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♭167:開宴かーい(あるいは、プラン8/今夜はビットビート)


 自分側から先手を取ろうとしたと、そういうことだろうか。確かに、先に「充填」しちゃえば、他が丸腰状態の中、自分だけがぶっ放せるわけだけれど。


 でもそれをやるメリットっていうのが今のところ見当たらないのよね……「敵」を見つけて隠れて撃つ……っていうのは、「充填」した時点で「居場所」バラされるから意味ないだろうし……いや、至近距離まで気づかれずに寄っていって、「充填」即「撃破」とかだろうか……や、相手も逃げるだろうし、何より「額一点」に着弾させることがやっぱり難易度高いんではないだろうか……


 頭とか体に「DEP弾」が当たれば、体の自由をある程度は奪えるって言ってた。それ狙いでとにかく撃ちまくり、動き止めてから、とどめ、だろうか……でもそれで仕留められるのっておそらく一人か二人だろう……「充填」した瞬間から、運営側はわらわら集まってくることだろう。いや「集まる」というよりか、「包囲」ということをしてくるはず。そんなんなったら多勢無勢で、あっけなくハチの巣状態になるのは必至。


 うーん、あいつら他に策でもあるというの? うーんうーん、あろうと無かろうと、とりあえず私と主任に出来ることは何だ?


 ……メイド&執事のいる場所に急行する、しかないかな……開戦、って感じになってしまった以上、なりふり構わず乱戦に持っていくくらいしか、数で劣る私ら陣営(4組8人)に勝機はやっぱねいか……


「向かおう、若草クン。その途上で僕らも『DEP充填』しながら」


 主任は流石冷静だ。でもその顔には如何ともしがたい不安、のようなものが絡みついてはおるけども。やっぱこの状況、かなりヘビーなんだね……


「……」


 坂道を駆け登り始めた主任に、手を引かれながら私も前を目指す。嗚呼……これが何らかの逃避行だったらいいのにな……そぁうだったらいいのに→な↓


 頭の中で歌ってる場合じゃなかった。丘の上に立つと眼下はクリアに見渡せたものの、下った右手方向の小川沿いの岩場には、あのメイド&執事が銃を構えているのがレゴくらいの大きさで窺えたのだけれど。


「やはり……囲まれ始めている」


 主任が言う通り、そのミニフィギュア大の二人の半径約30mくらい、こちらから見て左方向に、ぽつぽつと動く影が見えている。運営のやつらだろう。二人一組の息合った動きで間合いを詰めていっている。


 右手方向に逃げてぇ、とか思ったりしてみるけど、川沿いは見晴らしがいいから多分この距離まで詰められてたら、もう逃げても背中を撃たれる。それに何でか分かんないけど、当のおふたりさんは拳銃と猟銃みたいなフォルムのものを、さっきからずっと阿保みたいに構え続けているだけだ。何してんの。


 私らが加勢に飛び出すか、それともここで待機して何かしら援護に回るか。どちらにしろかなり分の悪い選択に、私の顔面は何故か浮いてきた微笑みのまま引き攣っていくけれども。



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