ギルドにて
「あ、家に戻る前にギルドに行っていいか?」
オレはそういえばクエスト中だったなと思い
薬草もこれぐらい摘めれば丁度いいだろうというぐらい摘めていたのでギルドに報告してから家に戻ろうとガウェインに聞く
「はい、問題ないです」
「よし!じゃあ行くか……あっ!でもお前その格好だと目立つな」
「?特に問題ないのでは?」
「問題大ありだよ!ヴァルトシュタイン王国の騎士団の鎧だけでもあれなのにアカツキだぞ!お前顔だけでもガウェインだってバレるだろ!」
ガウェインは心底不思議そうに聞いてくる
「だからそれのなにが問題なのです?」
オレははーっとため息をつきながら言う
「お前はほんと変なとこ天然だな……」
「?」
「だーかーらー!底辺冒険者のオレがどうして12騎士なんか連れてるって言うんだよ……ああもう!お前これ被っとけ」
そう言って道具袋から布を出してガウェインに投げた
「……底辺?よくわかりませんがそう言うようでしたら」
受け取った布をガウェインが頭からマントのようにすっぽり羽織った
「よし!これでいいだろ!行くか」
カランカランと朝と同じ音をたてて扉を開けてギルドに入る
ざわざわと相変わらずギルドは騒がしい
「おっ!底辺くんのお帰りだぞー!!」
「薬草はちゃんと摘めましたかぁ?」
毎度お馴染みの中傷を受けてへらへらしながら答える
「はい、ちゃんと摘めましたよ」
「薬草の種類とか間違えてないかー、まぁおつかいぐらいできるか!」
ドッと笑い声が大きくなるがオレの後ろから入ってきたガウェインを見てさっきまでの喧騒が嘘のようにシーンと静かになる
「アーサ……アッシュ様、何ですかこの無礼な者たちは」
それもそうだろうマントを被っているとはいえがたいの良さは隠しきれないしなによりこんなに殺気だっていたら泣いてる子供ですら黙るだろう
来る間に説明しておけばよかったと今さら思っても覆水盆に返らずだ
そしてこういうときには必ず火に油を注ぐやつがいる
「あぁ?だれだテメー見ねー顔だな、がたいはいいみたいだがこんな底辺がつれてきたってことは同族か?」
「ひとつ聞こう、さっきから底辺底辺と聞こえるが誰のことを言ってる?」
「ちょっ!」
「はぁ!?そんなのお前の隣にいるモブメガネ以外いないだろ、てかなんでそんなやつに様つけてんだ?」
ピシッとガウェインの周囲の空気が音をたてる
「……よほど死にたいようだな、アーサ……アッシュ様をここまで愚弄するとは」
そう言ってガウェインは剣を抜こうとする
「やんのか!?あぁ!?」
相手も引くきはないようだ
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
慌ててオレは二人の間に入りガウェインの手を押さえて剣を抜けないようにする
「お離しください!」
「ほんと待って!」
「なぜです!?私のことならまだしもアッシュ様をここまで侮辱されて黙っているわけには!?」
「お願いだから少し待って!!」
ヤバいヤバいここで戦いにでもなったら困る!オレの正体がバレたらさらに困る!!
「違うんです!!僕が生き倒れてるこのかたをたまたま見つけて連れてきただけなんです!様をつけてたりするのは恩義に熱いかただからなんです!依頼の報告だけしたら帰りますから!まだこのかたも疲れていらっしゃるでしょうし……ねっ!」
「しかし!」
「ねっ!!」
目線でガウェインを威圧する
「わ、わかりました……」
「もうかたほうのかたも喧嘩腰ですいませんでした、どうか気を納めてください」
「ちっ!しゃあねえなぁモブはモブらしくしてろ」
最後に毒をはくと絡んできたやつは席へと戻っていった
「よかった……」
モブと言われた瞬間またガウェインが殺気を放ちそうになっていたのを目で制してから呟く
とりあえずこれで大丈夫だろう
「ここでちょっと待っててください」
これ以上騒ぎにしたくなくガウェインに入り口で待ってるように言う
「しかし……」
「待ってて!」
「……はい」
しぶしぶガウェインが了解してくれたのでオレは小走りに受け付けに向かう
「すいませんお騒がせして、これ依頼の薬草です」
そう言ってセシルに薬草を渡す
「いえ、こちらこそ止めれなくて、生き倒れてたかたは大丈夫ですか?」
「はい、一回僕の家に行って休ませてあげようと」
「おそらく冒険者のかたですよね?なんでしたらこちらで医療班など用意しますが」
「いえ、大丈夫です、お気遣いありがとうございます」
「わかりましたじゃあこちら今回の報酬になります」
「はい、受け取りました、じゃあまた明日」
「お疲れ様です、心身的にも疲れたでしょうからしっかり休んでくださいね、これ、おまけです、よかったら家で食べてください」
セシルは小声でそう言って可愛い袋に入れたクッキーをくれた
「ありがとうございます」
オレは笑い返してお礼をいいギルドをでた