表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/312

♮183:因果ですけど(あるいは、パラノーマリック/猛る/詩人の会)



<それではっ!! いよいよ決勝戦第一試合の開始となりますッ!! 初っ端から見どころのあるカードが組まれましたのは今や周知のとおり!! 碧薙(アオナギ)七段と、伝説(レジェンド)ムロト ミサキとの因縁の、いやさ宿命の対決の火蓋がッ!! 間もなく切って落とされようとしておりますっ!! 非常に、非常に白熱した、そして興味深い戦いとなりそうです!! いや、ならざるを得ない……>


 テンションがあまり定まっていない感のある実況の女性の声に導かれるようにして、僕と翼は遂に初戦の「リング」へと上がる。そう、ようやくお目見えとなった「フル装備」にて。金色、あるいは銀色のカモフラ柄ミニメイド服。さらに金銀のウィッグの上に真白いカチューシャをつけた姿は渾身の出来と言える。装着したカラコンは、それだけがお互い異なる銀と金。その一点だけを変えることによって、全体色の中で一点目を引く色味をプラス、そしてふたつ合わせて1セットと収まるようにした抜群のコーディネートなのだ……


「……」


 先ほどからリング上で対峙しているアオナギは、幾度となく見かけた、やる気なさそげな微妙な表情で微妙な立ち姿でその場にいる。しかし全くもってあなどれはしないわけで。この「平常心」を保つことというのが、このダメにおいては最も重要かつ困難であるということを、僕は先の「大会」にていやというほど思い知らされている。ゆえにこの薄ぼんやりとした佇まい、それこそがアオナギの本気度をこちらに突きつけてきているかのようであり。


 そして隣でカラフルな覆面レスラーのようなマスクを被って蹲踞の姿勢を取っているマルオさん、いや、ガンフも不気味な存在だ……以前「対局」した時は緊張している状態が「常態」だったゆえの強敵だったんだけど、今はひどく落ち着いているように見える。シンプルな強敵。そう思えてしまうわけで。


<対戦形式はッ!! 『ダブル×トライブ×DEP(デプ)戯雀(ぎジャン)×(ナイン)』!!>


 ん長ぁぁぁいっ。そして意味不明ー。一ミリも伝わってこさせないその名称に、どうリアクションを取っていいのか分からないままの僕だけど、周りの観客席から沸き起こって来るのは、おおぅ……!! というような興奮を押し殺したため息であったり、待ってました的な指笛とかであったりするわけで、えーと、説明を、要求したいのだけど。


<『DTDG9』はッ!! 御存じの通り、対局者4名それぞれに『1~9』までの牌を配布しッ!! その数字の多寡が『評価ポイント』をその数値の分だけ倍増するというッツ!! きわめてピーキーな戦闘形式なのでありますッ!!>


 実況の説明が続くけど、まったくもって理解が及ばないんだが。


「ふん……こいつなら、俺らにも勝ちの目は……あるってもんだ。少年、悪いが全力で行かせてもらうぜ?」


 腕組みをしたアオナギは、そんな好敵手じみた態度でこちらを睥睨してくるけど。そんなんだったっけ。いや、そんな感じでいいの? との思いは、僕の中にはまだ幾重にも堆積している。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ