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♭289:全史かーい(あるいは、削除阻止ボィィズ/2020)


 呼吸を、整えなければ。


 「戦場」に只中で呆然自失を晒してしまうという失態。頭の中に去来しまくってきちゃう諸々よしなしぃな事はあるものの。


「……」


 呆けている場合だけじゃあ、ないはずだ。家族のことは、もう絶対、意識のどこかには貼り付いているけれど。それを平常(ニュートラル)と見越して、現状に対処せなあかんッ。


「水窪、あの二人が敵らを引き付けていてくれた。吹っ切ってぶちかますのなら、それは今だ」


 私の跨る「騎馬」の前方下より、カワミナミくんの、そんな場を俯瞰したかのような、感情を殺したような声が響いてくるけど。分かってますって。フリーズしちゃってて御免。


 「敵陣滞在時間」=「DEP着手可能時間」であるということは……今の私には三分がとこのお披露目タイムが与えられてるってことよね。充分形よぉ。


 とか思って頭の中で例の「世代人格リボルバー」をぎゅるると回転させようと思ってたら、


「んやああああああああぁあぁぁぁぁん……ッ!!」


 姫様のそんな御嬌声が、甘くこのフィールド上に響き渡ってちょっと止められた感。見ると、


 敵方の卑怯極まるスタンガンの波状攻撃によって瓦解された「騎馬」を、あの執事くん一人で何とか保ってたかのように思えたけれど、まあ何と言うか、肩車って案外とアレよね……うなじに押し付ける/擦り上げる連続(ピストン)運動になっちゃうよね……


 さらには何かよく分からない竿竹みたいのんを両手両足から繰り出してからは、仰向けの執事くんの顔の上に跨るといった、曇りの無い顔騎(ガンキ)スタイルへと移行しているわけだしうぅぅん……何ぞ。


 ダメな意味で「ダメ」への誘引力を遺憾なく、正にのこの場で発揮しておる御二方だけれど、うぅん大丈夫かなこれェ……


 さらには執事くんの滑らかな動きの「連撃」によって、その後方から迫っていた一騎が脆くも崩れ落ちるわけであったけど。態勢を立て直そうとしたその矢先、「馬上」の姫様のしなやかそうな体躯が、これでもかと弓なりにしなりて断続的な痙攣のような震えを呈してきたよこれまたヤバいっつうの……


 ともかく、敵味方一律その様子(ちたい)に一瞬意識を奪われたかのようなこの刹那を無駄にするわけにはいかない。


 DEP……枯れ果てたと思われる私に、何が出せるのかは分からない。けど、これに賭けるしかないって。信じるわ……私を。今までの「私たち」を。


 呼吸は凪いだ。であれば放つのは今だ。私はいま一度、深く吸気を腹底まで落とし込むように取り込むと、「リボルバー」の弾倉をぎゅろろろろッ、と回転させていく。



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