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底辺冒険者なんて言われてますけど実は元最強勇者です  作者: CLOWN888v
1章 湖の騎士ランスロットの反乱
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気を抜くことは許されない

 その日は王国についてから反乱の説明や国民への声明、敵からの襲撃、作戦会議と立て続けに起こりすっかり皆疲れきっていた

 時間もすでに夕方になり今日は解散することをオレは提案した

 アカツキ達からは今からでも稽古をつけてほしいという言葉も上がったが気疲れしているなかでのオーバーワークは逆効果だと言うことでオレは断った

 かわりに明日からは早朝から個別に稽古をつけるから今日だけはゆっくり休むように告げた

 そしてオレは夕食は部屋で食べると伝え3年前まで使っていた自室に戻った

「3年も経ったのに部屋はそのままにしてくれてあるのか……」

自室はベットのシーツもシワもなく、埃ひとつないことから毎日清掃してくれていることも見て取れた

「もう戻ってこないはずだったのにな……」

 ランスロットのこと、グネヴィアのこと、マーリンのこと、色々ありすぎてベットに倒れこみたくなるが王国に来る道中にガウェインにも言ったがどこでなにが狙っているかもわからない、それにそんなところを誰かに見られる訳にもいかないのでベットに腰かけるだけにとどめた

 少し座って休んでから鎧を脱ぐ、その時に腕をもう一度見てみたがDon't peek(覗いちゃダメだよ)の文字は消えていなかった

敵の最強戦力……はっきり言って底がしれない

 おそらくグリフが襲撃してきたのは最強戦力の差し金ではないだろう

 ビジョンをハッキングして一瞬そいつと繋がったときに流れ込んできた思考を考えると安易にそんなことはしないだろうと思った

 おそらくそいつは考えてから動くタイプだろう、だがそれと同時に子供のような無邪気さも感じ取れた、まるでチェスでもするように戦いをあくまで遊びとしてしか思っていないような悪意のない無邪気さを

「そういう相手ほどたちが悪いんだ……」

 そんなやつをこれから相手にすると思うとすこし頭が痛くなった

 しかもおそらくだがグリフとの戦いも見られていただろう

 マーリンのことも気がかりだ、なぜ敵についたのかがわからない、だがマーリンのことだ、なにか理由があるはずだ、オレには計り知れない理由が、マーリンはいつもそうだから、誰にもなにも言わずにいつも1人で自身が最善であると思う行動をして1人で解決しようとする

 勇者をやめてしまったオレが言えることではないがマーリンにはすこしは周りを頼ってほしい

「ていうかやっぱりマーリン見た目かわってなかったなぁ」

 マーリンは初めて会ったときから見た目が変わらない

 ずっと少女の姿だ、本人になぜ見た目が変わらないのか聞いたことがあるが幻術で見た目を若く見せているとのことだったがオレが勇者をやって王国にいた頃からマーリンは隠し事と秘密が多かったのでこれも本当のことかはわからない

 だがあのときはマーリンが来てくれて助かった、あのままではグリフを殺してしまうところだった、甘い言葉と言われるかもしれないがたとえ命を狙ってきた者だとしてもオレはもう出来る限り人を殺したくない、オレはあまりに多くの命を奪ってきてしまったのだから

「魔法の制御か……」

 手元に魔素を集めて少し魔法を発動させてみる、バチバチと手元から雷が光る

 オレは昔から魔法の制御があまり得意ではなくよくマーリンに注意されていた、アカツキ全体のレベルアップもだが魔法の制御はオレ自身のこれからの課題だろう

 それから腰に差したままだったエクスカリバーを鞘ごと外す

 鎧は脱いだが剣は寝ていてもすぐに鞘から抜けるように枕元に置いた

 そして鞘から剣を引き抜き部屋の灯りに掲げてみる

「手入れでもするか……」

 ずっとクローゼットにしまっていたからあまり手入れが行き届いていなかったので夕食が運ばれてくるまでの間に手入れをすることにした

「来る前にやっとくべきだったか」

 そんなことを呟いてからはこれからのことを考えながら剣の手入れを始めた



トントン

 最初は色々考えながら手入れをしていたが途中から無心で剣の手入れをしているとドアがノックされた

 ハッとなって時計を見ると手入れを始めてから1時間も経過していた

「誰だ?」

 オレはノックしてきた者に聞く

「このお城に仕えていますメイドです、夕食のほうお持ちしました」

「ああ、今開ける」

 手入れをしていた剣を鞘に戻して腰に差してから部屋のドアを開けた

「こちら、本日のお夕食になります」

「ありがとう、ああここまででいい」

メイドはワゴンを押していて部屋の中まで運ぼうとするがオレは止めた

「しかし……」

 メイドが渋る

「悪いが部屋には誰も入れないんだ、だからここまでで大丈夫だ」

「……わかりました」

 メイドはそう言ってワゴンをオレに渡した

「ではわたしは失礼します」

 メイドが帰ろうとする

「ああ悪いな、で、誰の差し金だ?」

 メイドの肩がビクリと動く

「……なんのことでしょう?」

「しらを切るならまぁ簡単に試してみるか、オレは感覚でわかったが」

 オレは料理にかけられたクロッシュを外すとスープに銀硬貨を落とした

 すると銀硬貨はみるみる変色した

「知ってるか?ヒ素なんかの毒の入ってる物に銀をつけると化学反応で変色するんだよ」

「っ!」

「で、誰の差し金だ?」

「このっ!」

 メイドはこちらをむくとメイド服に隠してあったナイフを2本抜き取り斬りかかってきた

「はぁ、」

 オレはため息をつきながらそれを軽く避けて足払いをする

 メイドはドサッと倒れるがすぐに立ち上がろうとしたがその前に両手を押さえて拘束した

「誰の命できた?あまり女性に手をあげるのは好きじゃないんだが」

 ギリギリと拘束した手を締め上げる

「はっ、あの方は絶対だ、あの方はお前で遊ぶとお決めになられた、一瞬たりとも気を抜けば死ぬことになる!せいぜい足掻くといい!」

「っ!まて!」

 オレは気づいて女の口を押さえようとするが間に合わなかった

ガリッとなにかを噛み砕く音がして女はぐったりとして動かなくなった

「くそっ!」

 女はおそらく奥歯に毒を隠していたのであろう、捕まったときにこちらに情報をもらさないように

 オレは拘束していた手を離し兵士を呼んで遺体とワゴンを運び出してもらった

 それから今のことを王とアカツキに伝えるように言い夕食は今日はいらないと断って扉を閉めた

 やっと一人になるとオレは剣を枕元に置き早々に床についた

「気を抜くなという警告か……遊ぶ、ねぇ……」

 遊ぶというのはおそらく最強戦力の言葉だろう、女の使ったナイフには毒も付いていた、用意周到なことだ、戦いを遊びで行う、やはり嫌なやつに目をつけられたものだ

「……寝るか」

 明日からは忙しくなる、しかし今の事件でやはり寝るときでさえ気を抜くことは許されないのだと実感した

 人を簡単に捨て駒にするようなやつだ、何してくるかわかったものじゃない、本当に嫌なやつに目をつけられた、本日何度目かわからないため息をつきオレはいつでも起きられるように浅い眠りについた

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