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184/312

♮184:豊潤ですけど(あるいは、ミサキ/ダメに舞い降りた天才)



 明るい水色のキャンバスのリングの中央部に、濃緑のラシャ張りの正方形の台が据えられていた。雀卓のような……いやもう雀卓以外の何物にも見えない。その上に伏せて置かれているものも、ベージュ色の背を晒した雀牌であるからにして。いったい何がこれから始まるのか、皆目見当もつかないんだ↑が→。


<『DTDG9』のッ!! 本対戦での細則をこれより説明しますねっ。結構複雑なルールですので、注意してお聞きください……>


 実況少女はそうつつがなく進行してくるけど。緑の「雀卓」の周りに、僕ら対局者4人は自然と集まる。この4人で、麻雀をやるといったことでは無さそうだけど。


<使用する牌は何と全て『筒子(ピンズ)』!! 『1~9』までのそれらを、計12組用意してあります!!>


 実況の声と共に、卓の上に伏せられていたベージュ牌が、意思を持ったコメツキバッタのように、次々といくつかが、宙に舞っていく。何だこの技術。磁力で反発させている? でもピンポイントでそんなこと出来るっていうの?


 宙返りすることでその表面を僕らに晒す牌たちだけれど、そのどれもが青や赤の「円」が描かれた正にの筒子であった。うーん、どういった勝負なんだか全然分からんわー。


<牌の総数はですので「108個」!! 奇しくも煩悩の数と同じですねっ>


 奇しくは無いとは思うけど、何らかの戦略性を孕んだものであるということは、これまでの経験から直感で理解していた。その一方で、この要素が生かされる可能性も少ないのではないかという直感も。


<勝負の進め方はッ!! まず対局者4人にそれぞれ『3枚ずつ』の牌をツモっていただきます!! その手牌から一枚を選んで場にお出しいただくのですが、その数字の多寡がッ!! その後にお放ちいただくDEPの評価ポイントに掛けられると、そういうわけでございますッ!!>


 うーん、いまいち詳細には把握できてないけど、「5」を出したら単純に威力「5倍」になるってことか。「9」まであるから、もし「1」と「9」が場に出されたとしたら、その差は「9倍」……いくらいいDEPを放ったとしても、おいそれとはひっくり返せないほどの倍率だ……こりゃあ、配牌で決まってしまうんじゃ……決勝まで来て、ダメの本質からまた離れそうになってるな……大丈夫かな……


<ちなみにッ!! 『1』は『9』が場に出された時に限り、『10』として換算されます>


 なんだってー。そんなトリッキーなルールがあるとは……いや、あるとどうなるんだろう……未だ掴めないその対局の全貌に一抹の不安を感じながら、僕は卓の前にただ立ち尽くすばかりなのであって。


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