個人指導No.2ガウェイン・シュヴァルツシルト
2人目 ガウェイン・シュヴァルツシルト
通称黒き盾とよばれこちらもペリノアと同じく体格に恵まれているがパワータイプではなく防御力が高い
さらにシュヴァルツシルト家に代々受け継がれる神具黒盾もあって単純な防御力ではアカツキで一番高いだろう
見た目は真っ黒で男にしてはすこし長めの髪に真っ黒の瞳
これは昔からだが忠誠心が高くオレのことを少し神格化している節がある
性格は騎士をそのまま人にしたような感じだ、誠実で実直でまじめ、すこし優柔不断なのが玉に瑕だが考え抜いて一度決めたらそれを曲げない頑固さもある
年齢はオレがいた頃で23だったので今は20代後半だろう
「よし、じゃあ早速だが始めてもいいか?」
「はい!一体どう指導していただけるのでしょうか?」
「あー、お前とはチコ村で会ったときも軽く1戦あったがあれに近い感じだな、剣を使っての組み手だ、その途中で長所と短所を見つけて指示をだすから戦いの中で覚えていけ、じゃあいくぞ、死にたくなければ本気でかかってこい!」
オレは剣を抜いて構える
「お願いします!!」
ガウェインは返事をして剣を抜き間合いを詰めて斬りかかってくる
左斜め上から右斜め下に向かって一閃振るう
キィン
オレはエクスカリバーで受け止めたペリノアのツヴァイヘンダーのように一撃が重い武器は避ける方が楽だが普通の剣撃なら剣で受け止めた方が楽だ
ぶつかりあった剣が一瞬離れるがガウェインがすぐに次の攻撃体制に入る
そのままキィン!キン!と剣同士が何度もぶつかり合う
何度かぶつかり合ううちにやはりと確信に近いものを感じた
そしてガウェインの次の一撃を強く弾いた、強く弾かれたことでガウェインは体制を大きく崩す
「悪いな」
ガウェインは右手にカッツバルゲル、左手に黒盾を装備している
黒盾はサイズを変えられるがガウェインの場合基本だいぶ大きいサイズのまま使用しているため攻撃が通る場所が少ない
だから最初に軽く謝り剣の柄で軽く頭部を殴り付けた
「っ!」
その勢いでガウェインが横に吹き飛ぶ
「動きがテンプレすぎるぞ!習ったままの攻撃だけじゃなく自分で考えて動け!」
「は、はい!」
吹き飛んだガウェインはすぐに態勢を立て直し向かってくる
ガウェインが横に一線剣を振るう
それを軽くかがんで避けてから構えられている黒盾より内側に入り込む
「っ!」
盾と自身の間に入られることで一瞬身動きが取れずたじろぐ
そこに拳でみぞおちに拳打を打ち込む
「ぐっ!」
うめいてよろけるガウェインと距離を取る
「なんのために黒盾はサイズが変えられると思ってるんだ!常時盾を大きいサイズで持っているから懐に入り込まれる、攻撃をガードする一瞬大きければいいんだ、サイズを自由に変えてみろ!」
「はい!」
ガウェインは盾を縮小させる
「いくぞ!ガードする一瞬盾を大きくしろ!」
態勢を立て直したガウェインに間合いを詰めると剣を振り下ろす
ガキィン!
ガウェインはオレの剣での一撃が入る瞬間だけ盾を大きくして防いだ
オレは軽くよろけるがもう一度すぐに剣を振った
「パリィだガウェイン!」
言葉に反応して盾をもう一度大きくして剣撃をガリガリと受け流す
「そのまま盾で突進しろ!盾でできることは防御だけじゃないぞ!黒盾の固さを生かせ!」
「っ、は、はい!」
盾のサイズを大きいままに盾で体型を生かしたタックルをパリィで体勢を崩したオレにぶちあてる
ドンッ!と音がしてオレは後方に軽く吹き飛ぶ
オレは体勢を崩さず着地して剣を鞘にしまう
「はぁ、はっ、お、終わりですか?」
ガウェインは息を切らしながら聞いてくる
「いや、違う、オレはこれから魔法を使う、ここからは黒盾の使い方だ!」
「ま、魔法ですか!?」
ガウェインはあわてているがオレはお構いなしに手を前につきだす
「ヴォルトランス九重奏」
オレの手から9本の雷撃が飛び出す
「一方向なら!」
ガウェインはそう言うと黒盾を大きくして身構えた
「残念だがオレのヴォルトランスは……曲がるぞ?」
オレの手から真っ直ぐに飛び出していた雷撃がすべて途中で曲がり全方向からガウェインに向かう
「そ、そんなっ!」
「慌てるな!黒盾なら防御できる、考えて発動しろ!」
「っ!黒盾!!」
黒盾はサイズを変えるくらいならなにも言わなくてもいいが大きく形を変化させるときはそれに相対して文言を唱えないといけなくなる
ガウェインが黒盾の名前を呼ぶと黒盾は形を変えてガウェイン自身を丸く囲った
チュイン!チュン!チュン!
ヴォルトランスは黒盾にすべて防がれた
全部防ぎきったあと黒盾の形が戻る
黒盾は大きく使用すると体力がかなり削られるため出てきたガウェインは肩で息をしていた
「まぁ及第点だな、じゃあ次でお前への個人指導は最後だ!」
オレは両手をかかげる
「そ、そんな!待ってください!」
「敵は待ってはくれないぞ!さぁどうする?」
話しているうちにもオレの手元には魔素がどんどん集まっていく
「どうすればっ!」
「ヒントをやろう、相手と自分の空間を分ければいい、さっきは出来ただろ?いくぞ!サンダーボルト!!」
「っ!黒盾!!」
ガウェインが唱えるとオレを中心に黒盾が丸く展開された
「正解だっ!」
オレの手から放電を開始するが周りを黒盾に囲まれているので外には少しも雷撃は通らなかった
放電が止まると一緒に黒盾は崩れ去った
「はっ、はぁ、はぁ、はっ」
オレが黒盾から解放されるとガウェインは床に手をついて肩で息をしていた
無理もない、黒盾を二度も大きく酷使したのだ、体力は底をついているだろう
「よし、終わりだ、お疲れ様、オレは次に行かないといけないからそのままで聞いてくれるか?」
「は、はい」
「まず長所だがやはり防御力はすごいな、特に黒盾を使ったときは全部の攻撃が防がれてる、だが攻めかたが教えてもらった戦いかたしかできてなかったな、簡単に言えば型にはまりすぎてる、そこはもう少し自分で考えて攻撃に変化を持たせろ」
「はい」
「あとはやっぱり黒盾の使い方だな、途中でも言ったことだが場合によってサイズを変えることを覚えろ、せっかくサイズを変えられるんだずっと大きくしていたら間合いに入られたら終わりだ、もしくは一瞬で状況を判断できれば間合いに入られたら一瞬で黒盾を小さくすることができればいい、あとは黒盾で直にガードするだけじゃなくパリィをして相手の体勢を崩すことで隙を作れる、あとその体格なら黒盾を使って突進すれば打撃になるし相手の体勢を崩すこともできる、ここまではいいか?」
「はい!大丈夫です」
「あとは魔法に対してだが一撃目は全体を囲むのも正解だがあれだけの変動だと体力を大きく消耗する、黒盾は分裂もできる、だから一撃一撃を見抜ければ着地点だけに黒盾を展開すれば体力の消耗を最小限にできる」
「っ!なるほど……」
「二撃目に、関しては完璧に正解だ、全体攻撃の魔法に対して相手の全体を黒盾で囲んでしまえば完璧に防御できる、組み手での感想はこんな感じだな、これからの鍛練についてだが攻撃と黒盾の使い方のバリエーションを持たせろ、その場その場でとっさの判断が出来るようになれば格段に強くなれる、黒盾は使い方が豊富だからな、あとはもっと体力をつけて黒盾で体力消耗しても動けるようにしたほうがいいな、黒盾は体力の消耗が激しいからな、お前にの個人指導はそんなところだな、今言ったことを反復して鍛練で体に馴染ませていけ、あとはお前の頑張り次第だ、オレは次に行く、頑張れよ」
「はいっ!ありがとうございます!」
ガウェインはまだ体力的に立ち上がれないだろうに、無理をして立ち上がって頭を下げてお礼を言ってきた
「無理はするなよ」
オレは最後に言葉をかけてから訓練所をでた
鎧はまたボロボロだったのでガウェインのいる訓練所をでると汗を拭いて鎧を着替えた
「次はだれにしようか……」
オレは次の相手を考えながら訓練所の廊下を歩いた