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第6-18話 ドラゴンライダー・スペンド・デイアナッシング

「ハァ、つまんねえな……」


 場所は変わってファニトラ付近のとある集落に滞在しているストレイ。彼は暇そうに空を眺めながら小石を手の中を弄んでいた。


 ナギス監視の手伝いから解放された戦争までの短い期間、自由を与えられた。早速彼はアベルにあった時のために特訓でもしようかと考えたが、特訓相手として適切な破神装使いやグルマ、ラスターたち神装使いは全員忙しそうにしている。それ以外では正直相手にならなくて訓練にならない。


 特訓ができず体力づくりのために走り回っていた彼であったが、そんなものでつらく感じる領域は既に超えている。一通り終えても何の感慨も湧かず、食う寝る特訓にしかたいして興味の無い彼は完全に暇を持て余していた。


 天を仰ぎ、ボーっと空を見上げていたストレイ。このまま呼ばれる日まで空を見つめることになるのだろうかなどと考えていると、彼の足に何か当たる様な感覚が走る。その感覚に彼がハッと意識を取り戻し視線を落とすと、そこに子供の頭サイズの布で作られたボールのようなものが転がっていた。


「にいちゃーん、それ取ってちょうだーい!」


 彼がそれを不思議そうな目で見ているとすぐに少し離れた広場から少年の声が響く。彼はストレイの方を向きながら手を振っており、ボールを寄こすように催促している。そばでは複数の子供たちがストレイにボールを返してくれることに対する視線を送っている。見た感じ彼らは十歳くらいだろう。


 ここでわざわざ彼にボールを返さない必要はない。ストレイは足元のボールを拾うと少年らに向かって投げつけた。


「うわっ!?」


「あ」


 しかし、ボールの勢いが強すぎたらしく少年はキャッチすることが出来ず弾き飛ばされ尻もちを搗く。そんな様子を見てストレイは思わず小さく声を上げたが、子供はやはり強くすぐに立ち上がるとボールを拾い上げる。


「ありがとー!」


 そしてストレイにお礼を言い、頭を下げるとボール遊びを再開すべく広場に向かって走っていった。


 少年たちの姿を見送り、再び空を見上げるストレイ。退屈から逃れられたのも束の間。再び彼に空虚な退屈な時間が訪れる。何もしたいと思えず、したいと思えることは出来ない。その両天秤にかけられ、どうしようもなくなっていたストレイは、いっそヴァルガルを呼びつけて空中散歩にでも出ようかと考えた。


 だが、彼の退屈は突然姿を消すことになる。


「なあ兄ちゃん、俺たちと一緒に遊ぼうぜ!」


「は?」


 いきなり自分に影がかかったことでストレイが再び視線を下に下げると、座っている彼を見下ろすようにして先ほどの少年が立っていた。彼の言葉にストレイが再び小さく声を上げると少年は彼の疑問に答えるべく声を上げる。


「だって兄ちゃんさっきボール投げたときすっげえ力強かったし! それにめちゃくちゃ暇そうにしてたからさ!」


 少年は純粋無垢な笑顔を浮かべながら誘った理由を説明する。それを聞いたストレイは一瞬考える素振りを見せたが、おそらく考えようと考えなくても結果は変わらなかっただろう。純粋に遊んでほしいという少年の気持ちが伝わってくる言葉を聞いたストレイ。彼は気持ちよく眠るためにと、腰を上げると少年の誘いに乗ることにした。


「仕方ねえな。ちょっと付き合ってやるか」


「よっしやった! 手加減してやるから」


「嘗めんな。お前ら全員まとめてかかってこい」


 少年たちに合流して遊び始めたストレイ。彼は持ち前の運動能力で少年たちを一手に引き受け、鬼ごっこ、ドッジボールなど様々な遊びで少年たちを圧倒していった(当事者はもれなく楽しんでいたため問題ないだろう)。


 その際に民家の窓をぶち壊してしまい、少年らともども叱られることになってしまったのはまた別の話である。



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