表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先輩とチョコレート  作者: 猫屋敷 桜
7/11

6

「配属になりました高橋です。よろしくお願致します」

「塩崎っす。よろしくお願いしますー」

「初めまして、佐藤といいます。高橋さんは酒谷さん、塩崎さんは桃瀬さんに、仕事を教えてもらってください。あと、チョコレートどうぞ」

職場に変わった人がいる、佐藤さんという女性。

教育担当でもないし、役職はないけれどベテラン。

誰にでも優しくて、いつも穏やかな笑顔で、ちょっとした失敗が多くて、ものすごくチョコレート好きなんだ。


「そういえば佐藤さんって初対面の人にもチョコレート渡してるんですか?」

入社後配属先に挨拶にきたときのことを思い出した俺は、唐突に聞いてみた。

社会人になっていきなりお菓子をもらうなんて想像できなかったから。

「はい、毎年緊張している新人の方に私が代表で差し上げています。3月に米倉課長が100円集めたのを覚えていますか?そのお金で購入しているんです」

そういえばそんなことあったな、100円なんて渡したことも忘れてた。

「ちなみに桃瀬さん、酒谷さんも同期なんですが、桃瀬さんが甘いものが苦手だったので、酒谷さんが2個もらってくれました」

懐かしむように微笑む佐藤さんは可愛いなぁと思いつつ、疑問が沸き上がる。

「酒谷さんが配属になったのを知っているってことは、佐藤さんって酒谷さんより年上なんですか?」

「・・・・秘密です・・・」

佐藤さんの顔色が変わったのを見て、あっと思ったときには地雷を踏んだことを思い知った。

隣の席の塩崎も心なしか血の気が引いている。

「なんでもないです。すみません・・・」

女性に年齢を聞くのはまずった。謝ったけど、怒らせた。

「いえ、高橋さんより年上ですが、酒谷さんたちより年下です。転職前の勤務年数も合わせるとだいぶ長くなりましたが」

ん?年下で転職経験もあるけど、主任より長くここで仕事している?

混乱する頭で更なる地雷を踏まないように、佐藤さんにもらったチョコレートを口に含む。

俺の踏み込んではいけない世界もあるのだ。

今日のチョコレートは予感していたのかハイカカオでちょっと苦みが強かった。


後日談:

酒谷主任とたまたま学歴の話になって、佐藤さんは専門学校卒、主任は大学院卒で実は同い年だと発覚。

専門学校卒だからと人一倍努力した佐藤さんは、最年少課長になってもおかしくない実績があるそうだ。

すごい人だと気づいていたけど、まだ話せていなかった飲み会は塩崎と2人で行くことにした。

酒谷主任には言わなかったはずなのに、なぜか乱入してきた・・・。

最後までお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ