王からの依頼
外にでてガウェインと合流する
「お前危ないだろ、もう少しで下手したらオレの正体バレてたぞ」
「しかしどういうことですか!?底辺だのモブだのと!しかもそれを聞いてなぜ怒らないのです!?勇者アーサー様ともあろうものが!」
オレは今日何度目かのため息をついてから言った
「なぜって言われてもオレはもうアーサーじゃないし……」
「そうだとしても言われっぱなしでへこへこしてて騎士としての誇りはどうしたのですか!?それまで捨ててしまったのですか!?」
「いいんだよこれで、オレは底辺冒険者、騎士でももうないしな、誇りだのなんだのそういうのはもういいんだ、今オレはやりたいことをやってるだけだ、この3年間それでやってこれたし勢力争いとかそういうごたごたしたこととも無縁でオレは今が楽しい、勇者だったころには感じれなかった、味わえなかった感覚、しあわせだ、だからこれでいいんだよ、森から戻るときに説明しとけばよかったな、でもお前ももうオレはお前の上司じゃないしあんな怒る必要ないだろ」
ガウェインは少し間を置いてから少しつらそうに言った
「……しかし私にとっては名前が変わろうとなにがあろうと貴方は私にとっての恩人です、そんな恩人を愚弄されたら騎士としては黙っているわけにはいかないのです」
ガウェインにも色々思うところがあるのだろう
「そっか、じゃあ怒ってくれたのはありがとな、でもさっきも言ったがオレは今の生活が楽しい、ああいうのも新鮮だろ、だから怒らなくていい、オレのわがままだ」
また少し間を置いてからガウェインが言った
「……わかりました」
「ごめんな、じゃあ家に行くか!」
「着いたぞ!ここが今のオレの家だ」
「ここ、がですか」
「いいだろ?こじんまりしてて」
「……もうすこししっかりした家でもよかったのでは?」
「これぐらいが丁度いいんだって」
「そういうものなんですかね」
「お前にもわかるときがくるって、この良さが、ほら入れよ、この家に住むようになってから初めての客だ」
「初めての客……いいのですか私なんかで」
「いいに決まってんだろ、ほら入れ」
「はい、失礼します」
家に入るとオレは剣を置き鎧を脱ぎだて眼鏡を外すとモブ感を出すためにわざとボサボサにしている髪の毛を軽くとかして後ろでそんなに長くない髪を無理やり引っ付かんで縛って前髪をピンで止める
その間ぼーっと立っていたガウェインに声をかけた
「お前も鎧脱いでゆっくりしろよ」
「はい」
「晩御飯の準備するから鎧脱いだらくつろいでてくれ」
ガウェインが鎧を脱いでいる間にそう言い台所に立つ
「よしやるか!」
いつもは食事は軽く済ましてしまうことも多いがせっかく旧友が来ているのだから今日は腕を振るうとしよう
「よし!待たせたな」
テーブルいっぱいに料理を並べて言う
しかし少し張り切りすぎて作りすぎてしまったかんはあるがまあいいだろう
「……」
ガウェインが黙っている
「どうした?」
不思議に思い聞く
「いや、こうしていると昔を思い出して……」
「そういや昔はよくこうやって食卓をかこんだな」
「……やはり戻っては一一」
「やめろ、飯が不味くなる」
「……すいません」
「あーもう!わかったからそんな暗くなるな!」
「ということは!」
「戻るとは言ってないぞ、飯が終わったら話だけ聞いてやるってだけだ、飯食って話したら寝て起きて王国に帰って王にオレは戻らないと伝えろ、あと約束は守れともな」
話を聞くと聞いてガウェインは嬉しそうに返事をした
「はい!ではいただきます」
「ごちそうさまでした、アッシュ様は昔から料理も得意でしたがさらに美味しくなっていました」
「それはどうも」
「では話を」
「やっぱ忘れてないか」
「当たり前です!では話させていただきます」
「聞くだけだぞ……」
ガウェインが真剣な面持ちになり言った
「ランスロットが謀反を起こしました」
ガタッ!!
オレは椅子が倒れる勢いで立ち上がった
「……どういうことだ?」
「ランスロットがアカツキを抜け王、いや王国に反旗を翻したのです」
「理由はわかっているのか?」
オレはそう聞いたが理由はなんとなく察しがついていた
「……おそらくグネヴィア様のことが関係していると思われます、いや、確実でしょう、ルナからもランスロットについて謀反したものも多数いますそしてランスロットはアーサー様も狙っている、このチコ村にも火種が飛ぶかもしれないです、そしてランスロットと相対し止められるのはアーサー様しかいません!そこで王は契約を破ってでも私を貴方のもとへと送られたのです、ランスロットを止める、この王からのじきじきの依頼受けていただけますか?」
聞かれるまでもなくオレの答えは決まっていた
「今日中に荷をまとめる、明日にはヴァルトシュタインに発つ」
「ということは!!」
「ああ、ランスロットとグネヴィアが関係している以上これはオレが巻いた火種だ、自分でけりをつけなければならない、一時だがオレはアッシュという衣を脱ぎアーサーに戻ろう」