地面に落下し、その肉片から漏れ出た血がびちゃびちゃと水音を立て地面に染み込んでいく。


 余りの早業に部下はただ見守ることしかできなかったが、次の瞬間には彼女の口から発せられた言葉で回復する。


「ここはお前たちに任せるぞ! 全員死ぬなよ!」


 それだけを言い残しすぐにタリビアの姿が掻き消える。何も言えないまま後姿を見送ることになった部下たちだったが、同時に士気が最高潮に膨れ上がり戦闘意欲が極限まで振り切れる。


「ウオオオオオオ!!! 行ってらっしゃい社長ッ!!!」


 タリビアによって倒された魔獣を相手取っていた兵士たちはその勢いのままに他の魔獣に襲い掛かっていく。士気が最高潮まで高まっている彼らの戦闘能力はまさに獅子奮迅。神装使いのごとく、魔獣を踏みつぶしながら瞬く間に数を減らしていく。


 これならばこの町の心配はよほどのことがない限り問題ないだろう。問題となるのはやはり集落の方であった。


























 複製して設置していた剣に向かって跳躍したタリビア。だが、そんな彼女を出迎えたのは彼女を出迎えるつもりのないものだった。


 跳躍した彼女の目の前に広がったのはいつもと違う光景だった。薄暗い建物の中の光景に彼女は一瞬困惑する。


 そんな彼女の思考を引き戻したのは暗闇の中から響いた悲痛な声だった。


「タリビア様! お逃げくださいッ!!!」


 切羽詰まった老人のしわがれた声を耳にし彼女は勢いよくそちらに視線を向ける。そこには何か黒っぽいものを縄で括りつけられながら身体の自由を奪われた老人がいた。慌てた表情で彼女に逃げるように繰り返している。


 集落に到着したばかりでタリビアは状況を飲み込めないだったが、すぐに老人たちを助けようと足を踏み出す。


 瞬間、彼女の直感が危険だと警鐘を鳴らす。それとほぼ同時に老人たちに括りつけられた黒い物体が淡い光を放ち始める。光は徐々に強くなっていき、目を焼きそうなほど強くなったその瞬間。


「なっ!?」


 眩い閃光と轟音を鳴らしながら爆発した。


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