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第6-1話 オミナウスプレモネイション・ラン・キングダム

 大地信教団の暴走により少なくない傷を負った王都であったが、三か月弱もしてかなり復興が進み襲撃の面影など殆ど見られなくなった。復興作業に従事していたカルミリアたち獣鏖(じゅうおう)神聖隊(しんせいたい)も大分落ち着き、復興作業に手を貸していた隊員たちも隊に戻り、本格稼働を再開しようとしていた。


 そんな中、隊員たちの訓練を煙草を吹かしながら監督していたカルミリア。隣に立つヘリオスに同意を取るように声を上げる。


「ふむぅ……。だいぶ戦えるようにはなったが……」


「まだまだ人並ってところですね。あれじゃナギスと戦うのは厳しいでしょう」


 カルミリアとヘリオスの瞳に移っているのは隊員たちに混じって戦闘訓練を行っているナターリアの姿であった。三か月弱の血を吐くような特訓の成果で素人同然のところから彼らに張り合えるようになった彼女。


 戦士としての素質としては十分であることを見せた彼女であったが、隊員たちの実力は甘く見積もっても一流。超一流であるナギスに勝つのは難しいだろう。


 だが、普通にやってナギスに勝たせようなどとカルミリアは思っていない。真正面からではなく搦手で、近距離ではなく遠距離で戦わせるための策を考えて編み上げていた。


「その辺は考えてある。わざわざ敵の土俵に合わせる必要は無い。どこか一つだけでも勝っていればいいのだからな」


 彼女が目を付けているのは彼女の魔法適性であった。彼女は近距離の格闘戦より中距離の魔法戦のほうが向いている。これからナギスと戦うまではそこを重点的に伸ばしていく算段であった。


「それよりも暇なんだったらあの子に斧の使い方でも教えてきたらどうだ? それとも私と一対一で訓練がしたくて隣に立っているのか?」


「へーい! 行ってきまーす!」


 脅しとも捉えられる声をあげ、ヘリオスを睨むと彼は一目散に走って行ってしまった。いつも通りの彼の様子にカルミリアは呆れたように溜息をついた。


 隊員たちに混じって訓練を始めたヘリオスたちを眺めていると、王都から直通の通信用の魔道具がけたたましく鳴り始めた。このように鳴った時には何か緊急の要件であることを経験で知っているカルミリア。彼女は嫌な予感を覚えながらも魔道具に魔力を流す。

 

「どうした」


 カルミリアが一声上げると魔道具の向こうから慌てた様子の兵士の声が響く。


「国王からの緊急の呼び出しです! 至急王都へお戻りくださるよう! 何卒お早く!!!」


 なぜか息を切らし慌てている兵士の声を聞き、自分の想像以上のことが起こっていると察したカルミリアは、煙草を消しながらすぐに王都に戻ることを決める。


「総員訓練中止、注目! 私は火急の用により王都に戻ることになった! お前たちは正規の訓練を終えた後王都へ帰還せよ! 指揮はヘリオスが取れ!」


 指示を受けた部下たちはビシッと直立し、敬礼をすると同時に声を張り上げた。

 

「「「了解! ご武運を!!!」」」


 隊員たちの声を聞いた彼女はすぐに王都に足を向けると魔力を身体に漲らせる。そして全身をばねのようにし王都へ向かって一直線に走り始めるのだった。


 その道中の事。


「一体何があったんだ……。アボリス、何か分かるか?」


『詳しくはわからない。ただ、何やら神装使い同士が接触してはいたようだ。もしかしたらそれ関連かもしれない。それもおそらくライーユ付近でだ。アベル君のそばで何かがあったのかもしれない』


「何? 彼は確かライーユに向かって……。あそこの泉の水……、あれ関係だろうか……」


 走りながら今回の件の原因を予測しようとするカルミリア。思考を巡らせ選択肢を生み出していく彼女であったが、所詮考えたところでそれが正解かは王都に着かなければわからない。ならば早く着くことが重要である。ある程度の予測を立てた彼女は早く王都に辿り着くために魔力を循環させると同時に神装の力も使い、さらに加速するのだった。



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