11話 首謀者の正体【改稿版】
ランスロットを後ろで操っている首謀者がいる、オレの発したその言葉に玉座の間にいたもの達がざわつく?
「ふむ……して、何ゆえお主は首謀者がいると思ったのだ?」
王は険しい顔で顎に手をあてながら言った。
「理由ですがひとつめはなぜ今反乱を起こしたかです、反乱の理由にグネヴィアが関係しているなら今じゃなくても、例えば魔王を倒した後の3年間、オレが勇者をやめると言う話が出たときにでも謀反を起こせば良かった、だがそうしなかったのは暗にオレとの実力差が原因でしょう、ランスロットは勝てない戦はしない、ランスロットは聡明ですから、ということは今なら勝てるという自信があるからこそ反乱をおこした、そうなると大きな後ろ楯が出来たという考えにいたるのが普通ではないですか?」
グネヴィアが死んでからオレとランスロットの関係は決して良好とは言えないものだった。
それでもずっと黙ってオレの下にいたのは、オレと自身の実力の差をランスロットが一番に理解していたからだとオレは確信している。
魔王を倒したからといって、赦されたわけでは決してない。
「……一理ある、しかし断定するにはいささか尚早にも思うが?」
「はい、あくまでここまでは国に戻ってくる間に考えただけの推測に過ぎません、しかし先程の声明で推測は確定になりました」
王の言うことはもっともだった。
今上げたのは推論の域を出ないただの想像だ、それだけを理由に断言することはオレも出来なかった。
でもそれは、今の声明の場で推測から確定の域に上がった。
「何故だ? 先程の声明は私も聞いていたが別段進行に滞りはなく見えたが?」
王は不思議そうに聞き返してくる。
「表面上はそうでしょう、しかしオレが見たかぎりあの声明の場に民達に紛れてこちらに敵意を向けているものが10、気配を出来るだけ民に紛れさせながらこちらを視察しているものが3はいました」
そう、こちらが動くのであれば相手もまた行動に出るのは自然の摂理だ。
声明は表面上滞りなく終わったがオレの張っていた気に触れた相手だけで13人の敵が紛れ込んでいた。
しかも三人に関しては多分、アカツキレベルの力は保持していてもおかしくない。
それ以外にもオレがすぐには気付けないような高度に擬態した敵がいた可能性だってあった。
「声明をしつつそんなところまで観察していたのか……しかしそれではランスロットが送り込んできた刺客という可能性もあるであろう?」
だがそれでも決め手に欠けるのはオレも理解している。
次に話す事実こそが、ランスロットに後ろ楯がいる一番の証拠と言っていいだろう。
「大事なのはここからなのですがその内の一人が自身の目で見ているものを別の者の瞳に写す魔法『ビジョン』を使っていました」
そこでオレは一呼吸おいて、身体のなかの空気を一度全て吐き出してから続ける。
「オレはその『ビジョン』にハッキングを仕掛けて投影先の人物を探ろうとしました、しかし妨害を受けて顔までは見れませんでした、ですがその人物の力などの断片は見ることができました、その見えたものはランスロットでもマーリンでもなかった、断言できます……力や魔力のかたちが二人とは全く違ったからです」
人の魔力や力にはそれぞれの特性や性格が現れる。
オレはそれの探知能力に長けているほうだから間違える可能性は限りなく低い。
ましてやあれだけの大きな力ならなおさらのこと。
「では、それは何者だったのだ?」
王は額に汗を滲ませながら、オレの返事を待つ。
「誰だかまではわかりません……しかしその力にとても近いものをオレは間近で感じたことがあります、しかしもうその者はこの世にいるわけがない、それに似てはいても確実に別の者の力でした、力の波形は三年前オレが倒した……魔王のものと酷似していました」
オレの言葉に否応なしに玉間がざわつき始める。
無理もない、人払いは既に済ませてありここにいるのはオレと王、そしてアカツキのメンバーなど魔王の驚異を身近で体感したことのあるものだけしかいないのだから。
でもその中で王だけは冷静に、聞き返してきた。
「それはまごうことなき事実なのだな……? 魔王が、復活したということか?」
「はい、事実です、ですが魔王が復活したわけではないと思います、確かに力の波形は似ていた、しかし所々に前の魔王には感じなかった力の断片を感じました、かといって魔王ではないからとそれだけで気を抜くべきではないかと」
オレが魔王ではないと言いきれるのは、もうひとつ理由があった。
何故ならあの時、あいつが死ぬのを見届けたのは他ならぬオレ自身だったのだから。
あの状況で、生きている筈がない。
だからと言って魔王ではなくても今回の件は絶対に油断は禁物だということは変わりない。
「……何故だ?」
オレは黙って右手の腕の鎧を外し、上にかかげた、皆にしっかりと見えるように。
「っ!」
「『ビジョン』を通して見ただけでオレがこの状態です、覗いているのがバレて魔素を逆に流して反撃してきた」
オレの右腕には大きくまるで火傷のようにDon't peek覗いちゃダメだよ、と浮かび上がっていた。
オレが覗いたのは一瞬だった、だがその間に反撃に転じるなんて芸当はそう簡単に出来ることではない。
「それほどまでの相手なのか……ということはその者が後ろ楯だということか?」
王がまた顎に手をあてながら考えるように問いかけてくる。
「いえ、性格には違います、その者が敵の最強戦力であることは間違いないでしょうが今回総指揮を取っている、ランスロットの大きな後ろ楯となっているのはハッキングをしたときに見えたその者の横に立っていた者、隣国のキャメリアド王国の王、レオデグランス王です」
一一一
一方キャメリアド王国では
「あーあ、ボクの目を通して王さまの顔見られちゃった!」
「そんな! どうするのです一一様!」
「まさか勇者様ってのがあそこまでできるとはねぇ、うーん、想定外っ! まあいつかバレるだろうと思ってたしぃ……うん、問題ないね! これから楽しくなりそうだねー!!」
ピンクの髪の少年は天真爛漫にそう言うとキャッキャッと楽しそうに笑った。




