表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
270/312

♮269:四光ですけど(あるいは、同窓/メグリアズィオーネ)


 御名乗りに終始する時空間は、この会場を、そしてその場にいる者たちを等しく巻き込むようにして渦巻き続けている……


「青の波濤……猫田(ねこだ) 似杏(にあん)ですだニャン♪」


 葉風院の騎馬は、実況少女たちで固められているという、そんな寸法なのですな!! との懐かしさと、少しの痛みも有しているといった、そんな僕のこの場ではどうでもいい感傷がよぎるけれども。


 猫田さん……五年前よりもさらに美しく、そして蠱惑的になりましたな……二重の切れ長の瞳は健在。その視線は心なしかかなり離れた場所にいる僕に向けられている気もしないでもなかったけど、多分錯覚だろう。本日は今しがたの桜田さんとお揃いの、白×青のタイトなブラトップに膝下までのスパッツ。おなかの辺りには性懲りも無くまた半円形の白いポケットのようなものが素肌にじかで貼り付けられているけど、うぅんアレ何だろう……


「黄の震動っ、有留(うる) 星奈(セイナ)ちゃんなのだっ!!」


 そしてやっぱり居てくれた。セイナさん。黒髪のおかっぱはこれまた健在。五年経ったにも関わらず、相変わらず合法と違法のはざまくらいに位置するかのような絶妙な外観年齢(いでたち)は、もう人生をその方向性で行くんだという確固たる何かを感じさせるものにまで昇華されているような気もする……白地に黄色のメッシュが入ったベレー帽をちょこんと乗せ、白×黄のタイトでフラットなトップにスパッツ。うぅん、体型もやはりスレスレな気がして何故か少し胸騒ぎを勝手に感じてしまうものの。


 この四人か……!! 布陣は葉風院氏が上、桜田氏(赤)が前、猫田氏(青)が左後ろ、セイナ氏(黄)が右後ろみたい。結構大柄なヒトが騎乗するみたいだけど、後ろのふたり、支えるの大丈夫かなあ……


 いや、これはただの騎馬戦じゃない、はずだ。ならだ上に乗る者の「DEP力」……それも重視されるのではないだろうか……


 とか、考えてもどうしようもない(ほんとだよ)ことに思考を回していた僕の肩に、ぽんという軽い衝撃が。ええっ、と思って振り向いた先には、


「……あ」


 思わず言葉を失ってしまう。そこにいたのは白×紫のコスチュームに身を包んだ、僕の大事たる女性……サエさんが素の顔のまま立っていたわけであって。な、なぜここにッ!?


「やっぱり気になって見に来た。ら、やっぱりの混沌。で、衣装(コス)が余ってたから着て参加してみた。ヒト足りてないんでしょ?」


 なんか落ち着いてて逆に怖い……でも非常に心強い……でも危険なこの場所にいさせるのはやっぱりまずいんじゃ……


「ムロトしっかりして。目標が、目的が……あるはずでしょ? そのために最善を尽くす。それが私の知ってるムロト。それに『ダメ』をいいように利用しようとしているアイツ……ちょっと頭に来てるとこもあるし」


 その落ち着きが、僕に力を吹き込んでくれたかのようで。でも、根底に流れてるのは静かなる怒りのようであって、やあ怖ろしいですなあ自分に向けられたものでなくて本当によかった……との思いが先走りするように僕の脳を埋め尽くすばかりでもあって。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ