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先輩とチョコレート  作者: 猫屋敷 桜
4/11

3

「わぁ、可愛いですね」

「おいしそうだけど、可愛い」

「これどこのお店のですか?」

「小さい葉っぱが可愛いですよね。」

職場に変わった人がいる、佐藤さんという女性。

教育担当でもないし、役職はないけれどベテラン。

誰にでも優しくて、いつも穏やかな笑顔で、ちょっとした失敗が多くて、ものすごくチョコレート好きなんだ。


今日はあまり見たことのないお店のチョコレートを佐藤さんが持ってきて、職場に差し入れしてくれた。

女性陣の楽しそうな声が聞こえる。

出張のお土産が必須という職場ではないけど、遠出すると必ず地方のチョコレート菓子を買ってくるあたり、佐藤さんは本当にチョコレートが好きなんだと思う。

まぁ、チョコレート好きな俺としては知識が深まるのでありがたい限り。

「高橋さんも好きな包みを選んでください。ビター系は緑です」

1つもらって昼飯のあとに食べようと机にしまう。

佐藤さんは同期の塩崎にはピンクの包みを渡していた。

チョコレートの種類が違うのかな。

「佐藤さんってほんとチョコレートが好きなんですね」

「そうですね、ある年は仲のいい女の子同士の手作りチョコ交換があって40人分作りました。あと、前の職場では男性陣に若手の女性社員がプレゼントする伝統があったので、経費で10社、6万円ほど買わせていただきました。どのチョコレートを誰に渡すか、ずっと悩むのは幸せな経験でした。」

「規模がデカすぎて、なんもいえねぇ」

うっかり聞いた過去が壮大でびっくりする。

「最近は自分用や友チョコなどが増えてきて、真剣に悩みますね」

確かにバレンタインの時期はどこも賑やかで、1個1000円とかのチョコレートが出ていて驚いた。

バレンタインを楽しみたい人とチョコレートを楽しみたい人がどちらも楽しめるようになってきて、嬉しい限りだと佐藤さんは微笑む。


「高橋、ここミスってる。6回目かな?」

主任から注意を受け、涙目になりながら書類を片付ける。

気分転換にさっきのチョコレートを食べたら、おいしすぎて物足りない。

もう1個ないかと探したけど全部さばけていて、また涙目になった。

塩崎も食べてしまったらしい。

修正した書類を提出して席に戻ると、いつの間にか机の上に1つ置かれていて喜んだ。

単純なのか、俺。


後日談:

バレンタインでは佐藤さんから酒谷主任、俺、塩崎に、工具の形のチョコレートセットをくれた。

おいしくて楽しいバレンタインは初めてだったから素直にうれしかった。

ちゃんと悩んで大手のチョコレート会社のホワイトデー用を差し上げた。

なぜか酒谷主任と塩崎がニヤニヤしていたけど、チョコレート好き同士結束が強いだけだ。うん。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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