3話 ギルドにて【改稿版】
「あ、家に戻る前にギルドに行っていいか?」
オレはガウェインを家に案内しようと考えたけどすぐにそういえばクエスト中だったなという大切なことを思い出した。
薬草もこれぐらい摘めれば丁度いいだろうというぐらい摘めていたのでギルドに一度寄りたいという伝をとりあえずガウェインに聞く。
「はい、問題ないです」
「よし!じゃあ行くか……あっ!でもお前その格好だと目立つな」
ガウェインはひとつ返事で快諾してくれたけどよく考えたらこの見た目のまま連れていくのは完全にアウト、とりあえずどうにかしないとけいない。
「特に問題ないのでは?」
「問題大ありだよ!ヴァルトシュタイン王国の騎士団の鎧だけでもあれなのにアカツキだぞ!お前顔だけでもガウェインだってバレるだろ!」
「だからそれのなにが問題なのです?」
「お前はほんと変なとこ天然だな……」
オレが説明してもガウェインは心底不思議そうに聞いてくるだけで、オレははーっと大きくため息を吐きながら言う。
「?」
「だーかーらー! 底辺冒険者のオレがどうして12騎士なんか連れてるって説明どうすんだよ……ああもう! お前これ被っとけ」
多分ガウェインに分からせるのは無理、そう判断すると言いながら道具袋から布を出してガウェインに投げつける。
「……底辺? よくわかりませんがそう言うようでしたら」
最後まで理解して貰えてなかったように思うけどこんながたいで意外と素直なガウェインは受け取った布を頭からマントのようにすっぽり羽織る。
「よし! これでいいだろ! 行くか」
ギルドに着くとカランカランと朝と同じ音をたてて扉を開けて中に入る。
ざわざわと朝から相変わらずギルドの中は騒がしい。
「おっ! 底辺くんのお帰りだぞー!!」
「薬草はちゃんと摘めましたかぁ?」
毎度お馴染みの中傷を受けてへらへらしながらオレは答える。
「はい、ちゃんと摘めましたよ」
「薬草の種類とか間違えてないかー、まぁおつかいぐらいできるか!」
瞬間ドッと笑い声が大きくなるがオレの後ろから入ってきたガウェインを見てさっきまでの喧騒が嘘のようにシーンと静かになる。
「アーサ……アッシュ様、何ですかこの無礼な者たちは」
それもそうだろうマントを被っているとはいえがたいの良さは隠しきれてないしなによりこんなに殺気だっていたら泣いてる子供ですら黙る。
来る間に説明しておけばよかったと今さら思っても覆水盆に返らずだ。
そして、こういうときには必ず火に油を注ぐやつがいる。
「あぁ? だれだテメー見ねー顔だな、がたいはいいみたいだがこんな底辺がつれてきたってことは同族か?」
近くのテーブルで酒を飲んでいた男が立ち上がるとガウェインと距離を詰める。
「ひとつ聞こう、さっきから底辺底辺と聞こえるが誰のことを言ってる?」
「ちょっ!」
そしてガウェインはその煽りを真正面から受け取ってオレの制止空しく低い声で囁く。
「はぁ!? そんなのお前の隣にいるモブメガネ以外いないだろ、てかなんでそんなやつに様つけてんだ?」
男の子言葉にピシッとガウェインの周囲の空気が嫌な音をたてる。
「……よほど死にたいようだな、アーサ……アッシュ様をここまで愚弄するとは」
そして、そう言いながらガウェインは剣を抜こうと柄に手をかけた。
「やんのか!?
あぁ!?」
相手も引く気はないようで
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
慌ててオレは二人の間に割り込みガウェインの手を押さえて剣を抜けないようにする。
「お離しください!」
「ほんと待って!」
「なぜです!? 私のことならまだしもアッシュ様をここまで侮辱されて黙っているわけには!」
「お願いだから少し待って!!」
ヤバいヤバいここで戦いにでもなったら困る!オレの正体がバレたらさらに困る!!
ガウェインは昔から忠誠心が高かったけどお願いだからここでは怒らないで欲しい。
「違うんです!! 僕が生き倒れてるこのかたをたまたま見つけて連れてきただけなんです! 様をつけてたりするのは恩義に熱いかただからなんです! 依頼の報告だけしたら帰りますから! まだこのかたも疲れていらっしゃるでしょうし……ねっ!」
「しかし!」
「ねっ!!」
こっちが必死で取り繕っているの引こうとしないガウェインを目線で威圧する。
「わ、わかりました……」
「もうかたほうのかたも喧嘩腰ですいませんでした、どうか気を納めてください」
ガウェインが押しとどまってくれたことに安堵しながらもう片方にもちゃんとフォローを入れておく。
「チッ! しゃあねえなぁモブはモブらしくしてろ」
男は最後に毒を吐くとすぐにそのまま席へと戻っていった。
「よかった……」
モブと言われた瞬間またガウェインが殺気を放ちそうになっていたのをもう一度目で制してから呟く。
とりあえずはまぁ、これで大丈夫だろう。
オレはこの村では力も何も持たないただのモブでありたいのにアーサーだなんてバレたらこれまでの努力もパアになってしまう。
「あなたは、ここでちょっと待っててください」
これ以上の騒ぎにしたくなくてガウェインに入り口で待ってるように促す。
「しかし……」
「待ってて!」
「……はい」
渋ろうとしたけどしぶしぶガウェインが了解してくれたのでオレはそのまま小走りに受け付けに向かう。
「すいませんお騒がせして、これ依頼の薬草です」
そして端的に用件だけ伝えるとセシルに薬草を渡す。
「いえ、こちらこそ止めれなくて、生き倒れてたかたは大丈夫ですか?」
「はい、一回僕の家に行って休ませてあげようと」
「おそらく冒険者のかたですよね? なんでしたらこちらで医療班など用意しますが」
「いえ、大丈夫です、お気遣いありがとうございます」
「わかりましたじゃあこちら今回の報酬になります」
セシルは何度かガウェインの心配をしながらも深く追及することはせずに今日の分の報酬を精査してくれる。
「はい、受け取りました、じゃあまた明日」
「お疲れ様です、心身的にも疲れたでしょうからしっかり休んでくださいね、これ、おまけです、よかったら家で食べてください」
オレが帰ろうとするとセシルは小声でそう言って、それから可愛い袋に入れたクッキーをくれた。
「ありがとうございます」
オレは笑い返してお礼を伝えるとそのままギルドを出た。




