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第2章「脱出、船」11


 数体の死体達に囲まれて、ルークは気分良く男を抱きしめた。

 抱きしめられた男は軍用ベストを着用した若い男で、部屋に転がっている死体達と違ってまだ生きている。小さな呻き声しか上げられない彼を、ルークは愛おしく眺める。

 城塞都市から持ち帰った糸を通した青年を、今から人形に変える。この作業は絶対に邪魔されたくない。だからこそ、ルークはクリスから離れてこの部屋――死体置き場と設定された一番手前の部屋――にこもることにしたのだ。

 死体達が視界に入る度に小さな悲鳴を上げる彼を、簡易ベッドに転がし、ルークは腰のベルトから小型のナイフを取り出す。

 二丁拳銃による中~遠距離戦が主なルークだが、接近戦の為のナイフ戦も得意としている。今回の任務では出番が無かったこのナイフも、拳銃と同じくクラシカルなデザインをしている。黒を基調とした繊細なラインは、まるで年端もいかぬ少年の肢体のように感じる。

「ここじゃ銃は使えないからな」

 呟きながら、抵抗出来ずに身体を震わせる青年の装備をナイフで剥ぎ取って行く。装備、インナー、下着まで剥ぎ取り、ルークは感嘆のため息をついた。一糸纏わぬ目の前の青年の姿に興奮する。

 縛り上げた体勢を更に締め上げながら、ルークはナイフを彼の股間に突き立てた。何もなかったところに、自分専用の穴を構築していく。

 青年の小さな悲鳴が途絶える頃、ルークはその身体からナイフを引き抜いた。血まみれのナイフを愛おしく眺めてから、出血によるショックで絶命した青年の唇に自分のそれを重ねる。

 ひとしきり感触を楽しんだ後、ルークは青年の身体をベッドに横たえたまま眠りについた。

 黒のスラックスには既に交戦による血が付着している。まだ白さを主張するシャツを汚さないように、膝を抱えるようにして座ったまま眠る。青年の身体から体温が消えていくのがシーツ越しに伝わってくるのがわかり、ルークは意識を手放しながらも残酷な笑みを浮かべた。








 操舵室で最新型のコンピューター端末を見付けたクリスは、足早にヤートを監禁している船室に戻った。

 操舵室にあったデジタル時計の表示は日付が変わる時刻を過ぎており、クリスが如何に操舵室での探索業務に勤しんでいたかがわかる。まさか壊れた無線機と共に奥に埋もれているとは思わなかった。これだけ進んだ情報工学を持っているのに勿体ないとさえ感じる。

 片手で軽々と持てる重さの薄型端末を持て余しながら階段を降りる。重たい音を立てているのは軍用の強化金属を使ったブーツのせいだ。足音を隠すことなく一番奥の部屋に一直線に向かう。色白だが男らしさのあるクリスの手には、コンピューター端末は軽すぎる代物だ。

 余った片手でしっかりとノックをすると、中から「どうぞ」と言う先程と全く同じ声が聞こえてきた。返事はせずに扉を開けると先程と同じくベッドに座ったヤートと――嗅ぎ馴れた消毒液の香りが鼻腔を刺激した。クリスはすぐに香りの主を探したが、彼女は既に部屋に戻っているようだった。

「端末が見付かった。これからチェックをしようと思うが、大丈夫か?」

 体調が悪いと接続に関する数値が変動する場合がある。脳内といったデリケートな部分なら尚更だ。クリスが確認を取る為に視線を向けると、ヤートは無言で頷いた。

「……なら、始める」

 クリスはそう言いながら端末の電源を入れ、スラックスのポケットから連絡用の携帯端末を取り出した。片手で手際よく端末を操作しながら、もう片方の手で本部に連絡をつける。端末の画面には、まだ立ち上げの映像が映っている。


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