♫248:発破ですかーい(あるいは、クリスタライズ/たまの玉ノ井)
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金ピカメイドと目が合った。から、結構三十秒くらい経ってるかも。
覚悟入った目つきだ……睨み合うというほど剣呑ではないにしろ、目を逸らそうとはしてこない。ただただ私の目の奥辺りを見据えてきている……
<迫力極まる対峙戦ッ!! でも、とっとと開示するカードを選んでなもし!!>
実況少女が相変わらずの掴ませない口調でアオるけど。でも私もいつの間にか視線を動かせなくなっている。
少年くん……体は女で心は男の少年くん……キミはいったい、どれほどのものを背負って人生を歩んで来た?
ふと沸き上がった問いみたいなものを自分の目線に乗せて、心の中でそんな風に訊いてみたり。あのアオナギ・丸男が畏怖する存在。私に対してはシンプルな恐怖を感じていたようだけど、それとは何か違う接し方だったよな……
見た目は平凡(今は非凡だけど)、でもその内に秘めた何たるかは、何とも言えないほどに何と言うか密度が計り知れない。その少年くんがこちらを、凪いだ感じだけど、非常に真摯な目つきでこちらを窺ってきているよ……
私から「ガチ勝負」を持ち掛けたわけだけど、それに応じてくれたんだろう。だったら私も肚をくくらねばなるめい……
「DEP」を撃ち合うこと、それによって通ずる何かというのも、確かにあると思うようになってきているから。裸の心でぶつかり合う。それがこの「ダメ」の本質であるような気がして……先ほどからならないわけで。
と、少年くんが手元の「カード」から一枚を選び出し、自分の眼前に掲げてから、「カード置き」にセットする。電光掲示板に表示された「青色の波形」に乱れは見られない。
……やっぱりガチの勝負を望んでいる。望まれているってわけか……
確かに。一度は相まみえたかった相手とも言える。ならば。
「……」
私もここに来て非常に凪いだ気持ちのまま、【T】のカードを提示し、置く。真実だ。トゥルーのDEPを以ってして、ガチに撃ち合ってやる。ちらとみた自分の「緑色の波形」にも乱れは無かった。イレギュラーな出し手ではあるものの、私の心中にあるのはただ、「全力でぶつかり合いたい」、それだけだからだろう。
<先手:ワカクサ:着手>
いや、そんな駆け引きじみたことも、今は不要だ。魂のDEPを、ぶちかまし合うだけだッ!!
「……『高校のいっとき、年下のコと付き合ってたコトあるんだけど、そのコが十六歳とは思えないほどのフケかたで、陰で『パラドックス援交』とか呼ばれていた件』」
うん……度し難いとは思うけれど、まごうことなき真実である……ッ!!
<先手:82,999pt>
おおー、まずまずまずまず。よっしゃさあ来い、存分に放ってこぉい!!
気合いがいい感じに乗って来た私。しかして。次の瞬間だった。
「ダウト」
少年くんがそのような言葉を発してくるわけで。ん? いや確かに【T】を出しているってことは「ダウト」ってことだけど。ダウト使い切っちゃって、いいの?
<『ダウト看破』……ッ!! よって評点が半分になります……『先手:41、499pt』に修正ッ!!>
してやられた感があるけど、それ以上に相手方……これ以降が非常に不利になりやしないだろうか……とか、いま正に対峙している「敵」のことを慮ってしまうが、そんな場合でもない。
ここで勝てればよし、だけど、負けたとして、これはある種「進塁打」みたいなものになりうると思われる。
ううううん、その真意はやっぱり読めないけど。でも好機であることは確か。ならばぶっちぎるしかねへぇッ!!




