♫２４４：清濁ですかーい（あるいは、諸人／こじれて／ませりがせり）
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この「法廷」を取り囲む観客も、まだこの「対局形式」がどれほどのものか完全に理解はしていないみたいで、リアクションはいちいちいまいちなだけれど。
微妙などよめきの中でも、その座り姿はぶれない……つまり主任はどうやら読み切っている。
「……」
相手方、「青年くん」の、虚構としか思えないほどの非尋常ＤＥＰを、「真実」と見切っているんだ……その根拠とかはまったく分からないけど。えーと、「波形」はどうなってんの？ と思わず右横くらいに位置する大型ディスプレイに目をやってしまう私。
青年くんのそれを示す「赤色」の波形は、確かにぶれてはいない。ということは彼は「真実を放っているという体であるということなのだろう。でも、でもだ。
いろいろな技巧やら手段やら反則すれすれの裏技やらがあることをもう私らは知っているわけで。それを加味していくと、必ずしも青年くんのＤＥＰが、「偽」ではないと断ずる事も出来ない。ううううん、ややっこしいなあ……
運営のやつらが、そんな「抜け道」もあるってことを周知させた上で、その「場」での駆け引きを打て、と私ら対局者に言ってきているようで非常にむかつく。あんたらの思い通りにそうそうなるとか思ってんじゃあねえぞぉぉぉ……
とは言え、私は初戦は傍観者。パートナーたる賽野主任に委ねるしかないわけで
私から見える主任の出し手は【Ｆ】。虚構チームの【Ｆ】だから、すなわち「通常」であるということ。
ひとつわかったことがある。
嘘発見器と銘打っているものの、「嘘を言った／言わない」で、その針が揺れるということでは無いとのこと。
「真実チーム」が、【Ｆ】【Ｆ★】【Ｔ☆】、つまりイレギュラーを出した時、まさにその「震え」を感知して、波形を乱す代物だってこと。逆もまた真なり。私ら「虚偽チーム」が【Ｔ】【Ｔ☆】【Ｆ★】を出したその時、
針は揺れるのだろう……
それを制御する「手」、それもあるわけだから、波形を額面通り受け取るのはいささか危ない。でも、おいそれと「制御」できるものでもないことも知ってるから、やっぱり「波形」は重要、なんだろう。いやそうか？
はっきりと運営の術中に嵌まってしまったことを自認しながらも、私は何とかこの場を司る何らかを把握しようと、主任のＤＥＰに耳と意識を全力で傾ける。と、
＜……私は、実は女だ。だが心は男。その差異を埋めるために多大な努力をしてきた……その結果が、この私。私は、誰からも否定されない自分を求めて日々、努力をしているッ！！＞
え、ええー！？ そんな嘘丸出しのＤＥＰ、なんでまた。わからない……主任の真意が。てかどうなっちゃうの、この諸々ッ！？ 混沌に過ぎるんだ↑が→。
